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Home › 記事 › 続ビンボ講座 その1 プロローグ
最も危ないのは組織に属して給与生活をすることである、と何度も書いている。
オカネの立場から見ると、ということです。
そんなこと言ったって、ぼくがやりたいことってカネがかかるので会社の研究所じゃないとできないんです。
口を尖らせて、眼鏡を光らせて、きみは言うであろう。
あるいは、やりたい学問をやらせてもらって、給料までもらってるんだから「恩の字」ですよ、という人もいるはずです。
ここでは、そういう芸事に精魂を傾けて、食べる方はおにぎりが保証されればいいです、な「知的な」お勤めを述べようとしているのではなくて、オカネのために真剣に働くひとたちのことを思い浮かべている。
She Works Hard For The Money.
ドナ・サマー。
ドナさん、やっとシンガーとしての実力が再評価されて、これからだ、というときに肺がんで死ぬなんて、ちょー残念。
煙草なんて、喫わない人だったのに。
現代社会のラットレースそのものが、どのようにデザインされて、どんなふうに機能しているかは、その希望のない苛酷さとともに、いままで何度も書いてきたことではあるし、この記事を読みたいと考えた人は、「じゃあ、どうしたらいいの?」への応えを最も求めているでしょうから、おもいきってラットレースそのものの歴史性は省いてしまおう。
ひとことだけ述べると、いまの日本の根本的な問題のひとつは、収入と消費のぎりぎりの均衡をめざしてデザインされたラットレースに、あろうことか、巨体にものをいわせてのしかかる強姦魔のようにして、日本的な意味での「派遣業」を上乗せしたことです。
あんな「派遣業」って、日本にしかないのよ。
あれでは工事の朝、「立ちんぼ」が集まってくる小路に行って、人夫を集めて、派手にピンハネする暴力団と変わらない。
いま書いてから気が付いたが「ピンハネ」の原義は「1割はねることなので」、システムエンジニアなどで、どうかすると逆に1割しか渡らない日式派遣業は、やくざよりひどい商売だということになる。
いくら技能をいかしたくても派遣はやめましょうね。
ラットレースから抜け出るための第一の心得は、「おれは勤め人ではないのだ。これは世を忍ぶ仮の姿で、ほんとうは独立自尊の人なのよ」と自分に強く言い聞かせることです。
職場から心理的距離をおおきく取るといい。
出来れば職場での友達もつくらないにこしたことはない。
ランチタイムは、さっさと職場の人間が来ないコンビニに行って、豚まんでもいい、おにぎりでも構わない、出来ればからあげクンと焼き鮭おにぎりの黄金定食が望ましいが、そうそう贅沢はいっておれないので、やむをえず、昆布のおにぎりひとつを、ひとり、ベンチに腰掛けて噛みしめるのでも、いいのではなかろーか。
職場では孤独であることです。
仲間つくっちゃダメよ。
上司に憎まれると嫌がらせされるので憎まれるのは困るが気に入られるのは、もっと困る。
きみは有能だから正社員でどうですか?などと言われたら翌日は、ふけて、職場放棄をするのがよいとおもわれる。
そんなところで、「はい」などと言おうものなら、人生おわりですから。
で、言うまでもないが、徹底的に出費は切り詰める。
「おーい、お茶」なんて浪費の極みなので、お茶は、自分の家でポットに詰めてもっていく。
通勤も自転車がいいよね。
電車なんて、わざわざオカネを払って、ぐふふのおっちゃんに身体を触られるだけではないか。
やむをえない事情があれば、まさぐりに来た、ぐふふおやじの手を、おもいきりつねるためのプライヤーを握りしめて電車に乗ってもよいが、
ほんとうは自転車がよい。
交通費は会社が出してくれるんで、という考えかたは、会社のおもうつぼで、そんなものは会社にくれてやればよいのです。
で、ここからがおそろしい。
百円でも二百円でもいいから貯金するのですよ。
銀行の口座にはいると数字になってしまうので、出来れば豚ちゃん貯金箱か、箪笥預金がよいであろう。
毎月、爪に火をともして、あっちっち、指先焼いちゃったよ、をしながら、数万円でよい、小金が貯まったら、出来れば毎月株式を買うのが、このあいだちょっと考えてみたが、いまの時点ではビンボ人にとってのゆいいつの投資経路であるようです。
銘柄で買うよりもETFがいい。
ここでは詳しくは説明しないが、いまの株式の世界は、コンピュータとソフトウエア、数学理論を駆使して高度な投資を行うひとびとの支配下にあるので、なんの数学知識もないトーシロのきみが、いくら「勉強」してみたって、カモがネギの背負い方を懸命に学習しているにしかすぎなくて、意味がない。
銘柄のパフォーマンスを研究するくらいなら、どんなETFが、その時点で最も有利か、調べたほうが、ずっと良い投資に結び付きます。
不動産株式中心で構成されたETF、IT株で出来たETF、ポルノ/お色気産業だけでつくられたフランス書院ETF、三番目のは、いまでっちあげたウソだが、パフォーマンスそのものの数字も大事だが、構成する会社の将来性を考えて選択するのがよい。
ほかには配当から選んだり、キャピタルゲインから選んだり、というやりかたもあります。
毎月の少額株式購入には名前がついていて、ドル・コスト平均法、という。
ビンボから抜け出そうとしている人にとっては欠点よりも利点が遙かにおおきい投資方法で、ほかにビンボ人むけの投資法はないと言ってもいいくらい。
ところが、不運なことに、日本でドル・コスト平均法を実行しようとすると、適切なETFが買えない、それよりなにより、手数料がバッカ高い、という欠点がある。
では、どうすればいいかというと、他国の会社を利用すればいい。
日本では日本語サイトがあり日本語でサポートしてもらえるせいか
Interactive Brokersが、やはり人気がありますね。
要は、最初期はつつましく生きるしかない。
え?そんなfrugalであれ、なんて退屈な、ガメは聖書か、と言われそうだが、他に方法がないんだから、仕方がないじゃない。
次回は、ではどうすればfrugalな生活を楽しんでいけるのか、ということについて書きたい。
ビンボ人のための内面充実講座、みたいになってしまうかもだけど。
(この記事は2021年4月27日に「ガメ・オベール日本語練習帳 ver.5」に載った記事の再録です)
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