テレビ番組のネット海外転送知財高裁が停止と賠償を命令
インターネットを通じて,NHKや民放のテレビ番組を主に海外に転送するサービスについて,知的財産高等裁判所は1月,テレビ局の著作権を侵害していると判断し,東京と静岡の業者にサービスの停止と賠償を命じた。
これは東京・永野商店が「まねきTV」という名称で顧客所有の機器を預かり,また,静岡・日本デジタル家電が「ロクラク」という名称で顧客にレンタルした機器を管理して,国内のテレビ番組をインターネット経由で海外在住の顧客に有料で転送していたのに対して,NHKと民放各社がこれらのサービスは「著作権を侵害している」と訴えていたものである。「まねきTV」の場合は,これが不特定多数への送信に当たるか否か,さらに転送行為の主体は誰かという点が争われ,「ロクラク」については,放送の複製行為の主体は誰かが争点となっていた。
二審はいずれも「権利を侵害していない」とテレビ局側の訴えを退けたが,最高裁判所は2011年1月,知的高等裁判所に審理を差し戻していた。
今回の知的財産高等裁判所の判決は「両社はそれぞれ,番組の送信と複製を主体的に行っていると認められテレビ局の権利を侵害している」という判断を示し,サービスの停止とテレビ各局への賠償を命じた。
判決について,NHKと民放各社は「適切な判断が下されたと考えている」とのコメントを出した。一方,業者側は判決内容を不服として,それぞれ最高裁判所に上告した。