「陽性なら何でもコロナ死に数えて水増し」は誤り
[2023/8/8更新]
「陽性なら何でもコロナ死に数えて水増し」は誤り。正確な死亡者数は数ヶ月後の人口動態統計で公表されるが、取り急ぎ感染状況の迅速把握の為に、陽性者の死亡を集計して速報しているだけのもの。この速報値は人口動態統計より少ないので、水増しどころか見落しがあるということ。
【解説】 (1)速報(感染症予防法)
厚労省の通達に「厳密な死因を問わない」とあることから、「厚労省が死者数の水増しを指示している」「陽性なら何でもコロナ死」「交通事故で死んでもコロナ死」という勘違いしたデマが広まったもの。
新型コロナに関して国が公表する死亡者数には以下の2つがある。
・入院中や療養中に亡くなった陽性者を集計
・厚労省が速報(即日発表)
(2)人口動態統計(統計法)
・医師の死亡診断書に基づき原死因別に集計
・厚労省が人口動態統計で月次を公表(数ヶ月後)
https://note.com/osamu_iga/n/n5f5784e55c44
通常、死因別の死者数は(2)で公表されるが、今回のようなパンデミック時には、それでは日々の感染状況をタイムリーに把握できないので、感染症予防法に基づき(1)を速報している。 ◾️厚労省: 死亡連絡の通知文
この(1)は、厚労省通達に「陽性者であって入院中や療養中に亡くなった方」とあるように、「コロナが原因の死亡」ではない。「陽性者の死亡」である。感染状況を迅速に把握する為に集計された概算値である。
この(1)には、他の死因が含まれるプラスの誤差があるが、正式な公表値である(2)と比較すると、どの年度も(1)<(2)となっている。つまり、(1)には誤差を上回る見落としがあるということ。
これは、回復して陰性になった後に後遺症を悪化させて死亡したり、医療崩壊で新型コロナと診断されないまま死亡したケース等がカウントされていない為だと推測される。
https://www.mhlw.go.jp/content/000641629.pdf
人口動態調査(統計法)と速報(感染症予防法)の集計はそれぞれ別のルート
【2020年】累計 ◾️人口動態統計 3,466 ◾️速報値 3,459 ◾️速報値と人口動態統計の比較
(速報値3,459を+7上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2020/dl/all0212.pdf
人口動態統計の死亡者数は速報数の1.2倍以上
【2021年】累計 ◾️人口動態統計 16,756 ◾️速報値 18,385-3,459=14,926
(速報値14,926を+1,830上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2021/dl/all0312.pdf
【2022年】累計 ◾️人口動態統計 47,635 ◾️速報値 57,267-18,385=38,882
(速報値38,882を+8,753上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2022/dl/all0412.pdf
【2023年】〜3月 ◾️人口動態統計 19,092 ◾️速報値 73,908-57,267=16,641
(速報値16,641を+2,451上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2023/dl/all0503.pdf
以下の記事でも詳しく説明されている。 ◾️大津秀一氏
「厚労省が新型コロナの死亡者数を水増しする通達を出している」は正しくない情報 医師が解説
https://news.yahoo.co.jp/byline/otsushuichi/20210528-00239905