奏章Ⅰ ペーパームーンのとても良かったね……って感想 追記にネタバレがたくさんあります
真面目に聖杯戦争して真面目にアルターエゴについて掘り下げてる話だった……。過去作品とちょっとずつ構図をかけ合わせつつ真っ当にアルターエゴクラスの掘り下げがあったので楽しかったな~!!あとシオンとカーマが本当に可愛かった。いっぱい好き。
以下雑多に感想です。
■AI聖杯戦争のマスターたち
ラニ、ゾォルケン、サクラ、ライノールは元になった他のキャラがいる分かりやすいマスターたちだったけど、アーユスとセレシェイラは具体的な元ネタが居なさそうだからここ二人どんな感じなのかな~と思ってたんですが、個人的にアーユスの妹真実と「やっちゃえバーサーカー!」にワッッッてなりましたね……兄がいる妹の「やっちゃえバーサーカー!」はそういうことですよ……。
セレシェイラの罪悪感の話は結局聖杯戦争の最後まで明かされなくて、このままもやもやっと終わったらどうしよう……と思ってたのが、ムニエル以外のカルデア職員が居るには居るけどグラフィックが出てこない現象とここにきて結びついてきてなるほどね~!?ってなったな。セレシェイラがマスターAIの中でも特に気にかけてたサクラの「居場所を守りたい」っていう願いが、そのままカルデアセレシェイラの「居場所(カルデア)を守りたかった」って罪悪感に繋がってるのも良い。ビーマにかけられた「罪悪感がずっと残っているならそれを原動力にして進んでいけばいい」って言葉をカルデアセレシェイラも藤丸も覚えてはいないけど、結果として藤丸からカルデアセレシェイラへ「その罪悪感はここにいる皆が持っているものだから、それをどうすれば良いか考えながらこれからも一緒に歩いていきましょう」って話されて良かったな……と思います。
あとセレシェイラの造形は「月で行われている聖杯戦争で戦いで何も成せないと思って引きこもっているマスターと、そんなマスターに奉仕するインドの大英雄」て点でジナコとも重ねてるところがあるのかな~と思った。
■キャスター陣営
確かに見た目はよく知ってるジルだけど、なんか自分の知ってるジルとちがくね……?っていう、奏章Ⅰのシナリオで頻出の「お前は本当に○○なのか?」て疑問のとっかかりにもなるサーヴァント。「暴走したキャスター陣営を他の陣営が協力して止める」というzeroリバイバル構図にテンションが上がったのは言わずもがなです。
プレイヤーとしてよく知ってるジルはジャンヌのことを大切に思っている姿だから、ジル・ド・レェの「殺人鬼青髭のモデル」って側面を抽出した姿を見られたのが新鮮だったし、その上で消失する間際に青髭が本来知らないはずの「ここに聖女はいないのだから」って思いを独白するのが、ジルから分離されたエゴの名残を感じて……たとえジャンヌを思うのとは全く別の側面が抽出されたとしても完全に排されはしなかったジャンヌへの思いが見えたような気がして……じんわり良かったな……
あとゾォルケンの倒しても倒しても湧いてくるしつこさに、久々にHFを遊んだ時のしつけえぞこの爺!!!!!!!!!って気持ちを思い起こして懐かしい気持ちにもなりました。ゾォルケンの目的を叶えるための手段として長生きしてたのが、いつのまにか手段が目的になっちゃったもの寂しさが好きだけど、それはそれとして本当にしつこかった……。桜の「居場所を守りたい」と強く願う気持ちを蹂躙するのはゾォルケンで、溜め込んでたものが爆発したラスボス桜にやられるのもまたゾォルケンなんだよなというのをサクラとカーマvsゾォルケンで改めて感じられたのも良かったです。
■ライダー陣営
CMを見たとき蘭陵王がレフにNTRれたー!?!?!?ってひっくり返ったけど、人違いではないが人違いだったし物凄く良いマスターとサーヴァントだった……。蘭陵王の「主人のため武勲を立てたのに『下剋上を狙っているんじゃないか』と疑われ信じてもらえなかった」ていう普段なかなか見られない側面(なんならぐっちゃんが生前蘭陵王の死ぬ間際に声をかけても前面には出さなかった感情)を見られてジルの青髭側面同様に新鮮な気分だったし、この側面が出て来たのはあくまでも他の人の手で分離されたからであって徐福や道満みたいにおのずからアルターエゴになるほどどうしようもなく強い感情ではないっていう塩梅が、より自分が一番知ってる蘭陵王の姿が味わい深くなっていいな……ってなった。
アルターエゴ蘭陵王、僕は道具ですって言いつつもライノールの謎行動に(何してるんだろう……)って疑問は隠しきれてなかったり、分からない質問をされると嬉しそうにしたりしてるのが分離前の蘭陵王と似通っててあら~~~ってなったし、そうやって分離された側面を蘭陵王の望むまま扱ったライノールの態度がアルターエゴ蘭陵王にとっては嬉しかったっていうのが、本当に真っ当にマスターとサーヴァントしてて一番安定感があったように思います。そしてそんな良質なマスターとサーヴァント関係を凌辱していく爺!!!!!!コラ!!!!!!!
でも真の悪に堕ちるのは耐え難くて仮面を剥がすまいと必死に抵抗して舌まで噛む蘭陵王は正直エッチだなって思ったしTLでペーパーエッチムーンじゃん!!!!!!っていっぱい言われてるのは笑った。ここは尊厳凌辱をエッチだと思うフレンズがいっぱいいるTL。
■セイバー陣営
サクラとメドゥーサの関係性について改めて触れられたのが……とても良かったです……。ありがとうペーパームーン……。
マスターAIサクラの「居場所を守りたい」っていう願いがそのままHAで最終決戦のときに衛宮家を守ってる桜の姿と重なって胸がぎゅっとなったし、そんな桜を全力で守りたいと願うメドゥーサの思いもすごく良くて……AIになってもアルターエゴになっても「メドゥーサは桜を愛している」って事実は変わらないの、本当に良い。
あと個人的にかなり刺さったのがメドゥーサの「他の人がサクラを救ったことがあるのだとしても、他でもない自分が桜を救いたい」っていうエゴの話なんですけど~……。サクラを救った「他の人」っていうのはゾォルケンが出てくることからHFの士郎であり、サクラがAIで舞台が月なことからCCCルートの岸波でもあるんだろうなと思う。そういった桜を救う人たちの存在があった上で「それでも私が桜を救いたい」っていうのはさ~ 愛じゃないですか……。
HFでは怪物になった桜がいたからこそ、紙の月の世界ではメドゥーサからサクラに「貴女が怪物にならないよう、その分私が怪物になった。私たちは、ちょうど良かったの」て伝えられるのも大好き。「ちょうど良かった」って言葉選びが優しい響きで好き。
■ビーマvsドゥリーヨダナ
私は個人的に、“悪辣や狡猾とまではいかず精々卑怯ってくらいでたまに良いこともする”みたいなキャラクターを見ると「画面一枚隔ててるから可愛いもんだけど現実にいたら嫌」の質感を感じてしまって一歩引いて見がちになる傾向があって、ドゥリーヨダナが割とその類でシナリオ中かなり長いこと一歩引いて見てたんだけど、終盤の「強くて正しい奴がいつも勝つのは卑怯だ」「どれだけ卑怯な手を使っても英雄性が欲しい」「英雄のお前が最後に卑怯なことをしたというのが唯一縋れる事実だったのにそれを忘れるなんて許せない」「何でも手に入れた英雄のお前が卑怯さすら手に入れるのか」あたりの感情の地金を見られたくだりと、兄妹パワーのくだりで良いキャラだな~……ってしみじみと好きになりました。カルナがドゥリーヨダナのこと「友達」って呼ぶし、何だかんだ手助けするの、すげーーー分かるなってキャラでとっても良かった。宝具のレア演出でカルナがたまに出てくるの愛おしくないですか?
ビーマvsドゥリーヨダナ戦、プレイヤーがビーマ側もドゥリーヨダナ側も操作できるのが凄く良くて、ビーマを操作してドゥリーヨダナを倒すのは簡単なのにドゥリーヨダナを操作してビーマを倒すのはそれなりにスキルの順番とか工夫して戦わないといけないっていう難易度から、ビーマの英雄性やそんなビーマにそれでも負けたくないドゥリーヨダナの気持ちが存分に感じ取れました。やっぱりプレイヤー自らの手でストーリーを体験できるところ、ゲームという媒体の良さの一つだよな……。
登場人物たちが「自分は何者か」「お前は本当にお前なのか」を問いかけ続けるシナリオで、「一側面を抽出されたアルターエゴだとしても俺は俺だ」って言いきって戦うビーマの精神がかなり英雄~!!!!してて好きだし、クリア後にビーマから金時に宛ててマイルーム台詞があると知って湧いたよね。強くて正しい英雄じゃん……分かるじゃんそこ二人が会話するの……。
ビーマとドゥリーヨダナ、殺意関係性だけどAI聖杯戦争だとラスボスは倒し終わって後は決着つけるだけって状態だったのと、お互いに自分をヒーローだと信じて心から応援してくれる相手がいるのもあって、まさしくビーマが言ってたとおり「喧嘩」って感じで気持ち良く終わったのが読み味がまとまってて良かったです。
■AIとIと愛
AIひいてはI(自我)と愛の話はCCCで存分に語られたテーマだけど、ペーパームーンでもその辺が掛け合わされて沢山話されてて、更に今回はアルターエゴの掘り下げとしても語られてて良かったな~! この辺りで特に象徴的だったのはやっぱりラスボスのカーリーだったなと思います。パールヴァティーとも呼ばれる神様の怒りの自我が強く出たアルターエゴであり、サクラAIの元になった依り代で現界しており、その原動力はシヴァへの愛であり……とテーマの総括としてとても分かりやすかった。
愛のために世界を滅ぼす女はなんぼあってもいいですからねという気持ちと愛で世界を滅ぼす女には愛で世界を滅ぼす女をぶつけるんだよのスーパーサクラ大戦は最高!の気持ちがある。カーリーが一側面を抽出されたアルターエゴとして対峙するのが、望愛の側面を抽出された状態のカーマなのもすごく良かった。藤丸からの愛を望むからこそ、自分の中の望愛を弾き出した全人類を愛する力をもってして自分ごとカーリーを焼き尽くすカーマでだばだばになっちゃったよね……。カーリーの敗因がシヴァを心から愛していたからこそ本物のシヴァの炎に包まれて安心してしまったからなのも好き。ここ二人ずっと愛vs愛をやってる。
今回全編通してカーマが可愛かったけど、その理由がなんかおかしくなったってわけじゃなくて愛を与えてもらいたい気持ちもまたカーマの持つ一側面だったって話だったのが余計に可愛さ倍ドンなんだよな。あと夏の霊基で浮かれぽんちになってる自覚があるカーマがかなり好き。私は水着鯖のひと夏の思い出という泡沫の夢概念と夏を理由に浮かれぽんちになるところが大好きです。
あとAIの総括としてとても好きなのがラニ=ⅩⅡで、「一つの方向性を持つという点ではAIとアルターエゴ は似ている」って話があってからの、一つの方向性=使命を果たすためにAI聖杯戦争を起こしていた、だけど感情を計算に入れてなかったから間違えてしまったラニへシオンから「世界を救うという使命を果たすためにあなたはよく頑張った」って労いの言葉をかけられるのがとても好きですね……。AIをただ感情が分からない被造物とするのでなく、その働きを労い感謝するのはAIという存在への尊重の一つなのかなと思いました。
■シオン
シオンの内面って今まで本格的に語られるところではなかったんだけど、ペーパームーンで「私は“仲間”なんて言葉に憧憬と尊敬と好感と驚きと僅かな逡巡と後悔を抱いてカルデアを助けるために走り出した」「その後私が仲間になってしまっては果たせない役割があるから、仲間にならない方がいいと結論づけた」「それでも仲間になりたくないわけではないし、ペーパームーンのひと時の夢で、あなた達の仲間として居られて楽しかった」を叩きつけられてシオン”””って顔を覆ったよね。「応援はするけど仲間にはならない」なんてそう理性で抑えられる感覚でもないだろうにそれが出来てしまうし、仲間として一緒に活動できた楽しい泡沫の夢を覚えているけどそれはそれとして割り切れるシオンの理性の強さと、それでもあなた達のことを応援しているし仲間になりたくないわけじゃないっていうカルデアの人々に向ける情のバランスでクチャクチャになっちゃった。ええ!?!?シオンが可愛すぎる。助けてほしい。私は感情が理性を弱体化しない人が好きなのでシオンが好きです。
カルデアを助けようと思った始まりが「仲間」という響きに心を震わされたからで、それでも自分はその「仲間」にはならないと決めたっていうの、ほんとにさあ~~~……傍から見れば寂しいんだけど、それでも「仲間にならない」ことこそがシオンにとってカルデアへの応援の形だから軽々に否定できるものではないじゃん……。藤丸はシオンと仲間でいられた日々を忘れているけどプレイヤーは当然覚えてるのでめちゃめちゃになるよ。シオンがガチャに実装されたら出るまで引いてしまうところだった。とりあえずマナプリズムで交換したシオン礼装を抱きしめて思いを馳せます。お前が好きだ……。
■アルターエゴクラス
アルターエゴクラスの掘り下げが楽しかった~~~!!エクストラクラスを使う罪の清算って具体的にどんなことするんだ?って思ってたので、こういう話をやるんだなの方向性が概ねペーパームーンで分かって良かった。
サーヴァントの一側面がもう一つの在り方となるくらい強く大きくなった結果アルターエゴになるんだっていう話を聞いてなるほどね~って納得すると同時にその好例として真っ先に思いついたのが道満の僅かな悪性を戯画化して生まれたリンボなの悔しい。あいつ想像以上にちゃんとアルターエゴしてるんだな……やることは大抵胡乱なのに……。ずっと愛の話をしてたペーパームーン最後のアルターエゴクラスの総括が、まさしくぐっちゃんへの愛が一つの側面として生まれたから楽しくやれてる徐福ちゃんなのも良かった。エクストラクラスの掘り下げ凄く楽しいからあと2つと言わず全クラスやってくれんか?だめ?