自首したお笑い芸人(名探偵コナン)

登録日:2016/12/05 Mon 06:44:50
更新日:2023/08/22 Tue 22:14:34
所要時間:約 9 分で読めます




俺、社長を、ウゥ……殺めてしまったんです!



『自首したお笑い芸人』とは、かつて「名探偵コナン」において江戸川コナンが解決した事件のうちの一件。
2014年11月1日、11月8日にテレビアニメ第757話・第758話として放映された、原作漫画には無いアニメオリジナルエピソードである。
この週より、OPがKNOCK OUT MONKEYのアッパーチューン「Greed」から倉木麻衣の「DYNAMITE」になった。
OPとEDが共に倉木麻衣のものとなったのは2013年2月9日以来。
脚本は扇澤延男氏が担当。


以下、ネタバレにご注意ください。



【ストーリー】

小五郎はパチンコ屋の帰りに、米花駅前交番に落し物を届けに来たコナンを見かけ声をかける。
そこに、お笑い芸人のドドンパ六助が血相を変えて駆け込んできた。
彼は所属事務所で社長の天藤を殺害してしまったことを自首しに来たというが……


【事件関係者】

  • ドドンパ六助(ろくすけ)
CV:西村朋紘
ピン芸人。本名は谷垣六助(たにがき ろくすけ)。30歳。
ギターを弾きながら「ホントですって、みなさーん。ドドンパ♪ドドンパ♪嘘つかない♪」でネタを締める「嘘つき漫談」をしている。
金髪のソフトモヒカンに黒ぶち眼鏡、某組長先生のものに酷似した黄色いジャケットという容姿。
作中では笑点の演芸コーナーに似た番組に出演してネタで笑いを取っていたり、コナン、小五郎や山田なども知っていたり街で顔を指されるシーンもあったり、知名度はそこそこ。
一方でコナンが「テレビで見るとクセの強い嫌な人かと思ってた」というシーンがあり、好感度の方はあまり高くないようだ*1
芸人としての経歴やポジションは、作中の描写では微妙にわかりづらいが、年齢から考えると売り出し中の若手芸人といったところか。
米花町から車で1時間の曙町に住んでいる。

11時30分過ぎに米花駅前交番に天藤を殺害したと自首。
駆け付けた目暮ら捜査班に、11時10分に事務所を訪ね新ネタを披露するも、芸に対する考え方の違いから口論になり、カッとなって部屋にあった金属バットで天藤の頭を殴って殺してしまったと供述。

  • 天藤英樹(てんどう ひでき)
CV:坂東尚樹
ドドンパの所属する芸能事務所・天藤芸能社の社長。42歳。
芸能事務所とは言うものの、自宅であるマンションの一室をオフィスに、社員1人所属タレント1人という本当に小さな事務所で、ドドンパのマネージャー代わりもして共に仕事をしてきた。
有名なバラエティ番組からのドドンパへのレギュラー出演のオファーを「自分はあの番組が嫌い」というだけで勝手に蹴り、ドドンパに恨まれていたという。

  • 山田(やまだ)*2
CV:古川裕隆
米花駅前交番の巡査。
落とし物を届けに来たコナンと、コナンが何かやらかしたと勘違いして交番に入ってきた小五郎の応対をしていた時に、ドドンパが自首してくる。
その事にとても驚いていたが、捜査には参加せず。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
米花駅前交番に財布の落し物を届けに来た際に、ドドンパの自首に出くわす。

ご存知おっちゃん。
米花駅近くのパチンコ屋に行くも、寝過ごしていい台が占領されていたため帰る途中で、コナン共々今回の事件に出くわす。
ドドンパの取り調べに「何かお役に立てれば」と同席するが、疑問を差し挟む余地のない事件に、早々と退散しようとする。
ネクストコナンズヒントでの掛け合いでは「ドドンパってオバQ出てたよな?」とボケ、コナンに「それはドロンパ」とつっこまれた。
オバQは週刊少年サンデーで連載されていたので多分セーフ。

ご存知警部殿。
取り調べの同席を希望した小五郎を「余程ヒマと見える」と見抜いていた。

ご存じ高木君。
ドドンパの自供の裏を取るべく司法解剖に立ち会う。

ご存じ千葉君。
ドドンパの自供の裏を取るべくドドンパの芸人仲間に事情聴取を行う。



【以下、さらなるネタバレにご注意ください】




















ドドンパ六助、恩人である天藤英樹の名誉を守るため、犯人になってあげたかったんです!

  • ドドンパ六助
捜査が進むにつれ、供述と実際の凶器や死亡時刻に食い違いが生じ始め、極めつけに本当の犯行時刻である9時に、曙町の須田のアトリエを訪れていたというアリバイが証明される。
事務所を訪ね、天藤の遺体を発見したドドンパは、天藤に強請られていた人物が殺害したと推理。
自首したのは警察の捜査で天藤の裏の顔が暴かれるのを防ぐために、自分が犯人になろうとしたのだという。
そのため、部屋にあったバットを凶器に仕立てようと指紋をつけるなどの工作を行った。
「強請り」の詳細は知らず、現場への工作は事件解決後に追究することになったので解放される。
その後事務所のマンション前に待ち構えていた報道陣に緊急の謝罪会見を涙ながらに行った。

  • 天藤英樹
業界人の弱みを握り、現金を強請っていたという裏の顔があったことが、ドドンパの供述で明らかになる。
事件前、8時前にマンションの隣のコンビニで温めた弁当を買いカップ麺にお湯を入れている姿が監視カメラに映っていた。
司法解剖の結果、殺害されたのは食後約1時間と判明したため、死亡推定時刻は9時くらいである。

  • 須田泉(すだ いずみ)
CV:堀絢子
画家。68歳。
ドドンパの近所にアトリエを構える笑い上戸な老人。
ドドンパとは半年ほど前に知り合って親交を深めていたが、テレビもラジオもない生活を送っているため、当初は彼が人気芸人であるとは知らなかった。
犯行時刻の9時に、借りていた画集を返しにドドンパがアトリエを訪れ、その後一緒にお茶を飲んでいたというアリバイを証言、彼の無実を証明した。
都内に立派なアトリエがあり、画集を何冊か発行しているので、結構有名な画家なのかもしれない。
一見浮世離れしているように見えるが、小五郎の使いで来たといつもの手段を使うコナンに対して「子供の使いをよこさず自分でこい」と言って帰させた良識人。

  • 江戸川コナン
マンションのエントランスで管理人に出会い、彼の証言から非常階段脇に真の凶器である鉄パイプを見つける。

  • 毛利小五郎
結局最後まで「名探偵」の出番がなかったことに愚痴をこぼした。

  • ティッシュ配り
CV:阿部敦
パチンコ屋に勤務する山村ミサオ似のティッシュ配り。
須田のアトリエ近くでティッシュ配りをしており、小五郎にティッシュを渡した。
その後コナンにある事を訊かれる。


【以下、事件の真相…更なるネタバレに注意】
























ピンポーン☆当ったりー♪ あの社長、古臭いんだよ、「芸人は芸を見せる仕事以外は受けるな」とか言っちゃってぇ!

  • ドドンパ六助
この事件の真犯人。
考え方の相違から邪魔になった天藤を消し、且つ世間からの注目を浴びる売れっ子になるために、「何者かに殺害された恩人の名誉を守るために無実の罪を被ろうとした漢」という虚像をマッチポンプで作るこの計画を実行した。

事件当日、凶器の鉄パイプを人気のない工事現場から調達、クラブケースに隠し持って、9時に事務所を訪れ天藤を殺害。
その後アリバイ工作のため曙町に戻り、須田のアトリエを訪ねる。前夜にアトリエに侵入し、壁掛け時計を1時間遅らせていたため、須田はドドンパが9時に訪ねてきたと証言したのだ。
手土産の茶菓子に仕込んだ睡眠薬で須田が眠ると、時計のズレを戻し、再び米花町の殺人現場へ向かうと、バットの工作を行って米花駅前交番に自首した。

事件後には目論み通りにテレビや新聞で取り上げられ、出演オファーも多数寄せられた。
しかし、コナンが記者の1人から「匿名でドドンパ自首のタレコミがあった」と聞き、タイミングからドドンパにしかリークできないと考え、不信感を抱かれる。
さらにアトリエに向かう途中の10時前に配られていたパチンコ屋のティッシュを持っていた事に加え、その時にティッシュ配りと揉めて、須藤に返す画集にティッシュ配りの指紋が付いた事が決定的な証拠となり、犯行が暴かれる。

犯行の露呈後は悪びれもせず、

「俺ら芸人は何やってでもバンバン稼ぎたいわけさ。だから邪魔なんで消えてもらったと。
仰るように、一石二鳥を狙ってね。
そしたらもー、狙い通り! 出演依頼殺到だよ!
何しろ今俺は! 好感度急上昇の時の人だから!
あっはっはっはっはぁ! ひーはっはぁ!
いやー、本当ですって皆さーん、ドドンパ♪ ドドンパ♪ 嘘つかな~い♪

ティッヒー☆」

とおどけるが、目暮の怒りを買い「ふざけるな!! 貴様、人の命をなんだと思ってるんだ!!」と怒鳴られ尻もちをつき、肩を落として泣きじゃくった。
その様子には、目暮だけでなく、コナンに高木、千葉まで怒りの眼差しを向けていた。

有名になれるチャンスを潰されたのは確かに哀れだが、
  • 殺人を売名行為に使う
  • 嘘をついて被害者を陥れる
と言った悪辣さが目立ち、あまり共感はされないだろう。

  • 天藤英樹
強請りの話自体がドドンパの出まかせであり、千葉の聞き込みによると、みな口をそろえて他人を強請るような人間ではないと証言している。
だが、直接明言はされてないもののドドンパに対してのレギュラー出演のオファーを独断で断った事を考えると、こちらも被害者とはいえ共感はされにくいだろう。
8時から朝のワイドショーの女子アナを見ながらコンビニ弁当で朝食を取る事が日課だった為、それをドドンパの殺害計画に組み込まれた。

  • 須田泉
テレビもラジオも携帯電話も持たず、絵を描きたい時に描き、眠くなった時に眠り、戸締まりもしないというアリバイ工作に利用してくれと言わんばかりの浮世離れした生活を送っていた為にドドンパのトリックに利用されてしまった。
ちなみにそんな生活の為、小五郎のことも知らなかった。

  • 江戸川コナン
凶器の鉄パイプが処分されずに非常階段脇に放置されていたことと、マスコミの動きが早すぎることからドドンパに不信感を強く抱き、
事件翌日マンションに現れたドドンパに「おじさんは犯人の目星がついている」と揺さぶりをかけ、動揺したドドンパはポケットから証拠となるティッシュを落とした。
エピローグではティッシュ配りの売り文句を真に受けパチンコで大負けした小五郎に「名探偵がそんな見え透いた嘘に引っかかるなよ」と呆れていた。

  • 毛利小五郎
須田のツッコミどころ満載の証言を「ガチガチで疑問はさむ余地なんてねー」と安心の迷探偵ぶりをみせる。
もうちょっとコナンが引き出した証言にも耳を傾ければ活躍できたのだが……
よほどパチンコが打ちたかったらしく、ティッシュ配りに出くわした直後、大喜びでパチンコ屋にダッシュして行き、そして大負けした。
エピローグでティッシュ配りに再び出会うと顔を真っ赤にして怒り、「出せ出せ!出しやがれ!!」と誤解を招きかねない発言で追い回していた。


【余談】

「コナン」の世界に登場するお笑い芸人・お笑いタレントは今回のようにどういうわけか殺人を犯した人物が多い。
以前放送された『ゾンビが死んだ夜』に登場した芸人は相方を殺害しており、のちに放送された『七年後の目撃証言』に登場した芸人にいたっては過去に強盗殺人を犯していたというドドンパ以上に問題のある人物だった。
その為、まともなのは『救急車を呼びに行った男』に登場したにっこりピースこと広松広ぐらいである。

ちなみに原作ではお笑い芸人・お笑いタレントが登場する事は殆ど無く、俳優や女優のほうが登場している。


追記修正はテレビもラジオもケータイもない家で、戸締まりもせず眠った後でお願いします。

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最終更新:2023年08月22日 22:14

*1 何気にコナンの苦手な芸能人が登場するもの全体的に珍しかったりする。

*2 キャスト欄にて。公式サイトでは「相田」になっている。