『基礎からわかる民事訴訟法』の司法試験へ向けた勉強での使い方と特徴
このコラムでは、「基礎からわかる民事訴訟法」(以下、「本書」といいます)を紹介します。
民事訴訟法は難解で、他の法律よりも具体的事例で考えずらい面があるため、理解ができず、暗記科目になってしまっている方は少なくありません。
しかし、暗記科目とすると、典型論点から外れる問題が出た際に対応することが難しくなってしまいます。
そのような悩みをお持ちの方には、本書がおすすめです。
基礎からわかる民事訴訟法の特徴
本書の特徴は、図表などを用いてとにかく分かりやすく書かれている点です。
あくまで目安ですが、例えば、訴訟物についての記述の部分では、1頁につき1つの図表が用いられて説明がされています。
基礎からわかる民事訴訟法の内容
内容は、民事訴訟法の重要論点についてカバーされています。
もっとも、司法試験の民事訴訟法では、基本書で書かれていない論点が出る場合があります。それらの細かい論点については書かれていないことが多いです。
しかし、細かい論点については、他の基本書でも書かれていないことが多く、本書を基本書として用いたとしても、他の受験生に劣るということはないでしょう。
司法試験の勉強での使い方
ここからは、本書を司法試験の勉強でどう活用すれば良いのかについて解説します。
本書の通読
初学者の方は、まずは本書を通読することをおすすめします。
本書は分厚く、通読には時間がかかってしまいます。
基本書を読むことが苦手な方は、「コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法」を先に読み、司法試験に置いて頻出論点となっている部分のみ、本書を読むという形で読むのが良いと思います。
なお、通読する際には、1回ですべてを理解しようとはせず、民事訴訟法はこのような流れで書かれているのか、という全体像をイメージするように読めると良いです。
旧司法試験レベルの問題を解く(頻出論点のみ)
全体像をぼんやりと掴んだ後は、旧司法試験レベルの問題を解きましょう。
冒頭でも述べましたが、民事訴訟法は具体的事例で考えることが難しい科目です。
中心論点について、どのような問題が出るのか、ということを把握できると、より具体的に民事訴訟法について理解を深めることができます。
そして、実際に問題を解いていくと、どのような点が理解できていないのかを把握することができます。
課題が見つかった論点について、もう一度本書に立ち返り、該当箇所を読むという流れで学習できると、理解が格段に進むと思います。
司法試験の過去問を解く
本試験の過去問を解いてみましょう。
試験に合格するためには、実際の司法試験でどのような出題がされて、どのような論述が求められるのかを知る必要があります。
司法試験では、典型論点とは異なる出題のされ方が多く、応用問題が多いです。そのため、民事訴訟法の各論点について、深い理解が必要となります。
旧司法試験レベルの問題を解いたときと同様に、司法試験の過去問を解き、課題が見つかった論点について、本書に立ち返り、該当箇所を読むという流れで学習することをお勧めします。
基礎からわかる民事訴訟法の評価
本書のメリットは、とにかく分かりやすい点です。
民事訴訟法は、典型事例とは異なる事例で出題されることが多いです。
それらに対応するためには、各論点について基本から理解し、自分の言葉で説明できる力が必要となります。
本書は、図表を使いながら書かれており、文字上の表面的な理解ではなく、応用が利くより深い理解に役立つと感じています。
初学者の方にはもちろん、民事訴訟法の勉強がある程度進んでいる受験生の方にも、他の基本書を読んでいて、分かりづらいと感じる論点があれば、本書の該当箇所を読んでみることをおすすめします。
これらのことから、本書は初学者から司法試験前の受験生まで幅広い方におすすめできます。