「夢グループ」社長・石田重廣氏が“ガタガタ”と語り下ろすこのシリーズ。通販で大成功をつかむまで波乱の人生を歩んだ石田社長だが、なかでも大反響となったのは、野球への夢破れてアルバイトに明け暮れていたころの衝撃体験だった。(以下は6月19日配信記事より)

◆ ◆ ◆

突然ですが、皆さんの好きな言葉ってありますか? 僕の好きな言葉は「夢」と「未来」です。もちろん社名の「夢グループ」もそこからきています。

これまでに僕は様々な夢をかなえてきました。けれど、前回お話ししたように、高校野球への夢は志半ばで諦めてしまいました。

さあ、じゃあ次に何を目標にしようかと思った時、「よしっ! 大学受験をしよう」と思い立ったわけです。人並みに受験勉強も一生懸命やりました。そしていざ試験となった矢先のことです。早稲田大学や学習院大学など10校ぐらい願書を出したんですけど、よくよく考えてみたら僕、福島から東京に出かけて来たことが、親と2〜3回しかないわけです。今のようにスマホで交通案内がさっと確認できる時代じゃありませんし、大都会の電車の乗り換えなんてまごまごしてしまいます。

今でも覚えているのが神奈川大学の受験日です。ギリギリの時間で向かった僕を待ち受けていたのは、朝の満員ラッシュ。降りようにも次から次へと乗客が入ってきて降りられないんです。やっと降りられたのは3つ先の駅。逆のホームから再び電車に乗りますが、またもやギュウギュウで降りられず‥‥。そんなことを繰り返しているうちに試験はとっくに始まっておりました。試験日に、違う大学に間違えて行ってしまった、なんてこともありました。

結果的に願書提出をしたうちの4校ぐらいを受けたんですが、見事に全滅。仕方なく浪人して予備校に通うことになったんです。同級生はキャンパスライフとアルバイトを楽しんでいるというのに、僕は毎日朝から晩まで勉強ばかりでした。

当時、予備校に通うために上京した僕が暮らしていたアパートは、4畳半風呂なしで家賃が1万6000円。親からの仕送りは毎月7万円でございました。そして、それとは別に受験料にと現金書留で届いた額が20万円。本当にありがたいことです。

ところが、大切に大切に引き出しの奥にしまっておいたそのお金がある日、帰宅したら消えていたのです。部屋の鍵をかける習慣がなかった僕が招いてしまった一大事でした。友達らに聞いて回ると、どうやら高校時代の友人がお金を持ち逃げしていたことがわかりました。

「これはマズいことになったぞ!」

まさかお金を盗まれたなんて親に言えないし、どうしようと悩んだ挙句、学生ローンでお金を借りるという策が頭に浮かびました。学生ローンは予備校生でも親に連絡なしで貸してくれるというところがメリットです。

まず最初に足を運んだのが、高田馬場にある学生ローン。「すみません、15万円貸してほしいんですけど」と言うと、いとも簡単にあっさりと借りられたんです。

それを受験料にすればよかったんです。きっと、それが普通の人の考えでしょう。ところが、何を思ったか僕、今度はお茶の水の学生ローンに行って15万円借りたんです。こちらもすんなり。で、計30万円。この時、僕は人生の中で初めて30万円という大金を1日にして手にしました。クラシック喫茶に入り、コーヒーを飲みながら、封筒の中に入っていたお札を取り出し、すう〜っと胸いっぱいに嗅いでみました。

「ああ〜! いいなぁ! いい匂いだ!」

完全に自分自身が1日で30万円を稼いだという錯覚に陥っていました。そうしたら、なんだか「大学進学なんてしている場合じゃない、働いてお金を稼ぐんだ!」なんて気が起きちゃったんですね。思い立ったら即行動。というか、親に会わせる顔もなく、連絡も入れぬまま引っ越しをしてしまいました。

それからはアルバイト情報誌とにらめっこです。デパートの高級中華料理店のバイトは、伊勢エビが食べられるかもと思って働き始めたのですが、「石田君、訛りがひどいからホールじゃなくて皿洗いに回ってくれ」と言われたんです。「皿洗いでも伊勢エビ食べられますか?」と聞いたら「どっちだって食べられるわけねぇだろ!」。で、3日でクビ。

次に、築地市場の蒲鉾店に時給の高さが魅力で応募しました。朝6時から正午ぐらいまで働いてだいたい8000〜1万円。広い市場内にあるお店に蒲鉾を配達する仕事だったんですが、市場内って住所があるようでなくて、とっても複雑。おまけにターレーでマグロなんかを運んでいるおじさんからは「邪魔だ! どけっ」と怒鳴られるし。やっと配達を終えて店に戻ると「何トロトロやってんだ、遅すぎる!もう来なくていい」と2日目の午前中にクビ。しかも、僕が働いた1日と3時間分を「使いものにならないからお金は払えない」なんて言うんです。

頭にきたので時給分の約1万3000円分の蒲鉾をこっそり冷蔵庫からもらって帰ってきました(笑)。

そして次にバイトしたのが東京駅の丸の内にあった吉野家です。深夜0時から朝の8時頃まで働いて、時給も高い。その上、〝まかないで牛丼が2食分食べられる〟という待遇です。でも皆さん、僕は肉が食べられないんですよ。

「1食450円×2食分の900円は食べてないんだから、その分、バイト代に加算してもいいんだな」と、勝手に思ってしまいました。それで何をしたかというと、自分のまかない分のお金を、お客様が召し上がった後にいただいた中から、当たり前のようにポケットに入れていたんです。

ある朝、いつものようにお客様にお辞儀をしてポケットにチャリン‥‥としたら、背後からチーフマネージャーがすっ飛んできて、

「キミ、今何してたの!?」

「いや、僕が食べていない2食分をいただいているだけです」

そう言いましたら、「泥棒だぞ、それ!」と言われました。挙句の果てに「泥棒にバイト代なんて払えない」と言われ、こちらもクビ。

今振り返ってみれば、完全に社会的なルール違反でしたが、まったくもって〝世間知らず〟すぎた僕でした。

石田重廣(いしだ・しげひろ)株式会社夢グループ、株式会社ユーコー代表取締役社長。1958年7月1日生まれ、福島県出身。自ら出演する「夢グループ」のテレビショッピングで大人気。昨年、保科有里とのデュエット曲「夢と…未来へ」で歌手デビュー。

スポンサー コンテンツ

こちらもおすすめ

「こんなデタラメでいいのか」と…

韓国で、私が文在寅政権時代に多くの痛い目を見たことは著書『それでも韓国に住みますか』にも綴っているが、「こんなデタラメな国」はないと私は思っている。

というのも、政権が変わった途端、我々庶民の生活に大きな影響が出てしまうのだ。

実際、2019年から「反日・不買」が始まった際には、その波は一気に韓国国民全体を飲み込んだ。その結果、それまで日韓ビジネスを行って来た者たちはどれほど苦しめられた4年間だったか……思い出すだけでも吐き気がしてくる。

私もそれまで進めていたプロジェクトが幾つかあったが、すべて白紙になり、大きな損害を被った1人だ。

それでもいまだに韓国の左派たちが福島原発の処理水をめぐってデマやフェイクを垂れ流している。彼らは自分たちが調子の良い時には判決や科学的機関のデーターが正しいといい、都合が悪くなるとそれまで言い放ったことを忘れたかの様に反対のことを言い出したりしている。

そんな相変わらずぶりが変わらないのが、いまの韓国野党であり、左派市民団体なのだ。

「デマ」と「呆れ」

そんなデタラメ思想に賛同してしまう日本の政治家が一部にいるが、いったい何が目的なんだろうと、参政権がないにもかかわらず私は恥ずかしさを感じずにはいられない。

このデマのおかげでどれだけの関係業者が迷惑し、怒っているかを知るべきと思うのだ。

今回、必死な左派の活動を見ていると、すでに「ローソク集会」や「反日・不買運動」が何の意味も持たなかったことに気づいている韓国国民には、何一つ響いてないことがよくわかる。

そんなデマがいくら撒き散らされても、韓国では居酒屋、寿司屋は繁盛し続けているし、訪日韓国人も相変わらず多い。

私は先日、日本のテレビ局に協力して韓国取材を段取りし、韓国の若者たちに取材をしたが、ここでも若い世代の韓国人たちは歴史と文化を分けて考え、日本文化楽しんでいることがハッキリとわかった。

韓国の未来

それにもかかわらず、韓国左派は北従思想、共産思想、社会主義擁護が露呈し、その方向性を国民が否定しだしていることになぜ気づかないのか、あるいは知っていて知らん顔なのか、まだ世間を騙し通せると思っているのだとすれば呆れてモノが言えない。

だが、今の尹政権はハッキリと日韓問題(歴史観)に決着をつけると大統領自ら明言している。その影響で若者が文化を楽しむことを優先し、歴史観は二の次にしだしたのだ。

尹政権がそういった雰囲気を作ったことで、左派が流すデマに事実上大きな被害は出ていないが、業者を含めた韓国民はこのデマを見て聞くたびに嫌気と怒りしか感じていないだろう。

そこに韓国左派思想の未来が見え始めているのかも知れない。

さらに連載記事『韓国「反日の現場」で見て、聞いて、わかった“ヤバすぎる現実”…! 「在日3世」の私が驚いた「韓国国民の本音」の“意外な中身”と、いま韓国で起きている「巨大異変」の中身』では、いま韓国で起きている“もう一つの異変”についてレポートしよう。

スポンサー コンテンツ

こちらもおすすめ