29日に奈良公園の敷地内にオープンする高級ホテルが、22日報道陣に公開されました。最も高い部屋で1泊、約82万円だということです。 まるで別荘のようなたたずまい―。 29日、奈良公園の敷地内にオープンする『紫翠(しすい)・ラグジュアリーコレクションホテル奈良』。「国立競技場」を手掛けた隈研吾さんが、「伝統と現代の結び」をコンセプトに設計しました。 属ちひろ記者 「こちらの部屋は大きな窓で囲まれていて、庭の中にいるような感覚でリラックスできます」 客室は全43室で、最高級のスイートルームは1泊約82万円だということです。 ホテルには日本庭園を眺めながら、地元・奈良の食材を用いた料理が味わえるレストランや、本格的な寿司(すし)のコース料理などが楽しめる寿司バーも。 実はこのホテル、100年以上前に建築された「旧知事公舎」を一部再利用していて、公舎の有効活用と建物の保全も目的とされています。 そしてもう一つ、ホテルの利用客だけが観覧できるという特別な場所がー。 属記者 「こちらの部屋で、70年以上前に昭和天皇が歴史的な署名をしたということです」 旧知事公舎の応接室だった「御認証の間」。ここで1951年、第二次世界大戦後に昭和天皇がサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約の批准書に署名しました。円卓や椅子、調度品などは、ほぼ当時のまま残されています。 『紫翠・ラグジュアリーコレクションホテル奈良』総支配人・羽鳥寛之さん 「奈良は日本の始まり、日本文化発祥の地としての位置づけがありますので、それをより深く知りたいという知識欲の豊富な方が、我々のコンセプトに共感していただけるのでは」 貴重な歴史にも触れられる新たな高級ホテルの誕生ですが、奈良県では、宿泊客を取り込むためのある課題もあります。 観光客 「奈良はシカしかイメージがない」 「(宿泊は)奈良より京都かなと。奈良に夜観光のイメージがない。逆にぶらぶらできる場所はどこにあるのか」 属記者 「まだ日も落ちていない時間帯ですが、昼間、観光客でにぎわっていた店がすでに閉まっています」 夜の観光スポットの少なさからか、県内のホテル・旅館の客室数は2017年度、18年度と全国最下位で、直近の21年度もワースト4位と伸び悩んでいました。 そのため県は、世界遺産の夜の拝観やイベントを増やすなどして、リゾートホテルの誘致に力を入れてきました。 奈良の観光に詳しい専門家は―。 奈良県立大学地域創造学部・新井直樹教授 「これまでは団体客、修学旅行生などに大量に安く提供するというモデルから、奈良に関心があったり、奈良に興味を持ってくれる人たちを世界から集まってもらい、付加価値の高いサービスを提供していく方が、奈良県にとっても経済効果が高い」 「シカしかない」。そんな奈良の観光イメージを覆すことはできるのか。チャンスは今しかありません。