暴力団が酒をすすめてきたら…佑、沢村もぜひ参考に

2011.05.06


日本プロ野球史上初のゼネラルマネジャーとも評される根本氏。その教えはチームワークにもつながっていた【拡大】

 野球賭博や八百長問題で本場所が中止になるなど、相次ぐ不祥事に揺れた相撲界。その際に取り沙汰されたのが、タニマチや暴力団関係者との“付き合い”でした。

 プロ野球界でも、各球団は選手らに事あるごとに注意を促し、チェックに眼を光らせています。華やかな世界には付きものといえるタニマチ、暴力団との関係についてお話しします。

 西武での現役時代、チームの仲間で食事に行ったり、飲みに行ったときには、必ず先輩が後輩の分も支払うというのが当たり前でした。1軒につき10万円、20万円…。ボクも秋山幸二さん(現ソフトバンク監督)、工藤公康さん、渡辺久信さん(現西武監督)らには、どれほどごちそうになったか。給料をたくさんもらっている先輩が、稼ぎの少ない後輩の分を出す-。この関係は徹底していました。

 20数年前、新大阪駅の中においしいミックスジュースを出す喫茶店があり、遠征帰りに秋山さんと入ったときのこと。いつもごちそうになっているお礼という気持ちで、ささやかな額ですが、ボクが支払いを済ませたところ、あの温厚な秋山さんが「生意気なことするな!」と声を上げ、烈火のごとく怒ったことがあります。

 そこには、西武創設時の監督で、当時管理部長だった根本陸夫さん(故人)の教えが強く影響していました。先輩が後輩の分も払うということは、チーム外部のスポンサー、いわゆるタニマチを作らないということなのです。茨城・水戸出身で同郷の根本さんは、ボクら選手に「絶対にタニマチを作るなよ」と繰り返しました。

 「1度目は『大久保さん、ご飯いきましょう』、2度目は『大久保くん、食事行こう』、3度目は『大久保、行くぞ』、4度目は『おい、行くぞ』、そして5度目に断ると『オマエ、何で来ないんだ』となる。これがタニマチだぞ」

 根本さんの口癖でした。だから、西武の選手は必ず自腹で飲み食いし、先輩が後輩の分を支払うという形ができ、それが、選手間のいい関係を築いてチームワークにもつながったのです。

 ボクがコーチのときは、自分の部屋に引きこもりがちな今どきの主力選手に「オマエ、年俸何千万円もらっているんだ。若手を連れて飲みに行け」と、よく言ったものでした。

 ただ、飲みに行くと、時に困ったことになるのが、暴力団関係者との遭遇です。ボクたちプロ野球関係者は、周囲の目も気になりますから、行くお店も限られてきます。もちろん、なじみの店か、下調べしてその筋の方々が寄らない店を選びますが、どうしても遭遇を避けられないケースが出てくるのです。

 「おお、大久保じゃねえか。1杯飲んでくれや」。同じ店にいた暴力団関係と思われる方に、声をかけられ、お酒をすすめられた経験があります。こんなときには、どうしたらいいか?

 各球団は選手に対し、杓子定規に「暴力団関係者とは一切付き合うな」「関係者が集まる店に行くな」「たとえ会っても関わるな」という教育をします。球団は立場上、そう教育せざるをえないのは分かります。でも、その通りにお酒を「お断り」すれば、よくある「オレの酒が飲めないのか」というパターンでからまれ、トラブルになるのも事実です。

 ボクの経験では「では1杯だけ、ありがたくいただきます」といって、グラスに口を付ければ、たいていの関係者の方は、お互いの立場も分かった上で、喜んで帰してくれるのです。

 日本ハム・斎藤佑樹、巨人・沢村拓一ら、今年は多くの有望な新人が活躍しています。人気が出れば、それだけいろいろな人が寄ってきます。ボクの話が少しでも役立てばいいのですが。

 ■デーブ大久保氏は東京・新宿区の自宅で野球教室「デーブ・ベースボールアカデミー(DBA)」を開校。少年野球はもちろん、草野球チームでプレーしたり、子供にアドバイスするため技術論を学びたいというお父さんの入校も大歓迎。問い合わせは、(電)03・5982・7322(13時~18時)。またはホームページ(www.dba-school.jp/)まで。

 ■大久保 博元(おおくぼ・ひろもと) 1967年2月1日、茨城県大洗町生まれ。水戸商高から豪打の捕手としてドラフト1位で西武入り。92年にトレードで巨人へ。「デーブ」の愛称で親しまれ、95年に引退するまで、通算303試合出場、41本塁打。2008年に打撃コーチとして西武に復帰。昨シーズン途中、雄星への暴力行為などを理由に球団から契約解除される。

 

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