【地方公務員】市役所で働くには?仕事内容・試験制度・難易度・対策
- 2020.12.22
近年の地元志向の高まりから、人気上昇中なのが市役所試験です。
有名大学出身者の中にも、中央官庁で働くよりも地元で自分の存在意義を実感できる地方公務員を希望する方が増えています。
本稿では、市役所職員の仕事内容から試験概要、難易度、試験対策まで徹底解説いたします。
ぜひ参考にして、希望の市役所職員への就職を果たしてください。
目次
市役所で働くには?
市役所で働くには、市役所で実施される地方公務員の試験に合格する必要があります。市役所職員になるための公務員試験には、教養科目や専門科目に関する内容などが出題されます。
「教養科目」は、高校までに学ぶ国語、数学、理科、社会、英語です。専門科目は、大学の専門課程で学ぶ内容です。
地方公務員試験に合格し、採用されることで、市役所で働くことができます。
市役所での職務は多岐にわたるため、コミュニケーション能力や問題解決能力も重要です。地域の住民や関係機関との円滑なコミュニケーションや、様々な問題に対して柔軟かつ効果的な解決策を見つける能力が求められます。
市役所で働くための準備としては、下記の3つが挙げられます。
- 関連する学問や法律についての学習を進めること
- 公務員試験の勉強や対策をすること
- 地方自治体や行政の仕組みについて理解を深めること
また、経験を積むためには、地方自治体や関連機関でのインターンシップやボランティア活動に参加することも役に立ちます。
市役所での仕事は地域のために貢献する重要な役割を果たすものです。
そのため、地域の課題やニーズに敏感であり、市民サービスの向上や社会福祉の推進に熱意を持つことも大切です。
市役所(市役所職員)とは?仕事内容は?
公務員に国家公務員と地方公務員があることはご存知でしょう。
今回の市役所職員は地方公務員の一つです。
ここで、市役所の役割をご理解頂くために、地方公務員の基本的なことを少々説明させてください。
地方公務員とは、ざっくりいうと「地方公共団体」で働く公務員のことを指します。
この「地方公共団体」には都道府県と市区町村(※1)があり、どれも独立した団体(法人※2)で、どちらが上とか下はなく、あくまで対等な存在であり、ただ、担当エリアの広狭とそれに応じた担当業務に違いがあるだけです。
どちらも住民の福利のための行政サービスを提供する団体(法人)であることは共通しています。
例えば、大阪府は独立の団体(法人)として、国との調整・交渉や大阪府全体に関わる行政サービスを担当します。
他方、大阪府内にある岸和田市は、大阪府とも連携しつつも、岸和田市民の生活に直結する行政サービスを担当しています。
※1 区とは、東京都の23区だけを指します。政令指定都市(大阪市や横浜市のような大きな市にある区は違います)。また、町にも地理上の区域にすぎず、法人でないものがあります。紛らわしいですね。
※2 法人とは、法律上認められた人のことです。株式会社や学校法人などがありますね。
市役所職員の詳しい仕事内容はこちらをご参考ください。
市役所職員の職種(種類)
市役所職員の仕事は、仕事のタイプ別に「事務職」「技術職」「その他資格職」に分けられ、受験資格・試験内容もそれに応じて分かれます。
事務職
事務職の採用がどの市役所も一番人数が多く、政策の執行の中核を担います。
住民対応や窓口業務、地元活性化のための企業誘致、防災、生活保護や児童擁護といった福祉など、市民生活に直結する業務に従事します。
議会対応や、県庁・中央官庁や民間企業への出向などもあります。
概ね3年〜4年周期で異動し、様々な部署を経験するのが通例です。
技術職
技術職は、土木、建築、化学、農業といった専門知識を活かした業務に従事します。
採用区分や名称は市役所によって異なりますが、特定の学科を修了していることが受験資格とされることもあります。
資格職
資格職は、国家資格(保健師、獣医師、薬剤師、保健師、福祉士など)を活かして業務に従事します。
当然ながら受験資格にも一定の免許や資格を有していることが要求されます。
消防士
その他として、消防士の採用も市役所単位で行われています(警察官は都道府県単位です)。
待遇〜市役所職員は生活しやすい?〜
気になる給与ですが、これは所在地や職務経験にもよって異なるので一概には言えませんが、市内にある中堅企業のサラリーマンと同等ないしそれ以上といったところでしょうか。
東京のような大都市ですと、一部上場企業の管理職、コンサルのトップなど年収億を超える方々がいるので、公務員の給与は相対的に低く感じられます。
他方、めぼしい企業が数えるほどしかないような地方へ行くと、公務員の給与は高水準で恵まれていることになります。
ただ、市役所職員に限らず、公務員は法律で定められた、通勤、住宅、扶養、残業などの手当てが充実しているので、実際の手取り額は平均給与(基本給)より高くなるのが通例です。
また、信用性が高いことから、住宅ローンなどの審査も通りやすく、金利も安めに設定されることが通例で、出て行くお金が少なくてすむので、これも実質的には収入と言えます。
他に、福利厚生が充実しているのは、読者もご存知だと思います。
育休・産休、子育て中の時短勤務も奨励され、臆することなく活用できるのは公務員の大きなメリットです。
筆者が10年以上前に、ある市役所の研修を担当していた時、女性職員の方が「時短勤務中なので早退します」と自然に申し出され、周りの職員の方(男女問わず)も当たり前のように接しておられたのを間近にして、職場の意識の違いにちょっとしたカルチャーショックを受けたのを鮮明に覚えています。
また、育休・産休後に職場復帰すると、民間企業だとそれまで築いてきたキャリア(地位)がリセットされる不安が付きまといますが、公務員であれば休業前のキャリア(地位)にそのまま戻ることができるのが通例です。
また、研修制度も充実しています。
これは法律で定められています。
筆者も長年、地方公共団体の研修業務を担当してきましたが、ある地方では県下の市町の職員を一堂に集め、通常の業務時間を利用しての研修を担当した経験があります。
民間企業でしたら、就業時間後土日を利用しての研修になりますが(こちらも多く担当しました)、公務員の場合、法律で就業時間外に研修を設定できないことになっています。
職員のスキルアップは、結局は住民の利益になるのです。
市役所の採用試験制度は?
市役所の試験日程~A・B・C・D~
市役所の採用試験は、「A日程」「B日程」「C日程」「D日程」と、筆記試験の実施日によって分類されています。
| A日程 | 概ね6月第4日曜 | 道府県庁、政令指定都市、県庁所在地などの市役所 |
| B日程 | 概ね7月第2日曜 | |
| C日程 | 概ね9月第3日曜 | 全国の多くの市役所がこの日に実施 |
| D日程 | 概ね10月第3日曜 |
ただし、これらの日程は変更になる可能生がありますし、微妙に異なる日程で試験を実施する市役所もあります。
例えば、大阪市は政令指定都市ですが、A日程とは異なるスケジュールで採用試験を実施していますし、試験科目も非常に個性的です。
同じ都道府県内にある市役所どうしは、同一日程で実施されるところもあれば、バラバラの日程のところもあります。
県下の市役所が一斉に試験を実施する場合、その県下の市役所同士は併願できませんし、逆に日程がバラけていて、いくつか併願できる場合もあります。
なので、希望される市役所の試験日程は調べるようにしましょう。
前年の日程通りとは限らないので、必ず受験年に確認することが重要です。
試験内容と科目
試験内容は、「筆記試験(5肢択1)」「小論文」「個人面接」「グループディスカッション」など、受験する自治体や職種によって内容が異なります。
特に、筆記試験(5肢択1)は、教養科目だけなのか、それとも専門科目も出題されるのか、に注意が必要です。
道府県庁・政令指定都市と同に日に実施されるA日程は、教養科目と専門科目の両方が出題されることがほとんどです(中には教養科目だけに絞る市役所もあります)。
他方、B日程、C日程、D日程のほとんどが教養科目のみが出題されます。
受験資格
ほとんどの市役所では、年齢制限のみに限定しています。
中には大学卒業(見込み含む)や、特定の学科の終了(技術職)、一定の資格・免許(資格職)が受験資格になっている場合があります。
募集要項で確認しましょう。
もっとも、市役所の中にはHPを見ただけでは、受験資格がわかりにくい場合も少なくありません。
その場合は、当該市役所に直接問い合わせてみると良いでしょう。
倍率と難易度
公務員試験の難易度ランキングを表示するサイトがありますが、ほとんどが、市役所を難易度最低ランクに位置付けています。
他のコラムでも解説していますが、倍率だけでいえば、国家公務員や地方上級は、2〜3倍、せいぜい4倍程度です。
これに対して、市役所職員の採用試験倍率は4~20倍(年によって変動があります)と、倍率は高まっています。
市役所(政令指定都市以外)は、採用人数が少なく、近年の地元志向の高まりと相まり、競争が激しくなっているのです。
特に、年齢制限が高めに設定されている市役所(定年年齢まで受験できる市役所もあります)は人気が高く、倍率が100倍を超える場合もあります。
筆記試験が教養のみの市役所が多いので、難易度が低いと考えがちですが、大きな誤解です。
科目も多く、範囲もつかみどころのないほど広い教養科目で高得点を取るのは難しいものです。
実際、国家公務員や地方上級受験者は、教養科目を捨て科目として対策をするのが常です。
さらに、試験問題の非公開、絶対的な受験生が少ない、受験情報が入手しにくいといったハードルもあります。
公務員試験において、市役所試験は難易度が高いと言っても過言ではないと思います。
いたずらに脅かしているわけではありません。
要は、軽い気持ちや手を抜いて合格できる難易度の低い試験だと侮るべからず、です。
市役所試験の対策
自分が希望する市役所は、どの日程で試験を実施するのかのチェックを怠らないようにしましょう。
日程は微妙に変化することがあって、毎年同じとは限らないのは、前述した通りですし、併願できるかどうかを左右するからです。
また、採用人数も少なめで、各市役所が個別に採用試験を実施しているからからこそ、フットワークも軽く、試験内容も情勢応じて変化します。
この点もご自身でこまめに情報収拾すべきです。
筆記試験対策と面接対策
筆記試験対策は、国家公務員や地方上級と同じ勉強で対応できます。
特に教養科目は、職種によって出題傾向が大きく異なることはありませんので、同じ問題集を活用することで対応できます。
また、市販の「市役所試験過去問題集」を何回か繰り返すのも有益です。
面接試験と筆記試験のいずれがウェイトが高いかは、受験者数に対する筆記試験合格者数、筆記試験合格者数に対する面接合格者数を比べると大体検討がつきます。
例えば、A市、B市のどちらも受験者数が1,000人で最終合格者数が100人だと仮定しましょう。
| 受験者数 | 筆記試験合格者 | 面接試験合格者 | |
| A市 | 1,000 | 200 | 100 |
| B市 | 1,000 | 500 | 100 |
A市は、筆記試験の倍率が5倍で、面接試験は半分が合格しています。
B市は、筆記試験の倍率は2倍ですが、面接試験の倍率は5倍です。
以上から、A市は筆記試験で高得点を取らなければ面接までたどり着けない、B市は、筆記試験よりも面接重視だ、と予想できます。
市役所で働くメリットは?
市役所の仕事を一言で申し上げると、「住民との距離感近く、レスポンス早く」ではないでしょうか。
福祉、教育、衛生、防災……どの政策も、国、都道府県レベルでも担当しています。
国であれば、各官庁で分担して日本全体に共通する施策を執行し、同じ地方公共団体でも県庁になると、調整業務や県全体を見通した施策が中心となります。
ですが、市役所であれば、住民と直接相対しながら業務に携わることになります。
なので、住民から直接「ありがとう」の声を聞けるとやりがいにも通じますが、逆にクレームもダイレクトに伝わるので、メンタルの強さが要求されるとも言えます。
ただ、自分の担当する職務がどのように住民の役に立っているのか住民とともに実感できるのは大きなモチベーションに繋がると、市役所にお勤めの方からお聞きしたことがあります。
組織が小さいからこそ、一人一人の役割も責任も大きいですが、それこそが市役所で働くことの醍醐味ではないでしょうか。
※関連コラム:地方公務員の仕事内容とは?なるには?職種(種類)は?
最後に
いかがでしたでしょうか?
市役所の仕事、市役所試験の概要、市役所の魅力等がお判りいただけたのではないでしょうか?
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