風水占いの罠(轟轟戦隊ボウケンジャー)

登録日:2021/08/26 Thu 01:35:51
更新日:2023/04/24 Mon 02:16:17
所要時間:約 10 分で読めます





Task.27!

君の風水超最悪!


ぐ、偶然だ…。俺は占いなんて信じない!

明石!

不幸だ……不幸すぎる……。


風水占いの罠


占いなんかで負けてたまるか!!









轟轟戦隊ボウケンジャー』Task.27(第27話)として放送されたエピソード。

大筋だけ見れば「思わぬ不幸に見舞われても仲間たちと協力することで乗り越えられる」という王道な話なのだが、
その不幸(文字通り)に見舞われるのが我らがチーフこと明石暁、酷すぎる不運、そしてある意味伝説となる変身形態が登場することでカオス回として知られる。

初回放送日:2006年9月3日
脚本:大和屋暁
監督:竹本昇



【あらすじ】


ミッションに向かうボウケンジャーの5人。道中、菜月と真墨はアクセルラーで占いサイトにアクセスし、今日の運勢をチェックする。
その占いによると今日の明石の運勢は最悪らしいが、明石は「そんなものに左右されていては冒険などできない」と全く意に介さない。

今回の目的地は異常なほど当たると評判の風水師・珍崇光の占い館。
その的中率に目を付けたサージェスが、プレシャスの力である可能性が高いと考え、回収の交渉をするのが今回のミッションだ。
ボウケンジャー到着後間もなく、珍から伝説の風水羅盤を奪い取った邪悪龍・ターロンが館から出てくる。
さくらはすぐさま風水羅盤をサーチ、ハザードレベル88のプレシャスであることを確認すると、5人は回収すべく変身してターロンと戦闘に入る。

戦闘の中、ターロンはボウケンジャーを投げ飛ばすなどしてそれぞれの位置につける。
「東に、南に、西に黄色桃色、そして北に。いい風水だ。そしてこの風水羅盤を使えば……」
ターロンが風水羅盤に手をかざすと、不思議な光に包まれた。
「ウハハハ!僕の風水は固定されたよ!これで僕は最高の運勢を手に入れたんだ!」
ターロンが奪い取ったプレシャス、風水羅盤・竜眼の力は「地脈と気のパワーを増幅して、人の風水的運勢を固定する」というもの。
その幸運は凄まじく、射撃自慢のさくらの弾丸が全て外れ、攻撃を跳ね返した蒼太は更に窓ガラスに反射され被弾。
500円玉小銭を拾おうとして真墨の攻撃を回避し、立ち上がった拍子で明石を怯ませる。もはや宇宙一ラッキーな男レベルである。

そしてターロンのパンチで吹っ飛ばされた明石の元に他メンバーが駆けつけるが、その配置が「東に、西に、南に黄色桃色」という風水的には超最悪な配置となってしまう。
この機を逃さずターロンはプレシャスで明石の運勢を固定する。
「ご愁傷様。ま、せいぜいがんばってね?」
ターロンは眼からの光線で威嚇射撃をするとその場から退却した。

サージェスに帰還したボウケンジャーはジャリュウ一族が風水羅盤・竜眼を奪った目的、そして明石の固定された運勢について話す。
未だ風水について懐疑的な明石だったが、座ろうとした椅子が倒れ、突如として割れた天窓の破片が当たりそうになり、とっさに避けたら階段を踏み外して背中から転び、衝撃で倒れてきた蒼太のギターが額に直撃してしまう。
明らかに動揺した声色をしながらも、明石はあくまで偶然と言い張る。

そこに映士が現れ、陰陽道、風水ともつながりがある高丘流の者として明石に忠告をする。
「風水とは、古代中国に生まれた占いだ。太陽、風、水、土……。そして色など、様々なエネルギーの流れを読み、それをスムーズに流すことにより、幸福を得ようという考え方だ」「そして、その気の流れを調べる道具が風水羅盤というわけだ」
「しかしこのままじゃマズいぞ明石。そいつは風水を固定したと言ったんだよな? 今の悪い運勢がこのまま続けば、下手すりゃ命にかかわるぜ」
なおも信じてたまるかと意地になっていた明石だったが、飲もうとしたマグカップの取っ手が取れて落としたことで、ようやく事態の重大さを認識する。
明石はこれ以上自分の不幸にみんなを巻き込めないと、メンバーにプレシャスの調査を指示し自分のことは自分でなんとかすると部屋を飛び出してしまった。

外へ出た明石だったが、サッカーボールが後頭部にぶつかり、側溝の蓋を踏み抜いて左足が泥まみれになってしまう。
足を洗おうとすれば蛇口は壊れて全身ずぶ濡れになってしまい、後ろ向きに転ぶとラーメン屋の出前持ちにぶつかり顔から冷やし中華を浴びてしまうという不運に見舞われる。
「これがプレシャスの力か……っ!」
一方サージェスでは、蒼太とさくらは風水の大まかなことを調べ、真墨と菜月は明石のために開運グッズを買い揃えていた。映士はリクライニングチェアで居眠りしていた。
「あったよ。開運麦わら帽子に、幸運を呼ぶスカーフ。あとは、ラッキーふさふさしっぽ」
「こっちは厄除ブレスレットに、明石の星座にピッタリのハッピー法被だ」
そこに牧野が、大手ドーム球場の屋根が突然ピンク色に塗り替えられたという報告にやって来た。ボウケンジャーたちはこれをジャリュウ一族の手によるものと判断する。

その頃明石の不運は、空き缶を踏んで転んだところに高層ビル建築用クレーンが落ちてくるという事故に巻き込まれ、間一髪で変身して難を逃れるも鉄パイプを踏んで転び、走行中の大型トラックの目の前に飛び出して吹っ飛ばされ、ジャリュウ一族を見つけて追いかけようとするが車止めにスネをぶつけ、悶絶している間にジャリュウ一族に倒壊されたビルのガレキの下敷きになるという、いよいよ命がいくつあっても足りないレベルへとエスカレートしていた。

サージェスでは他メンバーたちが、ジャリュウ一族の行動の真意を探っていた。
風水羅盤・竜眼を奪ってからの一連の行動を風水の見地から見ると、ジャリュウ一族は地中を流れる巨大な風水エネルギー、地脈の流れを無理矢理変えてとある一か所に収束させ、竜穴と呼ばれるスポットを作り出していたことがわかった。
その竜穴にジャリュウ一族がいると判断し、ボウケンジャーは明石と合流することに。

右目の周りに痣を作るなどすっかりボドボドになった明石は、その辺の木の棒を杖代わりにやっと歩いていた。
「不幸だ……不幸すぎる……」
しかし棒も折れてしまい、明石は川の土手を転がり落ちる。
「ぁぁ……ぁぁ……ぁぁ……ぁっ……」
弱々しい悲鳴を上げながら土手を転げ落ちちんぐり返しの形になる明石からは、もはや普段のボウケンスピリッツに溢れ威風堂々としたチーフの姿はない。
「俺はもう、ダメかもしれない……」
「チーフ!」
合流を果たしたボウケンジャーだが、明石は「今の俺じゃボウケンジャーが務まるどころか、ちょっとした冒険すらできやしない」とすっかり意気消沈している。

そんな明石に、菜月は開運麦わら帽子を被せ、ハッピー法被を着せる。
「これは……?」
「みんなで集めた開運グッズだよ。これさえ付けれれば、運勢アップ間違いなし!」
「気休めかもしれないけどな。ないよりはマシだろ」幸運のスカーフを差し出す真墨。
「きっと効きますよ!」厄除ブレスレットを差し出す蒼太。
「チーフ、行きましょう!」ラッキーふさふさしっぽを差し出すさくら。
特に何も用意してなかったので微笑でごまかす映士。
「ごめんネ、おれ何も渡さなくて」*1

「そうだな……こんなところで落ち込んでるわけにはいかない。俺はボウケンレッドだ!占いなんかに負けてたまるか!!」
奮起した明石は開運グッズを全て装着する。

「みんなの気持ち、確かに受け取ったぞ!ボウケンジャー、総員出動!!」

竜穴となるスポットではリュウオーンとターロンが、集めた地脈のエネルギーを竜眼で増幅し、その力で世界を制覇しようとしてた。
そこに変身したボウケンジャーが現れるのだが……
「フフハハハハハwww」
「ボウケンレッドwwなんだその恰好はッハハハハ」
「大きなお世話だ!」


なんと明石はアクセルスーツの上からすべての開運アイテムを装着していた。
その姿にターロンどころかリュウオーンまで爆笑する。
それでもボウケンジャーたちは恒例の名乗りを上げていく。

「眩き冒険者!ボウケンシルバー!」
「深き冒険者!ボウケンピンク!」
「強き冒険者!ボウケンイエロー!」
「高き冒険者!ボウケンブルー!」
「迅き冒険者!ボウケンブラック!」
「熱き冒険者!ボウケンレッド!」
「ウフハハハハハwww」
「ハッハッハッハッハッwww」

轟轟戦隊!

ボウ!!


「うわっ、熱っつ!熱っつ!!」


敵に爆笑されながらも名乗り終えたボウケンジャーだったが、恒例の謎爆発が明石の背中に引火してしまい、一同が慌てて消火にかかる。

その様子に一層大笑いするリュウオーンとターロン。
「なるほど。確かに運勢最悪のようだな!」
「そんな君が、運勢最高の僕と戦おうなんて、結果は見えてるよ!」
「そんなことはない!俺には皆から貰った、幸運のアイテムがある!」
「フン。そんな物、気休めにもならないよ」
「いや、今もこのハッピー法被を着ていたおかげで、大事には至らなかった。行くぞ!」


「着てなかったら燃えなかったんじゃないのかな」*2


明石は崖の上からターロンたちのいる崖下へと飛び降りた……と同時に、転がってきた落石の下敷きになった。
が、明石は岩を跳ね飛ばす。
「大丈夫。この幸運のスカーフのおかげだぁっ!」
尚も向かってくる明石に、ターロンは雷雲を呼び寄せ落雷を浴びせる。
「この厄除ブレスレットのおかげで…………雷なんか……全然効きはしない……」
それでもなお向かってくる明石に、ターロンは今度は右手から電撃を放出して攻撃する。
爆炎の中でも明石の足は止まらない。
「まだだ。ラッキーふさふさしっぽがあるから、まだやれるっ!」
「そんな、バカな……!」
不運に加えて数々の攻撃を受けてもものともしない明石に、ターロンはたじろぐ。
「まだわからないのか?このアイテムには、みんなの気持ちがこもってるんだ。みんなの気持ちに、俺は支えられているんだ!」
そして駆け出す明石。しかし足元の地面の凹みに足を取られつまづいてしまう……が、そのおかげでターロンの光線をかわすことができ、すぐに受け身を取ってターロンに突進、開運麦わら帽子を身代わりにターロンから竜眼を奪う。
そしてそのままボウケンジャベリンを構え、レッドゾーンクラッシュの一撃でターロンを切り伏せる。
流石にダメージが蓄積し膝を付きそうになった明石を他メンバーが支え、さくらが竜眼を操作して明石の固定された運勢を解除する。
不運から解放された明石は、いそいそとハッピー法被を脱いだ。


「責任は取ってもらう……!」
瀕死となったターロンをリュウオーンは竜穴へと蹴り落とす。
竜穴のエネルギーにより、ターロンは復活、巨大化する。
ボウケンジャーたちはゴーゴービークルを呼び出し、ダイボウケンとサイレンビルダーに合体、応戦する。
竜穴の力を得たターロンはロからの火炎放射と落雷攻撃で二機を追い詰める。
更にターロンの立ち位置は東の川と西の山脈に挟まれ、最高の気を感じる位置であった。

「それはどうでしょうか?ゴーゴービークル、発進!」
ハッシンシフト、オーン!!ゴー!ゴー!

さくらがアクセルラーを操作して、ゴーゴードリルゴーゴーショベルゴーゴーミキサーゴーゴークレーンを呼び出し、ターロンを包囲する。
「東にオレンジ、西に水色、南に、そして北に!!あなたにとって、最っ悪の風水です!!」

「え?俺って藍色なんじゃ……」

そして奪い取った竜眼の力を、明石がダイボウケンのパラレルエンジンで増幅し、ターロンの最悪の運勢を固定する。
運勢最悪となったターロンの電撃攻撃は何発撃とうとも命中せず、足元の岩につまづいて転んでしまう。
そして超轟轟合体したスーパーダイボウケンのダブルアームクラッシュを食らい爆散した。

後日、無事竜眼を回収したボウケンジャー。
「色々あったがあれはプレシャスのせいだ。結局占いなんて物は気の持ちようで何とでもなる。今回のことで俺はそれを確信した」
そう語る明石だったが、大きく「開運」と書かれた財布を持っていることを映士に見つかり、蒼太のPCで占いサイトを見ていたこともバレてしまう。
財布を取り返そうとして靴紐を踏みつけ転び、またも蒼太のギターが頭にぶつかった明石の姿に、サロンは笑い声に包まれるのであった。


【余談】

邪悪竜ターロンのモチーフは一目瞭然、『五星戦隊ダイレンジャー』のスーパー戦隊最強キャラとも噂される大神龍
デザイナーの篠原保氏は「初期から東洋風の龍デザインを考想していたが、お話に生かされていて良かった」とDVD特典でコメントしている。
そんなターロンを演じたのは島田敏氏で、『忍風戦隊ハリケンジャー』で演じたサタラクラばりのハイテンションな演技が光る。

今回登場した開運グッズを全身に装着したボウケンレッドはファンの間で「ボウケンレッド開運フォーム」などと呼ばれており、『非公認戦隊アキバレンジャー』にもこの姿で出演している。アプリゲーム「スーパー戦隊レジェンドウォーズ」では開運フォームが正式名称となり、開運グッズをすべて3DCG化して身に着けているという豪華っぷり。スキルを使うことでしっかり法被が燃えてメンバーが消火にかかる。

海外リメイク版『パワーレンジャー・オペレーション・オーバードライブ』でも本エピソードがまさかの完全再現されている。
流石に風水周りの設定は欧米では分かり辛いと判断されてかシンプルに「運を操作」という形に変更されたものの、マック/レッドレンジャーが不運に見舞われてしまう点までしっかり再現されており、
日本版とは異なるパワレン版開運フォームもしっかり新撮されたりと、向こう側のスタッフの熱意とオマージュが伝わってくる内容となっている。

ちなみにED後放送された「スーパー戦隊大集合」は第24作『未来戦隊タイムレンジャー』。
作品紹介後はボウケンジャーが過去の戦隊ネタおよびコスプレを披露するのが定番だったが、なんと明石は浅見竜也たちの私服ではなくクロノスーツ(変身前に着ける全身タイツインナースーツ)を着込んでいた。
風水占いの呪いがまだかかっていたのであろうか……?

放送から12年後の2018年9月3日に『アイドルマスター シャイニーカラーズ*3で公開された4コマ漫画風野灯織がほぼ同じ衣装を着たことで話題となった。
ちなみにその衣装が入っていた箱には「開運」と書かれていた。


追記修正は仲間たちから貰った開運グッズを全て身に着けつつお願いします。


画像出典:轟轟戦隊ボウケンジャー Task.27「風水占いの罠」/©2006 テレビ朝日・東映・東映AG/2006年9月3日放送

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最終更新:2023年04月24日 02:16

*1 DVD特典「スタートアップ!轟轟トーク」よりキャストのコメント

*2 DVD特典「スタートアップ!轟轟トーク」よりキャストのツッコミ。というか、多くの人が同じことを考えていたはず。

*3 開発元はBANDAI