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2022年世界販売台数ランキング トップ30 ベストセラーに日本車続々、ライバル追撃も

2022年、世界で一番売れたクルマは?

2022年の世界販売台数は、前年比でわずかな減少にとどまるが、多くの自動車メーカーにとっては決して肩の力を抜けない状況となっている。ライバルの台頭によって、多くの人気車種で販売台数が揺れ動いているためだ。

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また、欧米諸国と中国においてはEV車への移行が顕著である。米国は依然として大型ピックアップに夢中だが、それでも効率重視のモデルへと購入パターンをシフトしつつある。

今回は、2022年に世界で最も売れたクルマ上位30車種を取り上げる。

30:フォード・レンジャー – 30万4900台

米国市場以外でフォードが主力とするピックアップトラック、レンジャーの売れ行きは地域によってまちまちだった。世界全体で前年比で16%減少したが、いくつかの主要市場では記録的な数字を達成している。

最近発売された最新モデルは、大型のF-150にも似たハンサムなスタイリングが受けたようで、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナムなどの国々で支持を集めた。おそらく、これらの市場でフォードに立ちはだかるのは、トヨタハイラックスであろう。

29:ヒョンデix25 – 30万6800台

韓国のヒョンデは、2014年からix25(一部市場ではクレタと呼ばれる)を製造している。現行世代は2019年に発売され、世界合計85か国で販売さており、特に中国、インド、ロシアなどの市場で人気を博している。

2022年の販売台数は前年に比べて7%減少したが、ix25は後述のツーソン、エラントラに次いでヒョンデ3番目のベストセラー車となっている。なお、ix25のようなクロスオーバータイプのモデルは、2022年の上位30車種中に10車種もランクインしており、その根強い人気を示している。

28:フォルクスワーゲン・ティグアン・オールスペース – 31万1800台

フォルクスワーゲンの7人乗りSUVティグアン・オールスペースは後述のラヴィーダに次ぐ同社2位につけた。2022年の販売台数は前年比13%減となったが、ティグアン・オールスペースはフォルクスワーゲンブランドのSUVの中でも圧倒的な人気を誇る。

販売台数の現象により、2021年には25位だったが、2022年には28位に落ちている。一方で、Tロックの人気上昇が著しく、29万9200台を販売して32位と、トップ30に肉薄した(2021年は38位)。

27:いすゞDマックス – 32万5000台

2022年、いすゞDマックスは特に好調で、前年比10%増という驚異的な伸びを記録した。この目覚しい成長を達成したのは、1つの大きな市場を独占したからというよりも、多くの小さな地域で頑張ったためである。

Dマックスは、タイやケニアといった国々で販売台数第1位を獲得したほか、重要なオーストラリア市場でもピックアップトラック分野で第3位を獲得。これらを合わせると、Dマックスは2022年に世界で5番目に売れているピックアップトラックとなる。

26:BYDクイン – 33万1200台

BYDは最近日本や欧州で知られるようになったブランドだが、本国中国ではすでに確固たる地位を築いている。2022年の中国全体の新車市場は縮小したが、クイン(秦、QIN)はその影響を受けず、世界販売シェアは前年比で93%上昇した。

さらに印象的なのは、バッテリーEVとプラグインハイブリッド(PHEV)をラインナップに加えたクインの中国での販売台数が119%増加したことである。こうした好調な販売により、BYDは2022年11月、フォルクスワーゲンを抜いて中国で最も売れているブランドとなり、1年のうち6か月で月間販売台数の記録を更新した。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、2008年にBYDの株式をいち早く購入したが、その投資リターンは莫大なものであろう。

25:スズキ/マルチ・スズキ・スイフト – 33万3000台

スズキスイフトは、欧州でも人気のコンパクトハッチバックだが、世界を見渡せば2022年に最も売れたスズキ車となっており、同社の販売台数の重要な部分を占める。これは、現地生産されるインドでのマルチ・スズキの人気によるところが大きい。

2022年のスイフトの販売台数は33万台で、トップ30に浮上した(前年は33位)。台数としては前年比4%増となるが、これは42位に転落したトヨタ・ヤリスなど、多くのコンパクトハッチバックの販売台数が減少したのとは対照的である。

24:ヒョンデ・ツーソンLWB – 33万4700台

車名にある「LWB」は、ロングホイールベース・バージョンであることを示すもので、欧州で販売されている標準のツーソンと比べてホイールベースが75mm長い。中国やアジア市場など、多くの地域ではLWBがツーソンのデフォルトモデルとして採用されている。

2020年に発売されたツーソンLWBは、パンデミック後の供給回復に伴い、2022年の販売台数が前年比で62%増加するなど、人気が衰える気配はない。一方で、標準ホイールベースのツーソンは前年比31%減少し、2022年の販売台数ランキングで63位に位置している(前年は32位)。

23:フォード・エスケープ/クーガ – 34万3500台

米国ではエスケープ、欧州ではクーガとして知られるミドルサイズSUV。発売から数年経っていることを考えると、前年比で販売台数に大きな変化が見られなかったことは、ユーザーにとって魅力的なモデルであり続けている証だろう。

2022年の世界自動車販売台数が小幅に縮小する中、フォード・エスケープ/クーガは2021年の26位から2022年には23位へと順位を上げた。また、フォードにとってはF-150に次いで世界で2番目に売れているクルマでもある。

22:日産ローグ・スポーツ/キャシュカイ – 35万3800台

米国ではローグ・スポーツ、欧州ではキャシュカイとして販売されている日産のコンパクトSUV。長年にわたって好調な売れ行きを示しているが、2022年の販売台数は12%減の35万3800台となり、2021年の18位から22位に後退した。

それでも、英国では販売台数第1位を獲得する快挙を成し遂げるなど、欧州市場では根強い人気を誇る。米国では販売台数が前年比で34.7%減少したが、このローグ・スポーツの落ち込みを相殺したのは、キャシュカイの人気であった。

21:フォルクスワーゲン・ラヴィーダ – 36万1900台

フォルクスワーゲンの2022年の世界販売台数は7%減少し、中でも重要モデルのラヴィーダは16%減少した。ラヴィーダは、欧米や日本では販売されていないものの、フォルクスワーゲンブランドの単一モデルとしては最大の販売台数を誇る。中国では大ヒットしており、これまで同市場のベストセラー車だった。

2022年にマイナーチェンジが行われたが、中国での販売台数を増やすには不十分だったようだ。その結果、2021年の総合15位から2022年には21位へと順位を落としている。

20:マツダCX-5 – 36万3600台

マツダCX-5は、販売台数が前年比で4%減少したものの、ランキングとしては2021年の21位から2022年の20位へと順位を1つ上げた。大きくランクダウンした他車よりも、粘り強く踏みとどまった結果と言える。

マツダにとってのCX-5の重要性はいくら強調しても足りない。同社2位のCX-30の販売台数は17万4100台とCX-5の半分以下であり、2022年の販売台数ランキングでは102位に低迷している。

19:ヒョンデ・エラントラ – 37万1100台

現在7代目となるヒョンデ・エラントラは、一部の市場ではi30セダンやアバンテとしても知られており、2022年には同社のベストセラー車となった。販売台数が前年比で11%減少したにもかかわらず、である。

エラントラの販売台数の落ち込みは、ヒュンダイがこの初代エラントラを欧州市場で販売しないことに起因している。その代わりに、米国、中国、アジアでの好調な販売に頼っており、3市場すべてで現地生産されている。

18:シボレー・シルバラード1500 – 37万5800台

米国の主役級ピックアップトラックの1つであるシボレーシルバラード1500は、販売台数が前年比で14%減少した。シルバラードは、後述のダッジ・ラム1500とフォードF-150に次いで、ピックアップトラック分野で第3位につけていることになるが、これらのライバル車も販売台数を落としているということだ。

しかし、シボレーがフォードに大きく遅れをとっていることは、両者の販売台数の差から見ることができる。2022年、シルバラードの販売台数はF-150より14万9300台少なかった。シボレーは2021年のランキングが14位であったが、2022年は18位となっている理由もここにある。

17:ホンダ・シビック – 38万9500台

ホンダシビックとその分身であるインテグラは、2022年の世界販売台数ランキングで17位につけている。台数は前年比で18%も減少したため、順位も6つ下がっている。

ホンダは、上位20位内にシビック含めて4車種を擁しているため、この販売台数の落ち込みは他の自動車メーカーよりは気にならないだろう。ホンダのベストセラー車はCR-Vであり、2022年の販売台数で4位にランクインしている。

16:ラム1500 – 39万4200台

シボレーがシルバラード1500で順位を下げたのに対し、ラム1500は前年と変わらず16位をキープした。両者の販売台数の差は1万8400台となっている。

これは、ラムの親会社ステランティスにとって喜ばしいことではあるが、ラム1500の販売台数が前年比8%減を記録していることを考えると、浮かれてもいられないだろう。さらに懸念されるのは、メキシコ市場での人気によって全体的な販売台数が補強されているにもかかわらず、米国での販売が8%以上減少していることである。

15:トヨタ・ハイランダー/クルーガー – 40万5600台

2022年の世界販売台数トップ30中盤にランクインした多くの他車と同様、トヨタ・ハイランダーも前年比で販売が減少している。ハイランダーの場合は8%減となるが、それでも世界販売台数は40万5600台を記録した。

米国や欧州ではハイランダー、オーストラリアなどではクルーガーとして販売される大型SUVで、この販売台数の減少により、前年13位から今年は15位に後退した。しかし、トヨタ全体ではハイランダーより上位に5車種ランクインしていることから、今回の後退については比較的落ち着いていることだろう。2023年2月には、ハイランダーのさらに大型バージョンであるグランドハイランダーが発表され、その主要市場に米国を見据えている。

14:武陵宏光ミニEV – 44万3400台

中国価格が約3万元(約60万円)台という安さを考えると、五菱汽車(ウーリン)の宏光ミニEVが販売台数チャートの上位にランクインしていても不思議ではない。混雑した都市部に最適な小柄なボディに、最大270kmの航続距離を誇る。

パンデミック後に生産がフル稼働に戻ると、供給が需要に追いつき、2021年の20位から2022年には14位に上昇。販売台数は前年比14%増となった。また、トップ30にランクインした5車種のEVのうちの1つでもある。

13:BYDソン・プラス – 46万4700台

BYDは、母国である中国で新車販売に余念がない。2020年、ガソリン車とEVを揃えたコンパクトクロスオーバー、ソン・プラス(宋Plus)が登場した。兄弟車のソン・プロ(宋Pro)よりも一回り大きく、より高級なモデルとして真正面から狙いを定めている。

EVモデルの登場により、ソン・プラスは2021年の130位から2022年には13位へと急上昇した。EVは現在、販売の大部分を占めており、前年比210%増というセンセーショナルな伸びを記録した。

12:ホンダ HR-V/ヴェゼル – 47万600台

2022年の世界販売トップ30に入った4車種のホンダ車のうちの1つがHR-Vだ。12位より下位にランクインしなかったのは幸運だったといえるだろう。販売台数が前年比30%減というのは、特にHR-Vのような人気車種にとっては大きな打撃だ。

一部の市場ではXR-Vやヴェゼルとしても知られ、ブラジル、パキスタン、オーストラリア、中国など非常に多くの国に販売を広げている。そのため、これ以上の成績悪化はなんとか避けられそうだ。

11:ホンダ・アコード – 47万9300台

ホンダは、アコード(一部の市場ではインスパイアと呼ばれる)が世界販売トップ10から脱落したことに、軽い失望を覚えるだろう。前年10位から2022年には11位とわずか1つ順位を落としたが、販売台数は維持している。

ホンダはアコードの地位の維持、あるいは向上を期待していたかもしれない。しかし、アコードやHR-Vを抑えて、他車が大幅な販売増によりトップ10にランクインした。それでも、2023年には11代目となる新型アコードが発売されたことから、再浮上が期待される。

10:テスラ・モデル3 – 48万2200台

欧米諸国や中国でのEV人気により、テスラモデル3の販売は好調を維持している。2022年の販売台数は前年比で3%減少し、若干のスローダウンが見られたが、それでもモデル3は世界全体で48万2200台という目覚ましい販売台数を記録した。

前年9位から順位を1つ下げたものの、モデル3を含め、テスラは2車種を2022年の販売台数トップ10に食い込ませている。

9:フォードF-150 – 52万5100台

F-150は、フォードのピックアップトラック「Fシリーズ」の中で断トツの人気を誇る。2022年に販売されたFシリーズ全モデル65万3957台のうち、F-150単体の販売台数は52万5100台だった。2つの主要ライバル、シボレー・シルバラード1500とダッジ・ラム1500を大きく引き離している。

フォードは2022年の早い時期にEVモデルのF-150ライトニングを導入し、需要が供給を上回ったことでさらに魅力を高めた。しかし、それでも前年8位から9位に後退するのを防ぐことはできなかった。

8:トヨタ・カローラ・クロス – 53万300台

2021年から2022年にかけての販売台数で、トヨタ・カローラクロス(フロントランダーとも呼ばれる)ほど驚異的な躍進はないだろう。2021年には115位だったが、2022年には8位にジャンプした。2020年に発売されたカローラクロスは、パンデミックによる供給不足に悩まされたが、2022年にようやく本格的に始動した。

供給の事情があるとはいえ、販売台数が前年比で221%増加したことは、トヨタにとって喜ばしいことであろう。この増加率は、2022年の世界販売台数ランキング上位50車種の中で最大である。

7:日産セントラ/シルフィ – 56万6500台

日産セントラとその双子のシルフィは、好調を維持しているランキング上位に立っている。前年4位から7位に後退し、販売台数は18%の落ち込みを見せたが、それでも56万6500台を販売した。

8代目となるセントラ/シルフィは、中国、メキシコ、台湾で生産されており、主要市場の中心に据えられている。

6:トヨタ・ハイラックス – 63万2500台

タフな4WDが必要な国なら、トヨタ・ハイラックスが人気車種になることは間違いない。オーストラリアからレバノンに至るまで、ハイラックスは世界中の多くの地域で常にベストセラーを飾っている。

このような堅固な評価をもってしても、トヨタは販売台数が前年比で13%増加したことを知って浮き足立つだろう。これにより、ハイラックスは前年の7位から2022年には6位へと順位を1つ上げ、世界で最も人気のあるピックアップトラックとなった。

5:トヨタ・カムリ – 67万3300台

カムリは、ハイラックスやRAV4のように見出しを飾ることは少ないかもしれないが、トヨタの巨大な世界販売の要である。むしろカムリは、多くのドライバーに快適で信頼性の高い移動手段であり続け、米国では完璧な所有体験の代名詞となっている。

米国をはじめとする各市場でカムリが選ばれるのはそのためであり、フォードやGMのようなライバルがセダン分野から完全に撤退しつつある中、カムリは2022年に67万3300台を販売した。しかし、前年比1%減とわずかな後退を見せ、オーストラリアのベストセラー・セダンの地位をテスラ・モデル3に譲ってしまった。

4:ホンダ CR-V – 73万3300台

ホンダCR-V(中国ではブリーズとして販売)は、販売台数が前年比で18%減少した。米国だけでも、2021年から2022年にかけて12万3000台以上も販売を減らしている。

米国での大幅な販売減は、全体の販売減のほぼ17%を占めている。ホンダにとっては、少なくとも世界中で販売減に陥っていないことが、いくばくかの冷ややかな慰めになるだろう。この落ち込みは、ガソリン車の代わりにEVに目を向ける米国人購入者が増えているため、テスラ・モデルYの販売台数が大幅に増加したこととも大いに関係がある。

3:テスラ・モデルY – 74万7500台

2021年に19位だったテスラ・モデルYが、2022年に3位となったことは大きな成果である。販売台数が前年比91%増を記録したこのサクセスストーリーには、EVに対する需要の高まりが大きく影響している。

もう1つの要因は、クロスオーバー/SUVに対する世界的な人気の高まりであり、モデルYが現在の需要に適したクルマであることは確かだ。そのため、テスラは多くの欧州諸国で販売台数ランキングのトップに君臨している。

2:トヨタ・カローラ – 99万1600台

世界最大の累計販売台数を誇るトヨタ・カローラは、例年と同じように人気を維持したものの、2年連続でRAV4に首位の座を譲った。それでも、100万台近い販売台数はすべての主要競合車種を引き離しており、多くの国でベストセラー車となっている。

しかし、それ以上に重要なのは、カローラと兄弟車レビンの販売台数が前年比で10%減少していることに対し、どのように対処するかだ。テスラ・モデルYが急速かつ力強く台頭しているため、トヨタは今後数年間でトップ2の座を失う危険性もある。

1:トヨタRAV4 – 101万5700台

トヨタRAV4は2年連続で世界のベストセラー車となり、2022年で生産台数100万台を突破した唯一のクルマである。市場の多くでミドルサイズSUVへの需要が続いていることも手伝って、これは非常に素晴らしい偉業である。

しかし、RAV4とその兄弟車であるワイルドランダーの販売台数が前年比で10%減少していることは見逃せない。EVのテスラ・モデルYが販売台数を大きく伸ばし、3位にランクインしたことで、この懸念はさらに鮮明なものになるだろう。それでも、RAV4が2022年も米国をはじめとする複数の主要市場でリーダーであり続けたという事実には安心感を覚える。

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