二回試験(司法修習生考試)とは?内容・科目と不合格にならないポイント
- 2021.03.10
司法試験に合格してもすぐに弁護士資格を得ることができるわけではありません。
司法試験に合格したあとは司法修習を1年間経験し、その締めくくりとして司法修習生考試、いわゆる二回試験に合格しなければなりません。
では、二回試験とは一体どのような試験なのでしょうか。
本コラムでは、二回試験の詳しい情報や対策についてご紹介していきます。
目次
二回試験(司法修習生考試)とは?
二回試験の内容・科目
二回試験は、法曹として認められるための最後の関門です。
司法試験に合格後、司法研修所で1年間法律実務を学んだ司法修習生に対し、5日間のスケジュールで実施されます。
正式名称は「司法修習生考試」ですが、司法試験につづき二回目に行われる能力判定という意味から、二回試験と呼ばれます。
二回試験では、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目が出題されます。
民事裁判科目
民事裁判科目では、与えられた民事事件の事件記録をもとに、民事判決を起案します。
具体的には、2つの記録のうちの1つについて要件事実に関する起案をし、もう1つの事件記録について事実認定に関する起案をします。
刑事裁判科目
刑事裁判科目は、与えられた刑事事件の事件記録をもとに、刑事判決を起案します。
事実認定はもちろんのこと、量刑判断についても起案する場合もあります。
また、刑事訴訟手続に関する小問が出題されることもあります。
検察科目
検察科目では、与えられた捜査記録をもとに終局処分を起案します。
検察でも、刑事訴訟手続に関する小問が出題されることがあります。
民事弁護科目
民事弁護科目では、与えられた民事事件の事件記録をもとに、最終準備書面を起案します。
また、民事執行・保全手続の小問が出題されることもあります。
刑事弁護科目
刑事弁護科目では、与えられた刑事事件の事件記録をもとに、弁論要旨を起案します。
二回試験のスケジュール
二回試験では、先述の通り、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目が出題され、1日1科目合計5日間のスケジュールで実施されます。
解答時間は1科目につき7時間半です。
つまり、5日間で合計37時間30分もの間、書面と向き合わなければなりません。
しかも例年5日間連続で行われており、間休みもないので、高い集中力が求められます。
二回試験の不合格率
二回試験はほとんどの修習生が合格する試験なので、不合格者を発表する形で合格発表が行われます。
直近5年間の不合格率は以下の通りです。
平成27年 (69期) |
平成28年 (70期) |
平成29年 (71期) |
平成30年 (72期) |
令和元年 (73期) |
|
司法修習生採用者数 | 1787 | 1530 | 1516 | 1482 | 1473 |
不合格者数 | 54 | 16 | 16 | 8 | 10 |
不合格率 | 3.0% | 1.0% | 1.1% | 0.5% | 0.7% |
表を見て分かる通り、二回試験に落ちる修習生は全体の1%程度と非常に少ないです。
過去2年に至っては不合格者は10人以下です。
したがって、普通にしていれば基本的に落ちることはない試験です。
二回試験に合格するために
もっとも、このようにほとんどの修習生が二回試験をパスできるのは、決して二回試験が簡単だからではありません。
では、二回試験に落ちる数名にならないためにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
とにかく油断しない
二回試験はほとんどの人が受かる試験ですが、決して簡単な試験ではありません。
皆ここで落ちてはならないという強い緊張感をもって試験に臨みます。
不合格率の低さゆえに二回試験を見くびっていると痛い目に遭うかもしれません。
起案の復習をする
二回試験で出題される各科目について、導入修習で1回・実務修習で1回・集合修習で2回ずつ起案をする機会があります。
これは二回試験の予行演習としての意味があるので、起案の解説をしっかり聞いて復習をしましょう。
禁止事項に気を付ける
二回試験には、「これを書いたら一発でアウト」という禁止事項があります。
たとえば、以下のようなパターンがあります。
・刑弁で、「被告人の供述が信用できないから被告人は有罪」と書く
・刑弁で、被告人が無罪主張をしているのに有罪を前提とする弁護をする
・民裁では、事案を4類型の中のどの類型にあたるか明示したうえで、それぞれの分類に応じた論じ方をしなくてはいけないのに、それをしない
起案をするときは禁止事項に触れないように注意しましょう。
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