日本の自動車業界の迷走

2023-02-22T11:31:06+09:00

Posted by MOS_IC_MAKE

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工学

エネルギーコストが上昇しているにも関わらず、電気自動車の普及は世界中で進んでいる。2035年にはヨーロッパではガソリン車の販売が禁止される。それに対して日本の自動車業界は相変わらず電気自動車に消極的なようだ。

市場ではじわじわと電気自動車の普及が進む。日本では最大手のトヨタが社長交代して、ようやくEVシフトするようだが、大幅に出遅れた感は否めない。

日本がEVシフトに大きく遅れたのは」ハイブリッド車の成功にある。ハイブリッド車と電気自動車の技術は近い。だからいつでもEVシフトできると高をくくっていたが、いつの間にか市場のEVシフトの出遅れた。とくに電池の分野ではもう取り返しがつかないくらい遅れてしまっている。

日本が期待するものに固体電池がある。大容量、高速充電といった高性能が期待されている。しかし欠点も目立つ。最大の欠点は固体であるがゆえのものである。固体電解質はひび割れが起きやすい。電極との接触も難しい。いまだに車載に適した固体電池を開発できていない。
仮に開発できたとしても、もう一つ難関がある。高速充電できるということはそれだけ高出力の充電設備が必要だということ。従来の液体電解質の電池との共用するなら、高速充電のメリットは出せない。専用の充電設備が必要になる。
しかも固体電池の製造コストは液体電解質の電池より高くつく。はたして固体電池が開発できたとしてどれだけの市場があるのだろうか?

もう一つ日本の自動車メーカーを惑わせているのに水素エネルギーがある。しかし日本で水素エネルギーを作るには高く付く。オーストラリアの泥炭を使って安く作る方策も考えているようだが、CO2が大量に発生する。CO2を解決したとしても運送、保管が難しい。超低温で液化するか、超高圧タンクで保存する。もしくはアンモニアに加工する。どちらにしてもエネルギーとコストがかかる。とても電気自動車と競争できない。

そしてもう一つ日本メーカーを追い詰めるものがある。それはナトリウム電池。性能はややリチウム電池に劣るものの、希少金属であるリチウムやコバルトなどを使わないので次世代のバッテリーとされる。生産ラインはリチウム電池のものを使えるのでコストは低く抑えられそうだ。すでに中国で量産が始まっている。
ナトリウム電池が急普及、30年に347GWh

結局の所日本メーカーはハイブリッド車にあぐらをかきすぎた。まだ未完成の固体電池や、水素エネルギーにかまけすぎた。リチウム電池の分野ではもう追いつけない。ナトリウム電池でも無理だろう。

2040年代には日本の自動車産業は失われているかもしれない。そのとき日本はなんで食ってゆくのか?
半導体?冗談でしょう。

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