ねえママ、心中やんなっちゃった
お母さん、そちらにいるときと全く違う時間に寝て全く違う時間に起きて、全く違うご飯を食べていることを許してください。
『年中無休で相談受け付けております。』
今日は職場のケータイ持つ日だからお酒飲めないわ。また新しいケース担当することになったの。また息子さんがお母さんのこと虐待してるのよ。県営住宅追い出されちゃったんだって。
背が高く産んであげられなくてごめんね。こんな顔に産んじゃってごめんね。整形はしないでね。体が悪くなるから。ピアスも開けないでね。耳が悪くなるから。
あんたたちが一人で食えるようになるまでは死ねないわ。あんたたちが一人で食えるようになったら死ねるわ。はやく一人で食えるようになってください。
そんなの趣味でいいじゃない。したいことしたいことって、私だってしたいことしたいわ。あんたたち食わすために仕事してるのよ。死にたいわ。あんたたちが生きてるの誰のおかげだと思ってるの。でも私が死んだらあんたたちが可哀想だもんね。生まれてきてくれてありがとう。愛してる。大好きよ。子どもはお母さんを選んで生まれてくるんでしょ。
「ウチの娘、○○大学落ちたのよ〜〜」
と話すおばさん。娘さんも2ヶ月に1回ここに来て髪を切ってもらっていたけれど、おばさんによる受験失敗報告以降一度も来ていない。予備校にも行っていないらしい。
その数カ月後、おばさんの知り合いのお客さんの話によると、彼女は半ば強行的に家を出て東京に行ったらしい。顔の可愛くない女の子が東京なんて行ったらさらにブスに見えるから、田舎で田舎の人と結婚して子供を育てればいいのに、と言われていた。でも私は彼女の肩マッサージしかしたことがないので、関係ない。
この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!