FAQ
1 基礎編
(1)ALPS処理水とは何ですか。
東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、トリチウム以外の放射性物質を、規制基準を満たすまで浄化した水のことです。
(注)ALPSとは:Advanced Liquid Processing Systemの略で、多核種除去設備のこと(出典:経産省)
→詳しくはこちらの動画をご覧ください。
(2)ALPS処理水は本当に安全なのですか。
ALPS処理水は、海洋に放出する前に海水で大幅に薄めます。薄めた後のトリチウムの濃度は、国の定めた規制基準の40分の1(世界保健機関(WHO)飲料水基準の約7分の1)未満になります。
規制基準を満たした上で、放出する総量も管理して処分するので、環境や人体への影響は考えられません。具体的には、人への影響は、歯のレントゲン1回で受ける放射線量の数千分の1程度です。また、海洋放出の前後で、海の放射性物質濃度に大きな変化が発生していないかを、第三者の視点からしっかりと確認し、安全確保に万全を期します。
国連の機関であり、原子力について高い専門性を持つ国際原子力機関(IAEA)も、海洋放出は科学的根拠に基づくものであり、国際慣行に沿うと評価しています。(出典:経産省)
→詳しくはこちらの動画をご覧ください。
(3)「ALPS処理水」と「汚染水」は違うのですか。
「ALPS処理水」と「汚染水」は同じではありません。福島第一原発の敷地内には、異なる種類の水があり、一方は敷地内で発生した「汚染水」、もう一方は、トリチウム以外のほぼ全ての核種を除去した「ALPS処理水」です。日本が海洋放出を計画しているのは、「ALPS処理水」であり「汚染水」ではありません。こうした用語の区別の重要性については、IAEAも指摘しています。
(4)ALPS処理水は飲めないのですか。
海洋放出される水については、ALPS処理を行うことによりトリチウム以外の放射性物質は規制基準以下に浄化され、さらにトリチウムについても海水で希釈してWHOの飲料水基準の1/7以下の濃度となるため、仮にこれを飲んだとしても、放射線による健康影響はありません。他方、塩分等を多く含む海水で希釈した水は、飲料水には適さず、飲料水として適切かどうかは公衆衛生上の健康影響も考慮する必要があります。加えて、他国においても工場排水や下水道の水を浄化した上で、河川や海洋に流していると承知していますが、その安全性は、飲むという行為を通じて証明されるものではありません。
(5)福島第一原子力発電所で発生している「汚染水」はどのようなものですか。
福島第一原子力発電所の事故により発生している、高濃度の放射性物質を含んだ水のことです。福島第一原子力発電所1~3号機の原子炉内には、事故により溶けて固まった燃料(燃料デブリ)が残っています。燃料デブリは水をかけ続けることで冷却された状態を維持していますが、この水が燃料デブリに触れることで、高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」が発生します。また、この高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」は原子炉建屋内等に滞留しているため、建屋内等に流れ込んだ地下水や雨水と混ざることによっても「汚染水」が発生します。
この「汚染水」は、複数の設備で放射性物質の濃度を低減する浄化処理を行い、リスク低減を行った上で、敷地内のタンクに「ALPS処理水等」として保管しています。(出典:東京電力)
→詳しくはこちらの動画をご覧ください。
(6)なぜALPS処理水を処分しなければならないのですか。
東京電力福島第一原子力発電所の敷地内でALPS処理水を貯蔵している巨大なタンクは増え続けており、タンクの数はすでに1,000を超えています。これからより本格化する廃炉作業を安全に進めるためには、新しい施設を建設する場所が必要となり、ALPS処理水を処分し、タンクを減らす必要があります。また、ALPS処理水の処分方法を検討した専門家からは、「災害発生時の漏えいリスク」や「大量のタンクの存在自体が風評の原因となること」も指摘されています。そのため、ALPS処理水を処分し、数多くのタンクを減らすことは、廃炉と復興に向けて必要な作業となっています。(出典:経産省)
(7)福島第一原子力発電所の敷地外で、ALPS処理水の保管・処分はできないのですか。
廃炉・汚染水対策の基本方針は、現在の福島第一原子力発電所の敷地内で廃炉作業をやり遂げることです。日本政府は、「復興と廃炉の両立」の大原則のもと、安全かつ着実に廃炉・汚染水対策を遂行する責任を全うしていくためにも、ALPS処理水を敷地外で保管・処分することは、リスクのあるエリアの拡大ならびに更なる負担を強いることに繋がることから、望ましくないと考えています。ALPS小委員会の報告書では、「廃炉・汚染水対策は、継続的なリスク低減活動であり、リスク源となりうる放射性物質を敷地外に持ち出すことは、リスクを広げることになるため、既存の敷地内で廃炉を進めることは基本」であると整理されています。加えて、同報告書では、「敷地外に新たに敷地を確保し ALPS 処理水を保管する場合、保管施設を設置する自治体等の理解を得る必要がある。また、放射性物質を扱うことになるため、(中略)相応の設備や多岐にわたる事前調整、認可手続きが必要であり、相当な時間を要する。」と指摘されています。(出典:東電)
→ALPS小委員会の報告書はこちら
(8)福島第一原発と他の原子力施設から排出される水の違いは何ですか。
福島第一原子力発電所の建屋の中に存在する汚染水は、一般の原子力発電所からの排水には通常含まれない放射性物質(例えば、セシウムやストロンチウムなど)が含まれています。これらの放射性物質は、ALPSによる浄化処理により、国の規制基準を遵守する形で排出されることになります。また、これらの放射性物質は、各国の再処理工場からの排水にも含まれていますが、同様に各国の規制基準を遵守して排出されています。規制基準は、確立された国際的な基準を踏まえて定められており、放射性物質の種類によらず、また事故炉か通常炉かを問わず、含まれるすべての放射性物質の放射線影響の合計で判断されます。(出典:経産省)
2 トリチウム編
(1)トリチウムとは何ですか。
トリチウムは水素の仲間(三重水素)で、日々自然に発生しているものです。そのため、水道水や雨水、私たちの体の中にも含まれており、「自然界にも広く存在する放射性物質」です。トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができます。トリチウムは、世界中の多くの原子力施設から海に放出されていますが、施設周辺からは、トリチウムが原因とされる影響は見つかっていません。(出典:経産省)
→詳しくはこちらの動画をご覧ください。
(2)トリチウムは、生物濃縮しないのですか。
「生物濃縮」とは、ある物質が生物の体内に取り込まれたのちに排出されずに蓄積され、食物連鎖によってさらに上位の生物に取り込まれ、これを繰り返すことで、どんどん濃縮されていくという現象です。しかし、これまでの研究では、水の状態のトリチウムが生物濃縮を起こすことは確認されていません。これは、トリチウムが水と同じようにほとんどが生き物の体の外へ排出され、体内に蓄積されることはないためです。(出典:経産省)
(3)トリチウム単体では健康上の影響はなくても、トリチウムが有機結合して危険な物質になることはないのですか。
炭素や水素などでつくられた化合物「有機物」において、水素原子がトリチウムと置き換えられる(有機結合)場合があります。このような物質を「有機結合型トリチウム(OBT)」といいます。OBTは、一時的に体内に取り込んだとしても、その多くは40日程度で体外に排出され、長く残るものでも1年程度で半減されます。体内にある期間の違いからOBTの健康影響をトリチウム水と比較すると2~5倍程度となりますが、もともとトリチウム水の健康影響は1ベクレルあたり0.000000019ミリシーベルトと極めて小さいため、2~5倍になったとしても、特別に健康影響が大きいとはいえません。例えばセシウムという放射性物質から受ける健康影響と比較してみると、約300分の1になります。(出典:経産省)
(4)トリチウムの規制基準(水中における1リットルあたり60,000ベクレル)は、どのようにして定められた値ですか。
トリチウムを含む水の環境放出に関する国の規制基準(1リットルあたり60,000ベクレル)は、原子力施設の放水口から出る水を、毎日、70年間、その濃度で約2リットル飲み続けた場合、一年間で1ミリシーベルトの被ばくとなる濃度から定められています。
【参考】
自然放射線から受ける被ばく線量(年間平均・日本)は約2.1ミリシーベルト。なお、例えば、WHOの基準値(1リットルあたり10,000ベクレル)は、飲料水に関し、放射線防護の措置が必要かどうかを判断する値として定められています。
3 IAEA安全性
レビュー編
(1)IAEAによる安全性レビューとは何ですか。
IAEA安全性レビューとは、IAEA安全基準を用いて行われ、同基準に照らして福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の取扱いに関する日本政府の基本方針の実施状況を評価することです。IAEA安全基準は、IAEAの全ての加盟国との協議により策定されたもので、電離放射線の有害な影響から人々や環境を守るための高いレベルの安全性についての国際的なコンセンサスを反映しています。(出典:IAEA)
(2)安全性レビューは誰が実施するのですか。
IAEAは、11か国(注)の国際専門家を含むタスクフォースを設置しており、このタスクフォースによって安全性レビューが実施されています。
(注)IAEAタスクフォースには、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、マーシャル諸島、大韓民国、ロシア連邦、英国、米国、ベトナムの11か国が参加しています。(出典:経産省)
4 食の安全編
(1)ALPS処理水の海洋放出後も近海でとれた魚は安全なのですか。
近海でとれる魚に安全上の問題はありません。東京電力が、日頃から近海の魚を多く食べる場合を想定するなど、国際的な方法に基づいて海洋放出による人体への影響を評価したところ、日常受けている放射線(自然放射線)からの影響と比べ約100万分の1から7万分の1と、影響が極めて小さいことが確認されています。さらに、海洋放出の前後で、定期的にモニタリングを実施し、海や魚類の放射性物質濃度に大きな変化が発生していないか確認します。これまでどおり、安心しておいしい産品をお楽しみください。(出典:経産省)
→詳しくはこちらの動画をご覧ください。
(2)日本は食品の安全のためにどのような取組を行っているのですか。
東京電力福島第一原発の事故後、放射性物質の影響が確認された地域については、農地の除染、放射性物質の農畜産物への移行・吸収を抑える対策、肥料や土壌改良資材・培土の管理等が行われています。また、出荷前の検査等で、日本国内の放射性物質の基準値を超過したものは、日本国内及び海外には流通しません。さらに、基準値の超過する食品が地域的な広がりがあると考えられた場合には「出荷制限」が、著しく高濃度の放射性物質が検出された場合には「摂取制限」が指示されます。これらの対策により、日本産食品の安全性は確保されています。
また、食品中の放射性物質の基準値は、国際連合食糧農業機関(FAO)とWHOが設置した国際食品規格委員会(Codex委員会)が国際基準としてのガイドラインレベルを設定し、また、米国・EUを含む各国が国内の基準値を設定しています。これらの基準は、食品を摂取することによる預託実効線量(いわゆる内部被曝)を一定水準以下に抑えるために設定されています。Codex委員会、日本、EU等の場合は1mSv/年ですが、これは、国際放射線防護委員会(ICRP)がそれ以上放射線防護対策を講じても有意な線量の低減は達成できないとしている値でもあります。これに基づき、それぞれの国・地域で流通する食品の汚染率等を想定した上で、最終的に放射性物質の基準値を設定しています。
(3)国際機関は、日本の食品の安全性をどう評価しているのですか。
日本が行っている適切な検査・管理措置によって日本産食品の安全性が確保されていることは、国際機関からも評価されています。国連食糧農業機関(FAO)とIAEAの合同チームは、2019年7月に、「モニタリング方法や食品の放射性物質汚染に関する問題への対応は適切であり、フードサプライチェーンは関係当局により、効果的にコントロールされているものと理解している。」と報告され、IAEAのホームページ(リンク)に公開されています。
5 意思決定プロセス編
(1)日本政府は他の処分方法を十分に検討せず、経済性を理由に海洋放出を選択したのではないですか。
ALPS処理水については、これまで風評への影響などを勘案し、タンクでの保管を継続してきました。しかし、タンクが既に1000基を超え、周辺地域の安全に不可欠な廃炉作業を着実に進める上で支障が生じることに加え、タンクの存在そのものが風評に繋がることや地震による漏洩のリスク等を懸念する声もあることを踏まえ、現状を見直す必要がありました。ALPS処理水の取扱いについては、海洋放出以外の処分方法等も含め、6年以上の時間をかけて専門家による検討を行い、ALPS小委員会が次のような検討結果を公表しました。
(1)地層注入、水素放出、地下埋設については、いまだ技術的に確立していないなどの課題があること、(2)水蒸気放出については、日本国外の事故炉で実際に行われた前例があるものの、放射性物質の放出後の拡散について事前予測が困難で、モニタリング等の対策の検討に課題があること、(3)タンク保管の継続については、東京電力福島第一原発でのタンク増設は限定的であり、保管の長期化は廃炉作業の妨げとなること。今回、処分方法として海洋放出を選択した理由は、こうした検討の結果、各国の放射線防護基準において広く参照されている国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に沿って従来から定められている規制基準を厳格に遵守することを前提に、国内外で放出実績がある点やモニタリング等を確実かつ安定的に実施可能な点を評価したためです。海洋放出は、これまで各国の原子力発電所で実施した前例や実績があり、技術的な不確実性が少なく、放出設備の取扱いや放出後のモニタリングが比較的容易であることから、処分に当たって前提となる周辺環境の安全性を確保しながら実施することができます。基本方針の発表を受けて、グロッシーIAEA事務局長が声明を発出し、我が国の発表を歓迎するとともに、(1)海洋放出は技術的に実現可能であり、国際慣行にも沿っている、(2)管理された海洋放出は世界の原子力発電所の運用国で日常的に行われている、さらに(3)日本の要請に応じて、IAEAは日本の計画の安全性と透明性をレビューする技術的支援を提供可能である旨発言しています。
(2)「地層注入」や「コンクリート固化」等、海洋放出以外の方法によるALPS処理水処分は検討したのですか。
国のタスクフォースで検討され、「規制的、技術的、時間的な観点から現実的な選択肢としては課題が多い」とされています。2013年12月、IAEA調査団から、ALPS処理水の取扱いについて「あらゆる選択肢を検証すべき」との助言があり、それを受け、国はタスクフォースを設置し、技術的に実現可能な処分方法として、「地層注入」や「地下埋設」も含む、様々な選択肢について検討を行いました。
「地層注入」は、ALPS処理水を地層中にある隙間に注入し、封入する方式です。注入に適した地層(貯留層)が必要です。福島第一原子力発電所の敷地の下あるいは近傍に適切な地層があるかは分かっておらず、適切な地層が見つからなければ地層注入はできません。国のタスクフォースでは、「注入した水を長期にモニタリングする手法が確立しておらず、安全性の確認が困難」との意見もあり、また、処分濃度によっては、新たな規制・基準の策定が必要となる点も課題とされました。
「地下埋設」は、セメント系の固化材にALPS処理水を混ぜたものをコンクリートピット内に流し込んで固化し、地下に埋設する方式です。国のALPS小委員会の報告書においては、コンクリート固化による地下埋設について、(1)固化による発熱でトリチウムを含む水分が蒸発する、(2)新たな規制の設定が必要となる可能性があり、処分場の確保が課題となる、とされています。(出典:東京電力)
(3)日本政府は、ALPS処理水の取扱について国際社会と意思疎通をしていますか。
日本政府は、2021年4月13日に基本方針を発表する前から、周辺国をはじめとする国際社会に対し、最大限の透明性をもって、積極的に情報提供に取り組んできました。基本方針に明記しているとおり、関連する国際法や国際慣行を踏まえ、海洋環境に及ぼす潜在的な影響について評価するための措置を採るとともに、放出後にも、これまで実施してきたIAEAによるレビューを受けつつ海域モニタリングを継続的に実施し環境中の状況を把握するための措置を講じます。こうした放出後の情報についても順次公開していく考えです。
6 法律編
(1)海底トンネルによる海洋放出ではなく、遠洋で処分をすべきではないのですか。
海上からの放射性廃棄物の海洋投棄は、国際条約である「ロンドン条約」で禁止されています。また、日本の「原子炉等規制法」でも認められていません。(出典:東京電力)
(2)ALPS処理水の海洋放出は、廃棄物等の海洋投棄を規制する「ロンドン条約」に違反しているのではないのですか。
福島第一原子力発電所を含む、国内外の原子力関連施設からの排水は、ロンドン条約違反にはあたりません。「ロンドン条約」は、海洋汚染の原因の一つである廃棄物等の海洋投棄を国際的に規制するための締約国がとるべき措置について定めたものです。同条約では、適用対象を「投棄」に限定し、「投棄」を「海洋において廃棄物等を船舶等から故意に処分すること及び海洋において船舶等を故意に処分すること」と定義しています。これは、「陸上からの排出は禁止していない」と解され、福島第一原子力発電所を含む、国内外の原子力関連施設からの排水は、ロンドン条約違反にはあたりません。(出典:東京電力)
(3)ALPS処理水を大量の海水で希釈し、海洋放出することは、法令に抵触しないのですか。
関係法令を遵守して放出を行います。「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、原子力規制委員会が定めた「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則」では、「排水施設において、ろ過、蒸発、イオン交換樹脂法等による吸着、放射能の時間による減衰、多量の水による希釈等の方法によって排水中の放射性物質の濃度をできるだけ低下させること。この場合、排水口又は排水監視設備において排水中の放射性物質の濃度が原子力規制委員会の定める濃度限度を超えないようにすること。」と定められています。
ALPS処理水の海洋放出にあたっては、海水による希釈を行う前の段階で、トリチウム以外の放射性物質について、環境に放出する際の濃度基準を満たすまで浄化処理を行い、ALPS処理後も濃度基準を超えて残るトリチウムについては、濃度基準を十分満たすように大量の海水で希釈を行うこととしており、この方法については原子力規制委員会の認可を得ています。
なお、通常の原子力発電所で発生した放射性液体廃棄物の放出に際しても、排水施設のサンプルタンク等において放射性物質濃度の測定を行い、放射性物質の濃度が排水時の濃度基準を超えないよう海水と混合、希釈した上で放出しています。
また、「水質汚濁防止法」では、工場や事業場から排出される水質汚濁物質について、水質や有害物質の種類ごとに排水時の濃度基準が定められており、この基準を守ることが求められています。ALPS処理水の希釈・放出も、水質汚濁防止法における排水基準を遵守して行うことになります。 (出典:東京電力)
7 技術編
(1)多核種除去設備では、どれくらいの放射性物質(核種)が取り除けるのですか。
多核種除去設備は、汚染水に含まれる放射性物質のうち、人や環境へのリスクの観点で取り除く対象に設定した62種類の放射性物質(トリチウムを除く)を、国の規制基準(告示濃度限度)未満まで取り除く能力を有するように設計しています。(出典:東京電力)
(2)ALPS処理水等の放射性物質の濃度はどのように分析しているのですか。
定期的にサンプルを採取し、放射性物質の濃度を“全ベータ測定”と“核種分析”の2つの方法で分析しています。タンクに貯蔵しているALPS処理水等は、トリチウム以外にも放射性物質が含まれています。その放射性物質の濃度については、さまざまな放射性物質から出るベータ線をまとめて短時間で測定できる“全ベータ測定”と、告示濃度限度に対して検出濃度が比較的高い主要な7つの放射性物質(注)の各濃度の合計値で評価する“核種分析”の2つの方法で分析しています。なお、2018年10月、全ベータ測定値と核種分析の合計値に差(かい離)があることが分かり、その後の調査で、差分は7つ以外の炭素14、テクネチウム99が起因していることが分かりましたので(2019年1月17日公表)、その後は、主要な7つの放射性物質に加え炭素14およびテクネチウム99についても分析し、全ベータ値との差がないかを確認しています。
なお、環境中に放出する場合、トリチウムを除く核種の告示濃度比総和が1以上の処理途上水は2次処理して、告示濃度比総和1未満にする方針としています。
(注)主要な7つの放射性物質(主要7核種)
セシウム134、セシウム137、コバルト 60、アンチモン 125、ルテニウム106(+ロジウム106)、ヨウ素129、ストロンチウム90(+イットリウム 90)
(出典:東京電力)