前回のブログで、日本でも先の戦争で

実は兵士達が戦争神経症を発症し、

悲惨な人生を遂げていたことを扱った。

 

2021年、NHKが放映した。

 

私はテレビを一切観ないので知らなかったが、

この番組で多くの日本人が初めて

知ったのではないだろうか・・・?

 

それまで日本では、戦争による

PTSD(戦争トラウマ)の存在は

「完全に」消されていた。

 

終戦は1945年、2021年とは

つい最近のことである。

 

タイムリーなことに、

安冨教授もまたこの問題を

昨日取り上げていた。

 

 

日本の構造的な問題を鋭く斬る

論客の一人である。

 

PTSDとは、ベトナム戦争帰還兵の

症状からジュディス・ハーマンが

提唱した論理であることは

余りにも有名である。

 

私は考えた。

 

日本は「恥」だとひた隠し、

アメリカは研究され「救済」しようと

動いたこの違いは一体何かと・・・。

 

これが大きな日本の「闇」の一つでは

ないだろうかと。

 

日本では発狂した元兵士の人達は

「戦争ボケ」と蔑まれたらしい。

 

(サバイバル脳になった本人にとっては、

戦争は永遠に終わらない)

 

研究者の目黒医師(精神科医)は、

圧力で脅され表沙汰に出来なかった。

 

理由は「政治的な問題を後々起こすから」

ということだったそうだ。

 

私はベンゾ薬害被害者の当事者として、

日本社会を取り巻く「闇」というものが、

実体験と皮膚感覚でよく分かる部分がある。

 

戦争トラウマを隠蔽した日本と、

一方PTSD理論を生み出したアメリカ。

 

何とか医学的に研究しようとする目黒医師が、

何故アメリカのジュディス・ハーマンに

なれなかったのか、それを阻止する「圧力」が

何故働いたのか――

 

日本という国は考えれば考えるほど

不思議な国で、権力や政権にとって

都合の悪いことはスッと消されて

なかったことにされてしまう装置でも

特別に組み込まれているかのようだ。

 

もし日本で目黒医師の研究が後押しされ

社会で共有されていたら、

一体どうだっただろうかとも考えてみる。

 

戦争トラウマとは、自分の加害行為、

罪の意識に苦しめられのたうち回る

側面がある。

 

内容が内容だけに、更に更に諸外国を

「刺激」したかもしれない。

 

政治的判断で、「伏せて」おいた方が

いいということだったのか・・・。

 

兵士達の加害行為を蒸し返して、

何のメリットがあるのかと。

 

今日は8月15日、終戦の日。

 

しかし果たして「終戦」

しているのだろうか・・・?

 

壊れた心の問題(心的外傷)は、

家族間で負の連鎖を起こし

受け継がれていく。

 

戦争トラウマを負った兵士の子供は、

人格劣化した父親が理解出来ず、

忌み嫌ったまま死別したという。

 

「死んでせいせいした」と。

 

その後で真実を知り、愕然とする。

 

そして新たな苦悩が続いていく・・・。

 

「もっと早く知りたかった」と。

 

「別の言葉を掛けてあげたかった」と。

 

戦争はまだまだ終わっていないのだと

痛感させられる。

 

心が壊れる悲惨さは、

戦争も薬害も同じだ。

 

戦争も薬害も終わっていない――

 

私も薬害に気付くまで20年掛かった。

 

「もっと早く知りたかった」

 

当事者としても、大切な人に真実を

伝えることが出来なかった人間としても、

苦悩は同じように続いていく。

 

隠したら、隠蔽したら、

後々分かった時によりダメージが

大きい。

 

都合の悪いことでも表沙汰にしていく

べきであり、今こそその体質改善が求められて

いる時代もないかもしれない。

 

<追記>

 

ジュディス・ハーマンのPTSD理論は、

人権意識がなければ出て来ない概念である。

 

はた迷惑な症状の原因が、

実は被害故のことであり

「救済されるべき人である」という

論理だからである。

 

しかしこの日本で、あの当時

この概念が果たして導き出せたで

あろうか・・・研究が公に許可されたとしても。