賃貸不動産経営管理士の難易度はどれくらい?合格点・合格率&類似資格と勉強時間を比較!
- 2021.03.29
「賃貸不動経営管理士の資格取得を目指しているが、どれくらい難しいの?」「合格率が下がっていることは本当?」
賃貸不動産経営管理士の資格について、上記のような疑問をお持ちではありませんか?資格取得を目指すうえでは難易度や合格率が気になりますよね。
賃貸不動産経営管理士は令和3年から国家資格になり、不動産業界で注目を集めている資格です。賃貸不動産経営管理士は、宅地建物取引士やマンション管理士に比べると難易度はそれほど高くはありませんが、しっかり対策を行わないと合格が難しいです。
このコラムでは、賃貸不動産経営管理士試験の難易度や合格率について解説します。
目次 [表示]
賃貸不動産経営管理士の難易度は?合格率・合格点の推移
近年の賃貸不動産経営管理士試験の合格率は30%前後です。
試験の合格率が約30%ということは10人中3人が合格できる程度の難易度であり、「難関資格」ではありません。しかし、誰でも簡単に合格できるわけではなく、合格に向けて対策を行う必要があります。
合格点と合格率の推移
過去5年の賃貸不動産経営管理士試験の合格点と合格率は、下の通りです。
年度 | 合格点 | 合格率 |
令和4年度(2022年度) | 34点(50問中) | 27.7% |
令和3年度(2021年度) | 40点(50問中) | 31.5% |
令和2年度(2020年度) | 34点(50問中) | 29.8% |
令和元年度(2019年度) | 29点(40問中) | 36.8% |
平成30年度(2018年度) | 29点(40問中) | 50.7% |
令和4年度の試験では合格率は27.7%と、これまでで最も低い合格率となりました。
出典:令和4年度 試験結果-賃貸不動産経営管理士(賃貸不動産における専門家の資格)
賃貸不動産経営管理士試験は令和2年まで問題数が50問でしたが、昨年度は問題数が40問だったころの合格率と比較しても最も低い点数となっています。
合格率は令和元年より低下
動画:【賃貸不動産経営管理士試験】合格率と難易度を工藤美香講師が徹底解説!|アガルートアカデミー
上記の通り、合格率は令和元年から大幅に低下しています。主な要因は、賃貸不動産管理業務が登録制になるのに伴い、申込者数が上昇したことであると考えられます(申込者数が約6,000名ほど増えているにもかかわらず、合格者数が前年度に比べ約700名程しか変化していません)。試験内容も国家資格化に伴って、一部内容の変更や問題数の増加、合格率の引き下げなどによる難易度の調整等があげられます。
ただし、合格率は下がっていますが、ほかの国家試験と比べるとまだ高い合格率を維持しています。
賃貸不動産経営管理士試験の合格点(合格基準点)とは
賃貸不動産経営管理士の合格点は、合格発表時に公開されます。
90点取れれば必ず合格できる運転免許の試験などと違い、賃貸不動産経営管理士試験の合格点は毎年異なります。合格点の決定は、試験結果をもとに一定の合格率や合格者数をキープするラインに基づくのが一般的です。
1点差の中に数百人から千人単位の受験者がいるため完全に一定にはなりませんが、「合格点を〇点にすると〇人の合格者」というように、合格点と合格者数に誤差が生じます。
令和2年からの国家資格化に伴い、問題数は40問から50問に変更されました。また、賃貸不動産管理業法の範囲が追加されており、難易度も上がりました。
受験者数と合格者数の推移
受験者数は年々増えており、令和4年度の試験の受験者数は31,687名でした。それに対して合格者数は8,774名です。
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度(2022年度) | 35,026人 | 31,687人 | 8,774人 | 27.7% |
令和3年度(2021年度) | 35,553人 | 32,459人 | 10,240人 | 31.5% |
令和2年度(2020年度) | 29,591人 | 27,338人 | 8,146人 | 29.8% |
令和元年度(2019年度) | 25,032人 | 23,605人 | 8,698人 | 36.8% |
平成30年度(2018年度) | 19,654人 | 18,488人 | 9,379人 | 50.7% |
申込者数が増加した要因は、賃貸不動産経営管理士の国家資格化に向けて試験制度の変更などが令和2年度(2020年度)から行われることに伴う、いわゆる“駆け込み受験”です。
受験者数が大幅に増加したことに対して、合格者数は国家資格化前と大きな変化はありません。その結果合格率が下がっているのです。賃貸不動産経営管理士試験の難易度が昔より上がっているのが現状です。
賃貸不動産経営管理士資格の需要が高まり、受験者数は増加
国家資格化にともない賃貸不動産を扱う一定の業者は、業務管理者を配置することが義務づけられます。仕事で賃貸不動産経営管理士の資格が必要のため、資格取得の需要が高まっていることも、受験者増加の要因となっています。
賃貸不動産経営管理士の難易度を他資格と比較!
賃貸不動産経営管理士の試験の難易度や学習時間を、ほかの不動産関連資格と比べてみましょう。
下の表は、試験の難易度の大きな目安となる、合格率と合格するために必要な勉強時間を比較したものです。
勉強時間を見ると、文系三大難関資格で不動産資格の最高峰である不動産鑑定士の必要とする勉強時間はやはり際立っています。
宅地建物取引士は、受験者が約20万人と非常に多く1点足りずに再トライとなる人も多いうえ、初学者・実務経験なしの方が300時間で合格するためには、効率よい学習が必要です。
賃貸不動産経営管理士は最短3か月から8か月ほどの計画を立て、無理のない勉強時間を確保すれば合格できる、取得に取り組みやすい資格といえるでしょう。
また、合格率を比べても、賃貸不動産経営管理士試験はまだまだ合格しやすい資格といえます。
もちろん、試験に向けてしっかりとした準備や対策をしていく必要があることは間違いありません。
初学者の場合は100時間以上必要になる場合が多いですし、関連資格をすでに持っている場合は100時間より少なく済む可能性が高いです。
賃貸不動産経営管理士合格者が持っている他の資格
一般社団法人不動産経営管理士協議会の公式サイトにあるパンフレットの情報によると、賃貸不動産経営管理士試験の合格者の中で、最も保有率の高い資格は「宅地建物取引士」でした。
宅地建物取引士を持っているけれど、賃貸不動産経営管理士の資格も仕事で必要という方も増えています。
実際に、宅地建物取引士と賃貸不動産経営管理士の試験種は重なっている部分でもあるため、ダブル受験をする際などは学習時間の短縮に繋がります。
関連コラム:賃貸不動産経営管理士は宅建を持っていると有利?ダブルライセンスについて解説
試験の内容で類似点があるのは「管理業務主任者」や「マンション管理士」
賃貸不動産経営管理士の実際の試験内容は、「管理業務主任者」や「マンション管理士」と類似点があります。
学習経験がある方の場合、賃貸不動産経営管理士資格を取得するのに有利になり得ます。
なお、賃貸不動産経営管理士の合格率は30%という数字は、このように他の不動産資格の学習経験や取得者も多く受験している中の数値であるため、初学者にとっての難易度はより高く感じるかもしれません。
出典:資格紹介パンフレット|賃貸不動産経営管理士資格について-賃貸不動産経営管理士(賃貸不動産における専門家の資格)
最短合格するには?
賃貸不動産経営管理士の最短合格を目指すには、過去問を完璧にこなすことが最低ラインといえます。
令和3年から実施された国家資格化に伴い、問題数の増加や賃貸不動産管理業法の範囲が追加されました。
しかし、過去問で出た内容も繰り返し出ていることは事実です。
最低限過去問を完璧にこなし、新たな範囲に臨機応変に対応する力をつけましょう。
なお、賃貸不動産経営管理士試験は、筆記の解答が求められる問題(記述式)は出題されず、マークシート形式による解答が求められる問題(択一式)のみ出題されます。教本(公式テキスト)が販売されている通り、出題範囲もはっきりと明言されているので、比較的取り組みやすい試験です。
ですが、油断大敵、合格に向けてしっかりと準備を進めていきましょう。
難易度や学習時間を考えると賃貸不動産経営管理士合格は、独学でも可能でしょう。しかし、短期合格や一発合格を目指したい方は、通信講座を活用することがおすすめです。
▼アガルートの賃貸不動産経営管理士講座担当 工藤美香講師による動画解説はこちら
この記事の監修者
不動産会社への入社をきっかけに、不動産関連資格の学習を開始。
何事も諦めないをモットーに、不動産会社での実務やモデル業と学習を両立させ、マンション管理士試験、管理業務主任者試験、宅建試験、賃貸不動産経営管理士試験全てにストレートで合格。
学習の継続のしやすさに重きを置き、要点の分かりやすいコンパクトな講義、受講生目線に立った使いやすいテキストの制作に心血を注いでいる。
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