そろそろ学校の新学期が始まり、「PTA活動の当番が回ってくる」と気がかりな保護者もいるのではないでしょうか。学校のPTA活動を負担に感じる保護者もおり、女性の社会進出を阻んでいると懸念する声もあります。日本が低迷する「ジェンダーギャップ報告書」で毎年上位に入るフィンランドと日本の教育やPTA活動はどう違うのか、ヘルシンキ大学非常勤教授の岩竹美加子さんに聞きました。
――世界各国の「男女平等」の度合いを指数化した2023年版「ジェンダーギャップ報告書」で日本は調査対象の146カ国のうち125位(前年は116位)でした。主要先進国では最下位となっています。どうみますか。
日本のランキングが低いというのは、数年来言われていることです。でも特に対策をしていない。だからこのレベルにとどまり続けるのだろうなと思います。数字だけの話じゃなく、こういうことが続くと日本全体の評価は非常に下がります。国際社会で日本というイメージや地位も下がる。日本は今、経済的な力も落ちています。危機感が足りないと思います。もっと変わりたいとか、もっと新しく何かしよう、もっと生きやすい社会を作ろうという発想があまり感じられない。若い女性たちが色々と運動を起こしているのはとてもいいと思いますが、今の日本では、既得権益がある人たちが上層部にとどまっているから、何も変わらないですよね。
――教育は、政治、経済よりかは平等を達成しつつあると言われています。日本の学校では保護者が関わるPTA活動がありますが、状況をどう見ていますか。
日本のPTAは狭い世界です…
- 【視点】
日本のPTAが、保護者(特に母親)を下働きのように使ってきたことがよくわかる記事。そうではないあり方がありうることもわかる。学校に対してしっかりと要請を出していく組織としての保護者団体である。 日本では学校に子どもを人質に取られているように
…続きを読む - 【視点】
インタビュイーの岩竹美加子さんの著書のひとつに『PTAという国家装置』(青弓社)がある。同書は、戦前の「父兄会」や「母の会」などの旧態の組織に、戦後、GHQの指導で「教育民主化」の理念が組み込まれて出来た、「PTA」という奇妙な任意団体の性