おばあちゃんの思い出(ドラえもん)

登録日:2011/01/19(水) 08:05:24
更新日:2023/07/23 Sun 10:03:36
所要時間:約 10 分で読めます




「おばあちゃんの思い出」とは、ドラえもんのエピソードの一つ。小学三年生1970年11月号に初掲載され、てんとう虫コミックス第4巻に収録された。


あらすじ

ドラえもんとのび太が押し入れを整理していると、奥からつぎだらけのクマの人形が出てくる。
のび太はこれを、幼稚園の時に亡くなったおばあちゃんに直してもらったものだとドラえもんに教える。

ドラえもんにおばあちゃんとの思い出話をしているうち、のび太は優しかったおばあちゃんが恋しくなってしまい、タイムマシンでおばあちゃんに会いに行こうとする。
ドラえもんは止めるが、のび太は一目見るだけでいいからと過去に行く。


過去の野比家でおばあちゃんを探していると、若い頃のママと鉢合わせてしまう。


だ、だれです、あんたたち。

やあっ、やっぱりわかいなあ!

あら、そうかしら。

でも、やがて小じわだらけになるけどね。


当然追い出される二人。

外へ行っておばあちゃんを探す二人。
しばらく歩くと、3歳の時ののび太と遭遇。だが、チビのび太は舐めていた飴をジャイスネに取られてしまった。現在ののび太は二人にげんこつをかました。なんでも、現在のジャイスネは昨日も学校で現在ののび太を突き飛ばしたのだという。

すると帰ってくる途中のおばあちゃんに遭遇。


お・おばあちゃん!!

ジ~ン

生きてる。歩いてる!

感動に震える現代のび太と、当たり前じゃないかと冷めてるドラえもん。
おばあちゃんが家に着くと、チビのび太が出迎える。


おばあちゃん、花火買ってきてくれた?

ごめんよ。花火は夏にしか売ってないって。*1

チビのび太はどうしても花火が見たいと駄々をこねて、最後には「おばあちゃんきらいだ。あっちいけ!」と言ってしまい、
おばあちゃんは悲しそうに部屋に帰ってしまう。
現代のび太は大好きなおばあちゃんにそんなことを言ってしまった自分が許せず、思わずチビのび太に「おばあちゃんをいじめるな!」と怒鳴って泣かせてしまい、
奥からママが またか と言わんばかりの顔で出てくる。


どうして、うちののび太をいじめるんです。

現代のび太はしどろもどろになりながら、実は自分は未来ののび太だと言うが、ママは現代のび太を頭のおかしい子扱い(改訂版ではSFの見すぎ)してチビのび太と家に戻る*2
もう充分だろう、これ以上ここにいても仕方ないとドラえもんは帰ろうとするが、現代のび太はもう少しだけと再び野比家に侵入。

速攻でチビのび太に見つかってママを呼ばれてしまい、慌てて飛び込んだのがおばあちゃんの部屋だった。
おばあちゃんは素姓の知れない現代のび太を、何も言わずに匿ってくれた。
ママをやり過ごした現代のび太は、クマにつぎをあてているおばあちゃんと話をする。



おばあちゃんは、ぼくのことあやしまないの。

いいえ。

おばあちゃん、のび太くんがかわいい?

ええ、ええ。そりゃもう。

いつまでも、いつまでも、あの子のそばにいてせわをしてあげたいけど、
そうもいかないだろうね。
わたしももう、年だから。

そ、そんなさびしいこと、いわないでよ。

せめて、小学校へ行くころまで、生きられればいいんだけどね。
ランドセルしょって、学校へ行くすがた。ひと目見たいねえ。


のび太はある決心をして、現代から自分のランドセルを持ってきて、おばあちゃんの前で背負う。


信じられないかもしれないけど。ぼく、のび太です。


おばあちゃんは驚かずに、「やっぱりそうかい。さっきから、なんとなくそんな気がしてましたよ」と言った。




信じてくれるの?うたがわない?








だれが、のびちゃんのいうこと、うたがうものですか。


おばあちゃん


のび太はおばあちゃんに抱き付き、涙を流す。


のびちゃんの小学生すがたを見たら、よくが出てきちゃったよ。

あんたのおよめさんを、ひと目見てみたいねえ。

再び現代に戻ったのび太は、しずかちゃん宅を訪ね、「今すぐぼくとけっこんしてよ」と懇願するのだった。


アニメ版

ドラえもん屈指の名作だけあって、日テレ版からわさドラまで幅広くアニメ化されている。

◇日テレ版「のび太のおばあちゃんの巻」
1973年6月10日に放送された。

◇大山版「おばあちゃんのおもいで」
1979年5月21日と22日に放送。当時は月曜日から土曜日に10分間放送されていた帯番組だったが、オープニングやCMの時間を除くと本編は6分30秒しかなかったため、前編と後編に分かれて二日間放送された。

◇大山版「おばあちゃん大好き」
1986年1月3日に特番として放送された。

◇わさドラ版「おばあちゃんの思い出」
2006年6月30日に特番として放映された。
初放映時は「あの名作をもう一度…」という煽り文がついていた。
オチでは結婚をせがむのび太に対してしずかが笑顔で顔をビンタする描写が追加されている

◇わさドラ版「おばあちゃんのおもいで」
2011年6月24日に放送された。
チビのび太がくまのぬいぐるみを無くしてしまう話が追加されており、
現代のび太とドラえもんも陰ながらぬいぐるみ探しに協力し、おばあちゃんがやっと見つけ出すもカラスにつつかれてボロボロになっており、チビのび太は思わず「おばあちゃんなんかしんじゃえ!」と言ってしまうなど、チビのび太のワガママが強調されている。
一応、ラストでは直したぬいぐるみを見て「ぼくおばあちゃん大好き!」と機嫌を直している。
子供って残酷。


映画版



これは、僕とおばあちゃんの思い出のぬいぐるみなんだ。

子守唄を歌ってくれたおばあちゃん、優しかったおばあちゃん…

もう一度、会いたいよ…

おばあちゃん…


2000年3月11日に『ドラえもん のび太の太陽王伝説』『ザ☆ドラえもんズ ドキドキ機関車大爆走!』との同時上映作として公開された。

チビのび太がおばあちゃんに買ってくるよう頼んだものが団子に変更されており、団子が売り切れだったから代わりにおはぎを買ってくる流れになっている。
しかもチビのび太は原作の「おばあちゃんなんてきらいだ!あっちいけ!」に加えて「おばあちゃんなんかいなくなれ!」と言ってしまっている。やがて本当にそうなってしまうとは夢にも思わずに…
そしてチビのび太を怒った現代のび太が、後で自分の過去の暴言を後悔している。

原作の花火はその後、チビのび太がおばあちゃんと一緒に出掛けた際に探す展開になっているが、花火の季節じゃなかった(秋も終わりの頃)のでどこにも売っておらず結局買えなかった。
さらにクマのぬいぐるみが犬に奪われてしまい、現代のび太とドラえもんが取り戻そうとする展開が追加されている。
その直後にチビジャイアンとスネ夫が、ぬいぐるみを持った現代のび太を泥棒と勘違いし、彼からぬいぐるみを取り戻そうととびかかってくるが、現代のび太はわざと負けたふりをして彼らにぬいぐるみを返している。

原作ではのび太がランドセルを取りに現代に戻っていたが、劇場版ではのび太がおばあちゃんの願いに戸惑っている間に、ドラえもんが持ってきてくれている。
また、現代のび太が現代に去った後、チビのび太がおばあちゃんに「おばあちゃんは大きくなったら何になりたいの?」と聞くシーンが追加された。おばあちゃんの返答は……
ラストのおよめさんを見たくなった云々のオチは、ぬいぐるみのほころびをママが直してくれていたという内容に変更。

他にも、原作には登場しなかった幼少期のしずかちゃんも登場する。

また本作で幼少期のスネ夫役を演じたのが、後にわさドラ版でスネ夫役になった関智一である(幼少期ののび太は大本眞基子、幼少期ジャイアンは女性声優のくじら、幼少期のしずかちゃんは佐久間レイが担当)。


後日談

おばあちゃんは「パパもあまえんぼ」の回で再び訪れたのび太のことを「こないだ来た十年後ののびちゃん」と迎え入れ、
のび太が連れて来た酔って荒れるパパを優しく甘えさせた。

さらに「あの日あの時あのダルマ」の回では、病床に就きながらものび太の泣き声を聞き付けるとすぐに飛んでいく。
そして庭で転んで泣いているのび太に倒しても自力で起き上がる達磨を見せて達磨のように強い子になってほしいと言い、
のび太は達磨のようになんど転んでも必ず起き上がるとおばあちゃんと約束した。

そしてそのすぐ後に亡くなったという……

のび太のおばあちゃんマジ聖母。





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最終更新:2023年07月23日 10:03

*1 当時は、夏の短い期間にしか花火を取り扱わない店がとても多かったのだ。コンビニもないし

*2 ネット上に出回っている、ママが「かわいそうに。頭がおかしいのね」と言うコマはこの時のもの