渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

右か左か

2023年08月25日 | open
 


玉を撞く時、右ヒネリか左ヒネリ
かで得手不得手を感じる人は少な
いだろう。
撞き手を右か左かでは感じる人は
プロにもいるようだが、上級者の
多くは左右のどちらの手でもほぼ
同じように撞ける。片手のみしか
使えない練達者は少ない。テニス
や卓球でバックハンドが使えない
プレーヤーがいないように、バスケ
やサッカーで両手両足が使えない
プレーヤーがいないように、ビリ
ヤードでは本物の上級者はほぼ全
員が左右のどちらの手でもキュー
と身体を使いこなす。
 
では二輪での走行の場合の左右は
どうか。手ではなく、右コーナー
と左コーナー。


右と左で得意不得意はあるのか。
走行理論の答えとしては、左右の
コーナーで得手不得手があっては
ならない。
理由は同じロードであるからだ。
サーキットの場合、陸上競技とは
違って右回りのコースが多い。
これにも理由はあるのだが、コー
スの中のコーナーの右と左で得意
不得意があったら競技にならない。
また、一般公道も全くそうだ。
 
ただし、一般公道ではサーキット
とは全く異なるファクターがある
ため、右と左では厳重に注意する
その要素の構成が異なって来る。
その理由は対向車の存在だ。
一般公道は高速道路と異なり、
対向車線がある。高速道路でさえ
対面通行の期間区間もあるが、
一般公道はほぼそれ。
日本と英国コモンウェルスの場
合は左側通行だ。
それゆえ、二輪の左コーナーで
もし転倒したら対向車線に飛び
出す事になる。
仮にそこにダンプや大型トラック
などが来ていたらまず即死だ。
対向車が普通車でも即死になる
だろう。
以前、仕事で四国を四輪車で走行
中、事故直後の場面に出くわした。
左コーナーで対向車線に飛び出し
たのだろうカブの人が大型セミ
トレーラーに轢かれてピクリとも
動かなくなっていた。
ヘルメットは潰れていて、手足は
関節とは別な方向を向いていた。
大型トレーラーの車体の下で
バイクと人が止まっていた。
トレーラーは一切車線をはみ出し
ていない。
 
では、右コーナーは?
右にはまた別な危険要素が加わ
る。右コーナーは転倒しなくと
、対向車と直接正面衝突する
リスクが左コーナーより高いの
だ。それゆえ、正規走行ではあ
くまでキープレフトを推奨され
ている。
正規走行をしていても、対向車
が車線をはみ出してこちらに
割り込んで来たら衝突の危険が
あるのだが。
二輪の右旋回で、タイヤが車線の
中にあっても、上体が対向車線に
はみ出しているのは違反であると
同時にとても危険だ。
センター側のインに車体を寄せる
としても、ミラー先まで車線の中
に収めるような走行が望ましい。
ミラー先も車体だからだ。

 
ただ、右と左、どちらが転倒の
際の最悪の事態に近いかという
と左コーナーだ。
右の場合は転んでも左のガード
レールや縁石に激突するだけだ。
(谷底への転落等は除く)
だが、左コーナーでの転倒は
即車線割りとなり、対向車が来
いたら激突や轢殺必至と
なる。自分が死ぬだけでなく、
何も悪い事をしていない対向
車の人も傷つける可能性が
ある。
 
それと極めて重要な路面要素が
右コーナーと左コーナーでは
異なる。
一般公道は排水のため蒲鉾形に
なっているので、右コーナーは
相対的に逆バンクぎみとなる。
つまり、二輪のバンク角は左よ
りも深くなるのだ。
そのため、普通に走っていたら
タイヤは右のほうがよく減る。
これは路面要素に自然に沿った
適正バンク角を取った走り方を
している証拠でもある。
 
一般公道で、二輪乗りの間では
右コーナーと左コーナーでどちら
が得意か、という話はよく出る。
結論的には、得意不得意があっ
てはならない。
だが、得手不得手とは違う好み
というものはあっても走行
には
差し支えないだろう。
右と左の
物理的要素をきちんと
理解し、
踏まえた上ならば。
私の場合は、圧倒的に右が好き
だ。
イメージとしては、左コーナー
は低速でスルーッと行く感じで、
右はギューンと行く感じが多い
ように思える。右のほうが快速
で心地よいというのはあるには
ある。
多分だが、左コーナーはかなり
抑えて走っているのではなかろ
うか。ジリジリジリというよう
に。
私は公道走行では、自分の限界
の4割を超えないように走って
る。快速でも限界の5割以下。
あとの6-5割は完全安全マージン
を保有した走りをするようにし
ている。
結果、1985年秋から公道では
無転倒だ。(立ちごけは1976年
から一度も無い)
9割以上で走っていた小僧の頃
は峠でも街中でも実によく転ん
だ。危険についての認識がかな
り低かった。
なぜ転ぶのかについてメスを
入れて自分の頭で考察していな
かったから
だ。
 
ちなみに、安全マージンとは、
速度を落とす事だけではない。
それは一つの重要な要素では
あるが、大切なのは、「適正
適切な操作、操縦をする」と
いう事だ。路面と周辺状況を
常に俊敏に把握しながら。
先日も、街中を走っていたら、
他府県ナンバーのオートバイ
が、3車線道路の渋滞の中を
車と車の間をピューッとすり
抜けて行った。最新型の中型
スポーツモデルだ。
あれ、もし仮に車のドアが開
いたらどうするのだろう、と
感じた。
また、そのバイクは見通しの
悪い場所でも今度は車の左側
の路肩との間をピューッと追
い越して行った。
飛び出しとかあったらアウト
だ。
危険だなぁ、と感じた。
そうした事を自覚できるかでき
ないかが「安全マージン」確保
肝となる。
やがて、車列が流れ出して前方
がクリアになった時、その二輪
を右車線から抜いた。60km/h
制限の道で50km/h程でその
二輪
は走っていたからだ。
だが、ついて来ない。ミラー
の彼方にだんだん消えて行く。
やがてまた前方が詰まって来た。
今度はある程度の速度で走る
流れだ。
私は前方車を抜かさずに、何か
あっても回避できる車間距離を
取って巡行していた。
すると何分かすると、抜いた二輪
が車と車の間のセンターライン
上を
ピューッとすり抜けて追い
越し
て行った。全く速度を
緩め
ずに。
あれ、あの二輪は、前方車が急
に車線変更したらどうなるの
ろう。
危険なので、その二輪とは車間
を取った。
安全マージン云々以前の運行を
している二輪だったからだ。
これは速度の大小とは別な危険
要素、
安全確保の一例として。

二輪は前輪内向性を得て曲がる
ので、車体を傾けないと旋回で
きない。それゆえ深くバンクさ
せる。
それは一見危険なように思える
が、適正操作された二輪は旋回
時にサスとタイヤと駆動の連動
により実に安定する。直進より
も安定する。直進時のジャイロ
効果とは別なファクターの作用
により、二輪は旋回時に安定す
る。
だが、速度を増すと、旋回の為
にはさらにバンクさせなければ
ならないのでいろいろな面で
リスクは増える。
しかし、同速度でもバンク角を
深くさせない≒安全マージン率
を上げる走り方というのも
ある
のだ。
それは「リーンウイズのみを
選択するという固定観念を捨
てる事」だ。
教習所や一発試験の教え通りで
は本物の安全確保は望めない。
白バイ隊員がやってる乗り方
(インの膝を開かない事以外)
をやれば安全マージン確保は
飛躍的に向上する。(白バイは
イン膝は開かないがハングオン
やリーンインは駆使している)
 
ただ、白バイは追跡の為に
速度超過も合法だが、一般
人は白バイと同速度で走行した
ら免許が取り消しになるケース
が多いので注意。
安全確保と一般人の規制速度
違反は別な問題として存在し
ている。
 
事故を起こさない為には、ただ
低速度で走行すればよいのでは
ない。
適切適正な操作処理をキビキビ
とやる「操縦」をする事で車両
の単独事故、車両同士の事故を
未然に防げる率が上がる。
皆さまもどうか事故なき走行を。
 

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