先週からどうなってるのかうっきうきでヤンジャンを買う
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かぐや様が見当たらない
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あああああああああああああああ(# ゚Д゚)
語らせたいと推◯の子とBU◯GOで我慢しました
体育祭の半分、午前のプログラムは全て終了。現在、昼休憩と入り、生徒達は家族、或いは友人と思い思いの人と過ごしている。
「…むぐ」
その光景を眺めながら、総司は陽射しが校舎に遮られて出来た日陰の中で昼食を摂っていた。普通の授業がある日の様な弁当ではなく、簡単なおにぎりを齧る。
おにぎりとはいえ侮る事なかれ。使われてる米は農薬、除草剤、化学肥料、有機肥料等一切不使用の高級米。米の中の具である鮭はトキシラズ。そしておにぎりを巻く海苔は潮の香り、歯応えがおにぎりに合う様に計算されて選ばれた高級海苔。
たかがおにぎり、されど四宮お抱えのシェフが全力を尽くして作り上げた贅沢なおにぎりなのである。
「…」
おにぎりを包んでいたラップを手で丸めて小さな紙袋の中に入れる。この袋に入っていた三つのおにぎりをこれで総司は食べ終えた。これでここには用はなくなった。このゴミを捨てに行こう、と立ち上がろうとして、止める。
まだ午後の部が始まるまでは時間がある。それなのに何が悲しくてあんな暑い日向に入らなければならないのか。
若干引きこもり染みた考えに陥った総司は日陰の中に居座る事を選ぶ。良いじゃないか。どうせ午後からはグラウンドに出続けるのだから今くらい。
「総司先輩?」
日陰で涼む総司の頭上から聞こえてくる声。顔を上げると、包みを手にこちらを見下ろす石上。
「何してるんですか、こんな所で」
「涼んでる」
「…そうっすか」
ただ石上の問い掛けに答えただけなのに、何とも微妙な空気に包まれる。
話か続かない。というより、石上は校舎の方から現れたのだが、もしかして校舎の中で弁当を食べていたのだろうか?
(そうか、その手もあったか…)
確かに校舎の中の方が外よりも涼しいだろう。どうして自分もそうしなかったのか、わざわざ日陰を探して、地面にシートを敷いて、近付いてくる蟻を手で払って。
校舎の中を選んでいたら全部しなくて良い事だったのに。
「え、何ですか」
「いや、別に」
気付かぬ内に石上を睨んでいたらしい。石上が戸惑っている。
…ちっ。
「舌打ち!?僕、総司先輩に何か悪い事しましたか!?」
「いや、別に」
聞こえていたらしい。さすが石上というべきか。
しかし悪い流れである。空気がまた微妙な感じになった。石上は糞雑魚メンタルだから少しフォローしてあげないとすぐに死にたくなってしまう。
「石上って午後は何に出るんだ?」
露骨な話題逸らし。石上もすぐにその意図に気付くが、触れない方が身のためだと察したのか、少し間を置いてから口を開く。
「最初の応援合戦だけですよ」
「あぁ、そういや応援団に入ったんだっけか。かぐやが言ってたな」
石上の返答を聞いて、総司はかぐやが言ってた事を思い出す。楽しそうに、色々とかぐやが話した事を。
「女装するんだって?」
「…僕は無力です。皆を止める事が出来ませんでした」
「あははははは!いやまあ、ウケるんじゃねぇの?知らんけど」
「そんな他人事みたいに…」
「他人事だからな」
「…まあそうですけど」
項垂れる石上。まあ同情はする。総司がもし石上と同じ立場だったなら、全力で自分の代わりに応援団を押し付ける相手を探していた事だろう。
しかし、石上は違う事を総司は知っている。どういう理由で応援団を引き受けたのかは知らないが、石上はその役目を全うしようと本気で取り組んでいる。
「どんなパフォーマンスか、楽しみにしてるぞ」
「…期待に添えられるよう頑張りますよ」
笑顔を浮かべてそう言えば、石上も笑顔を浮かべて返した。
そのやり取りを最後に、石上がこの場から去っていく。総司は石上の姿が見えなくなるまでその背中を眺める。
冗談めかして言った先程の台詞だが、本心である。石上は向こうがどう思っているかは知らないが、総司にとっては
楽しみにならないはずがない。
総司は内心ワクワクしながらこの時はいたのだ。
(んで、期待通り楽しめたのになぁ)
昼休憩が終わり、すぐに応援合戦が始まる。
周囲の生徒達の反応は総司の想像以上に盛り上がっていた。
『もしかしてウチら、入れ替わってる~!?』から始まった赤組応援団のパフォーマンスは初っ端のふざけた雰囲気から一変、後半は力強い躍りを見せてくれた。
次の競技の200m走に出る総司は待機場所からそのパフォーマンスを見ていた。総司の期待通りの、中々に楽しい一時を過ごせたのだ。
それなのに──────
(ホント、折角人が気分よく頑張るかって気分になったのにさぁ)
競技のスタート地点に、教師に先導されながら向かう集団の中で、総司は見た。
先程までかぐや達生徒会メンバーに囲まれ笑顔でいた石上に歩み寄る、他校の制服を着た女子の姿を。
その女子に呼ばれたのか、振り向いた石上の表情が一変したのを。
(水差してくれんなよ)
総司の心は、冷水が掛けられたかの如く冷たくなった。
去年の事だった。中等部で暴力事件が起きたと聞いたのは。
被害者は荻野コウという生徒だった。その話は初め、生徒が話していたのを偶然耳にした、という形で知ったために特に興味は持たなかった。
荻野という生徒に関しても別に気にする程の背後関係は無かったため、首を突っ込む気はゼロだった。
『─────。これが、中等部で起きた暴力事件の真相です』
だから、事件について忘れかけていた頃に、赤木からその真相について聞いてもどうとも思わなかった。
ただ、その後の話を聞いて、事件での最大の被害者である
『は?告発しなかったの?マジで?』
更に後、本格的に事件について忘れていた総司がかぐやから聞いた、石上優は事件について告発せず、真相を知ったかぐや達生徒会メンバーにも口止めしたという話を聞き、さすがに開いた口が塞がらなかった。
総司が同じ立場だったならば、自身を貶めた相手と何も知らず言い放題だった周囲に百倍返しを実行していた所だ。それで学園の生徒数がどうなろうと、教師の数がどうなろうと、二度と自分の視界に目障りな顔が入らないよう消していた所だ。
たとえそこまではしなくとも、多少なりとも周囲に仕返しをするのが普通だ、というのが総司の考えだった。
しかし、石上優は何もしなかった。仕返し処か、事件の真相を公表する事すらしなかった。一人の女の子を守るために。
──────君がそこまでする価値が、その子にあるのか。
というのが総司の率直な感想だった。何しろその女子は荻野を疑いもせず、石上優を糾弾し続けたらしい。
事件後、動きを見せない石上優を恐れて別れを切り出した荻野に違和感一つ抱かず、周囲に流されるままだった
そこまで考え、総司は自分に驚いたのを今でも覚えている。理不尽に怒れる心がまだ自分にも残っていたのか、と。
そして同時に、石上優という生徒に、興味を持ったのもこの時が最初だった。
『お、君が石上君か?』
『…えっと、貴方は?』
『四宮総司。たまに生徒会を手伝いに来るけど、その時はよろしく。石上会計』
『…はい?』
生徒会室で初めて話したあの日、石上優を身内として捉えた日だった。
「アンカー石上とかマジ下がる」
「勘弁してよ」
「やなんだけどー」
今、行われている競技は部活・委員会対抗リレーだ。このリレーのルールは体育会系団体、文科系団体の二チームに分けてリレーを行うというもの。
ただし、アンカーは赤白それぞれの代表者がチームに加わって務める。
本来、応援団の代表者はほとんどの場合が団長になるのだが、赤組の団長は不慮の事故(笑)で足を負傷し、出場出来なくなってしまった。そこで白羽の矢が立ったのが石上だった。石上は中等部時代陸上部に所属しており、部内では一番速かったという。その選択は実に利に叶ったものだった。
しかし、周囲はそう思わない。学園の生徒の殆どが石上を快く思わない。同じ応援団として石上の為人に触れ、思い直し始めた彼らが例外なのだ。
「えっ、アンカー石上なの?最悪じゃん」
「団長は?」
「風野君じゃないの?」
「えーっ、何で?」
石上に聞こえている事を知らずか、それとも知っていて話しているのか。話し声の数は更に増えていく。
これが、この学園にとっての普通なのだ。
「総司」
背後から声が掛けられる。さすが妹といったところか、総司が今、どんな心持ちでいるか察しているらしい。
「かぐや」
「駄目よ。石上君の意思に反するわ」
「…」
四宮総司は身内に甘い。かぐやは勿論、早坂に千花、白銀と石上、そして最近よく話す様になった圭も、総司は身内と捉えている。そこ身内に手を出し、傷を付けようものなら、誰が相手でも総司は容赦なく制裁を下す。その相手がどれ程いようとも。
しかし、総司は耐える。何しろ被害者本人がそれを望んでいないからだ。それなのに被害を受けてない総司が先にキレる訳にはいかない。そう言い聞かせながら、総司は耐える。
「…白銀?」
募っていく怒りに震えていると、ラインの後ろに立って出番を待つ石上に白銀が駆け寄っていくのが見えた。
石上の背後まで来た白銀は、自分の額から解いた鉢巻を石上の額に巻き付けた。
ずっと呆然としていた石上は驚いた様子で振り返ると、何やら白銀と楽しげに話し始めた。
「顔からコケちゃえ!クソ石上!」
話し終え、白銀が石上から離れていったその時だった。その声は、思いの外近くから聞こえてきた。総司とかぐやのいる前方、最前列にそれはいた。
「アンタが変な事したから私フラれたんだからね…!私、結構根に持つタイプなんだから…!」
「…」
あぁ、そうだ。石上のお陰でお前はフラれたんだ。そのお陰でお前がどれだけ救われたのか、その本人が解っていないというのは何と救えない話か。
「総司…!」
本当に救えない。救えなすぎて笑えてくる。よくもまあ何も知らない分際で好き勝手言えるものだ。滑稽にも程がある。滑稽すぎて──────
「目障りだな」
「っ…」
その声を聞いて、かぐやは身震いした。総司が完全にキレている。このままでは、何をしでかすか解らない。石上の意思とか、それどころじゃなくなる可能性もある。
しかし、その危惧は直後、徒労に終わる事となる。
「うるせぇ、ばーか」
「──────」
鉢巻の位置を直しながら口を開いたその声は、総司の耳にも届いた。途端、総司の中で燃えていた怒りが一気に鎮火した。
いや、うるせぇばーかって。
「ぶふっ」
「そ、総司?」
「はは…あはははははははっはははっははははは!!!」
たった一言で、たかがうるせぇばーかの一言だけで、それが固まったのが見えた。
笑わずにいられなかった。その滑稽さに、総司は今度は笑いを止められなかった。
「ははは…はぁ…!あー、ここまで笑ったのはかぐやの心臓病騒ぎ以来だな」
「総司?」
「ん?」
「…貴方ねぇ」
「お、石上がスタートしたぞ。見ないのか?」
「見るわよ!見るけど…、あぁもう!」
先程までの殺気に満ちた総司はどこへやら、いつものどころかいつもよりも機嫌が良い総司がそこにはいた。
色々と言ってやりたい気持ちはあるが、そこを、ぐっと我慢してかぐやはトラックを駆ける石上を総司と一緒に見守るのだった。
総司君、キレかけるの巻
もしキレてたら、クリスマスまでに生徒の半分が謎の転校をしていたかもしれない…(笑)