「みずほ銀行」の新社長就任、そのウラでじつは「意外なこと」が起きていた…!
トップが変わっても「迷走」する可能性岸田総理の「軍師」と呼ばれている木原誠二官房副長官の兄、木原正裕氏が、8人を抜く異例抜擢でみずほ銀行の新社長に就任。その内幕を前編記事『「崖っぷち」のみずほ銀行に異変…「超エリート一族」社長就任までの舞台裏』でお伝えした。引き付き後編でもその舞台裏を明かす。
木っ端役人を黙らせろ
みずほのトップ人事は、5人の社外取締役からなる指名委員会が決める。岸田政権が安定軌道に乗りつつある今、彼らが木原氏に目をつけるのは必然だった。
「金融庁は、度重なるシステム障害の原因のひとつに『社外取締役の機能不全』を挙げています。社外取締役の面々は、それにいわば『逆ギレ』した。
特に激怒しているのが、出光興産前会長の月岡隆氏です。私企業の経営に踏み込んできて偉そうなことを言うな、三流官庁のくせに—と」(幹部行員と別のみずほOB)
社外取締役は、月岡氏を筆頭に名士揃いである。三菱ケミカルHD前会長で東京電力HD会長の小林喜光氏、最高裁判所元判事の甲斐中辰夫氏、元メリルリンチ日本証券社長で世界銀行元幹部の小林いずみ氏と、いずれも複数の大企業に請われて役員を務める大物たちだ。「メンツを潰された」と考えるのも無理はない。
「金融庁は政治に弱い役所です。たとえばコロナ第5波が襲った昨年7月、当時の西村康稔経済再生担当大臣が『酒の提供をやめない飲食店に、銀行から圧力をかけさせる』方針を出して大問題になりましたが、その時もビビって止められなかった。
指名委員長の甲斐中さんは『(木原氏の)弟が政治家であることは全く考慮していない。材料になるとも考えていない』と会見で述べましたが、本心は『社長が官邸に直通となれば、木っ端役人は黙るだろう』といったところでしょう」(同前)
みずほが表向き、「『木原社長』人事に他意はない」と言うのは当たり前である。きっと当の木原氏も、そう聞かされているのだろう。