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傭兵は消え去るのみ――


【斎藤昭彦さんの旅券番号と確認 イラク邦人拘束で外務省】
 イラクで邦人が武装グループに拘束された事件で、外務省の対策本部(本部長・町村外相)は10日午前5時30分、英国の警備会社ハート・セキュリティ・LTD社から、同社イラク支店のコンサルタントを務める斎藤昭彦(さいとう・あきひこ)さん(44)がイラクで襲われ、行方不明になったとの連絡があったと発表した(2005年05月10日06時33分 アサヒ・コム)。

以前ボランティアの方たちがイラク武装勢力に拘束された事件とは異なり、今回襲われた斎藤昭彦さんという方は、昭和54年から2年間、自衛隊第一空挺団(陸自の精鋭を集めた日本唯一の落下傘部隊)に所属し、その後フランスの外人部隊に20年間在籍、そして1年前からハート社のイラク支店で勤務し、イラク西部の米軍基地を警備する仕事にあたっていたという経歴の持ち主なのだが、これって彼がバリバリの「傭兵」であることを差しているのは間違いない。

傭兵とは「金銭的報酬を条件に、契約に基づいて軍務に服する兵」(三省堂提供「大辞林 第二版」より)という定義がなされているように、金で戦闘行為に参加する兵士であり、この存在についてはジュネーブ条約第一追加議定書第四十七条でこんな扱いを受けている。
『傭兵は、戦闘員である権利又は捕虜となる権利を有しない』

つまり、金で人殺しを請け負う存在には捕虜どころか戦闘員としての権利さえ認めないという、なかなか厳しい断じ方をされる存在なのだが、私の意見としても戦争行為そのもそのが「合法的人殺し」である事に加え、それに金銭目的(少なくとも契約上は)で参加する傭兵という存在は、社会的保護の対象外だと思っている。

日本政府の斉藤さんへの対応は、過去はどうであれ現在はあくまで警備会社民間人であり、自国民の救出に全力を挙げるという構えらしい。しかし今勤務しているハート社が、警備会社とは名ばかりで、依頼によっては重火器を扱える人間まで派遣でき、冷戦終了で解雇された諜報部員の受け皿となっている「戦地への戦闘スペシャリスト派遣会社」であることを知ると、斉藤さんの保護については民間人ではなく「傭兵」扱いで対処すべきではないかと思ってしまうのだ。

職業として戦闘行為を請け負い、思想を持たず自らの危機管理能力を高めたり、命の危険にともなう緊張感を得るために殺人行為を行う「傭兵」という存在。正直書けば、その存在自体を否定したいが、現実としてみた場合戦闘地域では職業として成り立っている事実がある。
だったら、存在としては認めるが、そういう輩(やから)への保護は行う必要がないのではないか。斉藤さんも含め彼らはそれこそ「自己責任」で殺し合いに臨んでいるのだから。

「傭兵」という響きはカッコいい。実際その職業にかかわっていた柘植久慶さんの著書なども数冊読んだが、サバイバルという観点からみれば、テクニックと精神は非常に興味深いし、自らの能力だけで生き残るという姿勢にはロマンさえ感じるほどだ。
しかし、ここで間違えてはいけないのは、かれらは好んで戦闘地域に飛び込み、金をもらって「人殺し」をする存在でしかないという事実だ。

斉藤さんのご家族や関係者には大変申し訳ないが、彼は社会的に生きることを捨てて、そういう「人殺し」を選んだ人間なのだから、その結果捕まったからといって日本国が保護活動をする必要はまったくない。
繰り返すがジュネーブ条約でさえ『傭兵は、戦闘員である権利又は捕虜となる権利を有しない』と断じているのだ。

今後、愚かで浅はかな若者たちが「傭兵」という響きに惹かれて人殺しを生業にしないように、ここは1つわが国に冷酷な対処を期待したい。そしてマスコミも、もっと斉藤さんの職業が「傭兵」という人道上もっとも不合理なものであることを正確に報道すべきではないだろうか。

「自分が生きている実感を得るために、命を賭けて傭兵になる」
いいだろう。どうせ止めたって聞く耳持たないのならば勝手に殺人者の道を選んでくれていい。しかし、傭兵という「人殺し」の道を選んだら、人間でありどこかの国の国民であるという甘えは捨ててくれ。黙って戦闘に参加し「殺人オナニー」を続けるがいい。運がよければ生き残るだろう。

そして運悪く捕まった時は、早めにゲリラに殺されちまえ。それ以上金や自己確認のために殺人を犯さなくて済む。



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