ロシア高官「保護しただけ」父親「そんなこと頼んでない」
「一番大切なのは子どもたちの未来です」。こう語るのは、ロシアによる子どもの連れ去りを主導したとされるリボワベロワ大統領全権代表。

プーチン大統領とともに、「連れ去りは最大の戦争犯罪」として国際刑事裁判所から逮捕状も出ている人物です。
彼女が推し進めているのは、再教育だけでなく、ウクライナの子どもたちをロシア人にすることです。
リボワベロワ氏が自身のSNSに投稿している動画には、ロシア人の養父母がウクライナの子どもたちを養子に迎える様子も…。
さらに、リボワベロワ氏自らも、ウクライナの子どもを養子にしているのです。

実際に、養子になる寸前で、父親に助け出されたという男の子が取材に応じてくれました。
13歳のマトベイくん。マリウポリの自宅が攻撃を受け、その後、親と引き離され1000キロ離れたモスクワまで連れ去られました。収容された施設でマトベイくんは、大人たちに“ある選択”を迫られたと言います。
マトベイくん(13)
「施設で、僕たちは『ロシア人の養子になるか、孤児院に行くか、ここで決めなさい』と言われたんです。そして…ほとんどの子が、養子になりました」

しかし、マトベイ君の証言について、リボワベロワ氏は会見で「彼ら(マトベイくんたち)はマリウポリで育児放棄されていて、モスクワの療養所に来た。養子になるよう勧めたことは一切ない」と真っ向から否定したのです。
モスクワまで行き、マトベイくんを奪還した父親はリボワベロワ氏の会見を見て…。
マトベイ君の父親 イェフヘンさん
「でたらめだな…彼女が言っていることは。施設に連れて行ってくれなんて頼んでない」
ウクライナの子どもをロシア化し、自国の国民として育てることで、ロシアは領土のみならず、民族のアイデンティティさえも奪おうとしているのでしょうか?

アメリカで、ロシアの子どもの連れ去りについて研究するイエール大学ナサニエル・レイモンド人道研究室長は、子どもの連れ去りには、ロシア化による再教育以外に「ロシア国民に『われわれは子どもの保護という人道的な行為をしていて侵攻は間違っていない』とPRするため」という目的もあると分析しています。
いまも1万9000人が、ウクライナに戻れないままです。
(TBSテレビ「つなぐ、つながるSP 戦争と子どもたち 2023→1945」8月12日放送より)