2022.01.27
「崖っぷち」のみずほ銀行に異変…「超エリート一族」社長就任までの舞台裏
8人ごぼう抜きの異例抜擢弟に続く大抜擢に、財界も官界も政界も驚いた。由緒正しい一族に生まれたエリートは、なぜ崖っぷちのみずほで舵を取ることになったのか。保身と打算が招いたトップ交代、その内幕をすっぱ抜く。
「全然嬉しくないです」
1月17日、みずほフィナンシャルグループの次期トップ人事が正式に発表された。重責を負うことになった人物を、その日の夜、都内の自宅前で直撃した。
ハイヤーから降りると、かぶりをふって開口一番こう吐露する。
「大変なことになってしまったな、という気持ちです。いや、全然嬉しくないですよ。
ただ、これも運命ですから。指名していただいた以上は、覚悟を決めてやるしかない」
次期社長・木原正裕氏、56歳。行内でもマスコミでも、全くのノーマーク。まさか社長に抜擢されるとは本人さえ予想していなかった。ただその血筋を知った者は誰もが、ひと呼吸おいて納得することになった。
岸田文雄総理の最側近、あらゆる政策を統括する総理官邸の「軍師」—そう呼ばれる木原誠二官房副長官は、彼の実弟なのだ。
「よく聞かれますが、関係ないですよ。弟も忙しいし、私もこういう状況になって、連絡はほとんど取ってない。正月にも会えませんでした。政界とパイプがあるから、お目こぼしを頂戴しようなんてことはありません」
新社長としての初仕事は謝罪だった。就任お披露目会見の冒頭から、深々と頭を下げた。