瑠奈容疑者ら親子３人を再逮捕　両親も殺人容疑で逮捕した理由は「共謀共同正犯」専門家が解説　ススキノ首切断

2023年08月14日(月) 18時33分 更新

　５月下旬、札幌・ススキノにあるダンスクラブ。
　最前列ではしゃぐ様子を見せているのが田村瑠奈容疑者（29）です。
　ダンスクラブには父親の修容疑者（59）の姿も。
　後ろから娘を見守っているかのようです。
　別の場面では、瑠奈容疑者が被害者の男性と抱き合う様子もみられました。
　それからおよそ１か月後、男性は遺体で見つかりました。
　捜査本部は先ほど、瑠奈容疑者と修容疑者、そして母の浩子容疑者（60）の３人を、男性を殺害した疑いで再逮捕しました。
　事件が発覚したのは先月２日、恵庭市に住む62歳の男性がススキノのホテルで殺害されました。
　遺体は頭の部分が持ち去られ、道警は240人態勢で捜査を開始。
　事件からおよそ３週間後、　捜査本部は瑠奈容疑者と父親の修容疑者、母親の浩子容疑者を死体損壊などの疑いで逮捕。
　３人の自宅の浴室からは男性の頭の部分が見つかりました。
　また、捜査関係者によりますと、手袋をはめた何者かが頭の部分に触れる動画も自宅から押収されました。
　調べに対し、３人は死体損壊などの容疑について黙秘しているということです。

瑠奈容疑者の同級生
「（瑠奈容疑者は）女友達と仲よくしゃべっているところは見ましたけれど、あんまり男の人とは関わりなかった」

　10代のころは学校を休みがちだったという瑠奈容疑者。
　十数年後、何が彼女と両親を犯行に駆り立てたのでしょうか。
　捜査本部は先ほど、瑠奈容疑者ら３人を男性を殺害した疑いで再逮捕。
　男性とともにホテルに入った瑠奈容疑者が実行犯で、両親も関与したとみています。
　男性は背後からナイフとみられる刃物で首のあたりを複数回刺され、殺害されたあとにのこぎりなどで首を切断されたとみられています。
　捜査本部は引き続き、殺害の動機や役割分担を調べるとともに、主犯が誰かを明らかにしていく方針です。

　今回の事件は、殺害現場にいなかったであろう両親も殺人容疑で逮捕されました。
　理由として、どんなことが考えられるのか。元裁判官の内田弁護士に聞きました。

元裁判官　内田健太弁護士
「家族全員を殺人容疑で共謀共同正犯ということで、実行行為をしていない両親も実行犯の娘と同等の責任を問えるという内容で逮捕状を請求するところがポイント」

　実際に殺害を実行していなくても実行犯と同様の責任を問われる「共謀共同正犯」。
　これが成立するには「正犯意思」つまり、他人の犯罪を手伝ったのではなく、自分の犯罪として犯行に関与する意思があったかどうかが必要だといいます。
　内田弁護士は父・修容疑者については、犯行時に瑠奈容疑者を送迎していたとみられるなど物理的に関わっている一方、母・浩子容疑者については、判断が難しいと話します、

元裁判官　内田健太弁護士
「母親については、報道を前提にすると、犯行計画を認識していたというだけ。今回の計画の実現にあたって、物理的に何か手助けをしているという話は今のとこ出てきてないわけです。このような物理的には犯罪の実現に関与してない人については、精神面、心理的な意味で、どれだけ重大として果たしたかどうかというところがポイントになってくると思っています。ただ、物理的には何も寄与していないと、起訴のハードルは相応に高いだろうと思っています」

　内田弁護士の見解では、母親を殺人罪で起訴するにはハードルが高いということですが、実行犯と同様の責任を問える「共謀共同正犯」として逮捕状の請求に踏み切っているということは、疑うに足りる相当な理由があるからだろうとみています。
　内田弁護士は、父親については物理的に関わっているので、自らの犯罪として関与する意思＝「正犯意思」が認められるとする一方、物理的な関与が確認されていない母親については、「物理的な援助をしていなくても母親が理解を示すことが犯行を心理的に強く促した」という事情が明らかになった場合、「正犯意思」が認められる場合もあるということです。

　母親がどういう経緯で犯行計画を認識し、家族に対して、どういう態度を示していたのでしょうか。
　捜査本部は引き続き、殺害の動機や、３人がどのように事件に関与したのか全容解明を進めています。