IPoE方式とはネットワークに直接接続する仕組み!メリット・デメリットを紹介
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2023.6.13 (火)Posted by NTT東日本
「IPoE方式とは何か知りたい」「自社のインターネットを高速なものに変更したい」といったお悩みをお持ちではないでしょうか。IPoE方式は、インターネットへアクセスをより速く快適にする接続方法です。
他にも、接続が簡単などのメリットがありますが、注意点も存在します。「インターネットに速く接続できるから」という理由で安易に選ぶのではなく、注意点や確認すべきことを知っておくことが大切です。そこで今回の記事では、IPoE方式の特徴とメリット・注意点について解説します。IPoE方式と合わせると、より高速通信が叶う方法も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
1.IPoE方式とはネットワークに直接接続する仕組み
IPoE方式とは「IP over Ethernet」の略称で、企業内のLANなどと同じ方法で直接インターネットに接続します。一部の回線やプロバイダでは「ネイティブ接続方式」とも言われます。IPoE方式は、インターネット終端装置を経由しない点が特徴です。
インターネットに素早くアクセスでき、快適に利用できます。また、接続用のユーザー名やパスワードの認証が不要な点も魅力です。複雑な設定を行わずに、インターネットを利用できます。IPoE方式なら、電子機器の操作に不慣れな方でも、設定しやすいでしょう。
現在使用している回線や、プロバイダの通信速度に不満を感じている場合は、IPoE方式を使用するのがおすすめです。通信速度が改善し、業務効率化などが見込めます。一方、IPoE方式には懸念点も存在します。
IPoE方式では、従来型IPアドレスの「IPv4」に対応しているWebサイトは閲覧できません。IPoEは「IPv6」のIPアドレス対応のWebサイトのみ閲覧可能です。現状は、IPv4に対応しているWebサイトが多く、IPv6対応済みのWebサイトは少ないです。具体的なWebサイト名として、以下が挙げられます。
2023年4月時点
IPv4対応Webサイト |
IPv6対応Webサイト |
・Amazon |
・YouTube |
IPv4に対応しているWebサイトを閲覧するには「IPoE IPv4 over IPv6」と呼ばれる方式への切り替えが必要です。
2.PPPoE方式とは終端装置を経由してネットワークに接続する仕組み
PPPoE方式とは「Point to Point Protocol over Ethernet」の略称で、現在主流のインターネット接続法です。従来は、自宅やオフィスからインターネットに接続する際、電話回線をダイヤルアップし、プロバイダを介していました。
PPPoE方式にはIPoE方式とは違い、ユーザー認証・IPアドレスの割り当てなどの機能があります。インターネットにアクセスするには、プロバイダが発行したユーザー名・パスワードの入力が必要です。さらに、ルーターやアダプターなどの通信機器の設置もしなければなりません。
PPPoE方式は、ネットワーク終端装置を通してインターネットへアクセスします。IPoE方式が直接インターネットに接続できる分、PPPoE方式の方が通信が遅くなりやすいです。しかし、PPPoE方式に対応しているプロバイダは多く、需要があるのが現状です。なお、PPPoE方式ではIPv4・IPv6両方のWebサイトが閲覧可能です。
3.IPv4とIPv6の違い
IPv4とIPv6は、通信方式の違いを表します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説するので、ぜひ参考にしてください。
3-1.IPv4とは従来の通信方式【在庫が枯渇しつつある】について
IPv4は、1990年代後半からのインターネット普及に伴って開発された通信方式です。現在も、多くの企業や個人宅で使用されています。インターネットに接続するパソコンやスマートフォンなどのデバイスには、必ずIPアドレスが付与されます。
IPアドレスとは、各デバイスに割り振られる英数字の組み合わせです。インターネット上の住所のようなものです。IPv4は、IPアドレスを32ビットデータで表します。ビットとは、データの最小単位のことです。コンピュータでは、すべての情報を2進数で処理しています。IPv4のアドレス総数の計算式は、以下のとおりです。
2の32乗個 = 42億9496万7296個
つまり、約43億個のIPv4アドレスが存在するということです。しかし、近年はインターネットの急速な拡大により、IPv4アドレスは枯渇しつつあります。なお、IPv4はPPPoE方式のみ使用可能です。IPoE方式では接続できないため、注意しましょう。
3-2.IPv6とは移行が進みつつある通信方式【在庫が潤沢】について
IPv6は、枯渇しつつあるIPv4に代わって誕生した通信方式です。IPv6では、IPアドレスを128ビットデータで表わします。アドレス総数の計算式は、以下のとおりです
2×128乗個 = 約340澗(かん)個
澗は数字の単位で、億の1兆倍の1兆倍に当たります。事実上無限に使えるので、IPアドレス数がなくなる心配はありません。IPv6は、PPPoE方式・IPoE方式の両方に対応しています。ただし、IPv4のみ対応のWebサイトの閲覧はできません。
現在のインターネットは、IPv4とIPv6それぞれが独立して存在しています。Webサイトは、どちらかのバージョンのIPアドレスに対応しています。現在は、IPアドレスがIPv4から在庫が潤沢なIPv6に移行している最中です。今後は、IPv6が主流になると予測されています。
4.IPoE方式で接続する3つのメリット
IPoE方式で接続する3つのメリットは、以下の3つです。
- 高速通信できる
- 通信が安定する
- 簡単に設定できる
インターネットを利用するなら、メリットが大きい方式を採用したいと考える担当者もいるでしょう。ぜひ本章を参考にしてください。
4-1.高速通信できる
IPoE方式はPPPoE方式と比べると、通信が速い点がメリットです。それぞれの最大通信速度の違いは、以下のとおりです。
- IPoE:10Gbps
- PPPoE:1Gbps
IPoE方式の通信が速いのは、ネットワーク終端装置を経由しないためです。一方PPPoE方式は、ネットワーク終端装置を通してインターネットへアクセスするため、通信速度が低下する傾向にあります。
特にインターネット使用が増加する夕方〜夜間や、利用者が多い場所などでは、ネットワーク終端装置が混雑しやすいです。さらに、アクセス時にユーザー名・パスワードの入力が必要な点も、速度が出ない理由です。ユーザー名・パスワードは、一度登録すれば自動で入力されるため、利用者が毎回入力するわけではありません。現在通信速度の低下にお悩みの方は、IPoE方式にした方が、快適にインターネットを使用できるでしょう。
4-2.通信が安定する
IPoE方式は、速さだけでなく安定性も優れています。通信速度の制限幅が広い接続設備を利用できるからです。企業は、一度に多くの人がインターネットに接続するため、通信の速さだけでなく安定性も重要でしょう。
PPPoE方式のままだと、インターネット使用中に通信が落ちる可能性があります。一方、IPoE方式なら、通信が切れたり落ちたりしにくいため、ストレスなくインターネットを利用できます。インターネットへのアクセスがスムーズだと、生産性向上や業務効率化も期待できます。
4-3.簡単に設定できる
IPoE方式は、インターネットに直接アクセスするため、ユーザー名・パスワードを入力する必要がなく、簡単に設定できます。一方PPPoE方式は、ユーザー名・パスワードの入力が必要なだけでなく、ルーターやアダプターなどの通信機器を用意しないといけません。
設定の工数が多いと、社員がインターネットを使用できるまでに、時間と手間がかかります。さらに社員から、設定に関して質問をされたり対応を依頼されたりすると、担当者もリソースを割かなければなりません。生産性や業務効率化を考えると、複雑な設定が不要でシンプルに使えるIPoE方式がおすすめです。
5.IPoE方式で接続する3つのデメリット
IPoE方式はメリットが多いように感じますが、以下のようなデメリットも存在します。
- IPv4のみに対応しているWebサイトは閲覧できない
- 専用のプロバイダ・ルーターを契約する必要がある
- 外部環境によっては通信速度が落ちる可能性がある
担当者は、デメリットもきちんと確認し、導入の判断を行うのが大切です。一つずつ解説しますので、ぜひご確認ください。
5-1.IPv4のみに対応しているWebサイトは閲覧できない
IPoE方式は、IPv4には未対応のため、該当しているWebサイトは閲覧できません。現在インターネットに接続可能な方式は、以下のとおりです。
- PPPoE IPv4
- PPPoE IPv6
- IPoE IPv6
- IPoE IPv4 over IPv6
IPoE方式でIPv4のWebサイトにアクセスするには、IPoE IPv4 over IPv6に切り替える必要があります。ただし、IPv6未対応のプロバイダやルーターも一部存在するため、事前に確認すると安心です。IPoE IPv4 over IPv6について詳しく知りたい方は、別記事「IPoE」をあわせてご確認ください。
5-2.専用のプロバイダ・ルーターを契約する必要がある
IPoE方式を利用する際は、プロバイダの対応有無を確認する必要があります。対応していなければ、契約中のプロバイダではIPoE方式は使用できません。一例として、フレッツ 光クロス※のIPoE対応のプロバイダについては、以下のサイトに掲載がございます。
地域によって、IPoE方式に対応しているプロバイダの種類が異なります。さらにルーターも、製品によって対応の可否が分かれます。対応していない場合は乗り換えが必要のため、事前に確認しましょう。
※フレッツ 光クロスは提供地域が限定されております。
5-3.外部環境によっては通信速度が落ちる可能性がある
IPoE方式を利用しても、必ずしも通信が速くなるわけではありません。通信速度の低下にお悩みの場合は、以下の原因が考えられます。
- 利用デバイス
- 機器をつなぐ環境
- 地域
- 時間帯など
また「IPoE方式で接続していれば通信が速くなる」と理解している方がいますが、誤情報のため注意しましょう。正確にはIPoEで接続した場合に、通信スピードがアップします。PPPoEの場合は「PPPoE IPv6」と「PPPoE IPv4」のどちらでも通信速度は変わりません。
6.IPoE方式の接続確認方法
IPv6方式の接続確認方法は、専用のツールを使用するか、パソコンの設定画面で見るかの2通りです。それぞれ解説しますので、ご自身や社員が確認しやすい方法で行ってください。
6-1.専用のツールを使用する
インターネット上には、自分の環境がIPv6になっているかどうかを確認できるツールが存在します。例えば以下のサイトでは、アクセスするだけで簡単に結果がわかり、所要時間も10秒ほどです。
あなたの IPv6 接続性をテストしましょう。(外部サイトに遷移します。)
なお確認ツールは、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも使用可能です。
6-2.パソコンの設定画面で確認する
パソコンでは、設定画面で確認します。確認方法は以下のとおりです。
- 1.設定アプリを起動する
- 2.「ネットワークとインターネット」をクリックする
- 3.「アダプターのオプションを変更する」をクリックする
- 4.利用しているインターネット接続を右クリックする
- 5.プロパティを選択する
- 6.インターネットのプロトコルバージョン6にチェックが入っているか確認する
ただし、この確認方法は、契約回線やプロバイダがIPv6に対応していることが前提です。
7.プロバイダを選定する際に重要視すべきポイント
インターネットの品質向上には「回線×ISP×ネットワーク機器」での対応が必要です。各サービスごとで優位点が異なるため、目的に合ったサービスを選択することが重要となります。法人ユーザ向けISPの選択におけるポイントは、以下のとおりです。
優先度順 |
項目 |
なぜ注目すべきか |
市販サービスの対応状況 |
① |
ポート数 |
Webサービス※1の利用時、大量のポートが消費されるため。 |
動的:1,008~12,800 |
② |
帯域制御機能 |
・特定の大量トラフィック※3によりネットワーク遅延が発生するため。 |
特定のトラフィックを分離して通信を行う |
③ |
ネットワーク機器 |
・10G回線やIPoEに対応しているネットワーク機器の選定が必要なため。 |
・購入:ユーザ側での設定必要 |
④ |
価格 |
・マス向けのISPと比較して高単価なため。 |
動的:1,200~14,000 |
⑤ |
契約種別 |
・オプションやサポートの体制が個人向けと法人向けでは異なるため。 |
・法人ユーザ専用 |
8.IPoE方式とフレッツ 光クロスを組み合わせれば高速通信が可能
IPoE方式は、PPPoE方式と比較すると通信が速く、安定している点がメリットです。また、設定も容易なため、インターネットに詳しくない方でも、安心して利用できます。現在インターネットの通信速度に不満を抱えている場合は、IPoE方式に変更すると、改善される可能性が高いです。
ただし、IPv4には未対応のため、IPoE IPv4 over IPv6という技術を利用する必要があります。また、IPoEに切り替える際は、対応プロバイダや自社のネットワーク環境が、IPv6に対応しているかどうかも確認する必要があります。
インターネットをより快適に使用したいなら、IPoE方式に加えて、フレッツ 光クロス※1の利用をご検討ください。
フレッツ 光クロスは、法人向けの光回線・インターネット接続サービスで、フレッツ光の中では、現状最も高速です。※2
大容量で安定した通信が叶うため、生産性向上や業務効率化が期待できます。さらに、IPoE方式と組み合わせれば、より高速な通信が可能です。IPoE方式へ変更予定の方は、ぜひフレッツ 光クロスの導入をご検討ください。
※1 フレッツ 光クロスは提供地域が限定されております。
※2 フレッツ光技術規格上の通信速度に基づく比較です。
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