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ソ連侵攻で家族・故郷奪われた南樺太元住民、ウクライナ侵略に「まるで自分のようだ」

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引き揚げ船に

家族3人を亡くした思いを語る山崎さん(北海道苫小牧市で)
家族3人を亡くした思いを語る山崎さん(北海道苫小牧市で)

 北海道苫小牧市の山崎 重悦しげえつ さん(86)は終戦から1週間後、母親のキヨさん(当時31歳)、兄の 勝治しょうじ さん(同11歳)、弟の 勝美かつみ さん(同6歳)の3人を一度に亡くした。

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 樺太からの引き揚げ船3隻が日本海でソ連潜水艦に攻撃され、計約1700人が犠牲になった「三船殉難事件」。3人はそのうちの1隻に乗っていて、山崎さんは「悲しみは言葉で言い表せない」と声を震わせる。

 樺太・ 敷香しすか (現ポロナイスク)で生まれ、両親と兄弟の5人で暮らしていた。ソ連軍の進軍前に本土に脱出しようと、まず3人が乗船。山崎さんは、父・久松さんや叔母とともに後の便で引き揚げる予定で、叔母宅で待機している時に悲報を聞いた。

 戦後2年間を樺太で過ごし、苫小牧に引き揚げた直後、3人が亡くなった海を見渡せる北海道内の港に父子2人で出向いた。久松さんは酒を飲む度に「3人のあとを追うことも考えたが、重悦1人を残すわけにはいかなかった」と話していたという。

 ロシアのウクライナ侵略に、78年前のつらい記憶がよみがえるという山崎さん。「住民の命が犠牲になり、家族を亡くす悲しみが生まれている。戦争はすぐにやめるべきだ」

残留邦人帰国に影響…露侵略

 ロシアによるウクライナ侵略は、サハリン残留邦人らの一時帰国にも影響が及んでいる。直行便が休止するなどして、国による一時帰国事業への参加者は3分の1以下に激減した。

 国の委託を受けて一時帰国事業を行う「日本サハリン協会」(東京)によると、コロナ禍後に国際線の運航が再開されても、日本とサハリンを最短で約1時間半で結んでいた定期便は休止したままだ。一時帰国するには、中東などの第三国を経由する必要があり、2~3日かかるという。

 渡航費や滞在費などがかさみ、コロナ禍前まで年間60人程度だった一時帰国者は2021年度と22年度に4人ずつで、今年度も約20人にとどまる見通しだ。

 同協会の斎藤弘美会長は「高齢で病気を抱える人も多く、来られる人は限られる」とした上で、「故郷が再び遠のいた状況で、親子がなかなか会えず、新たな離散家族が生まれている。政府には予算面でのさらなる支援をお願いしたい」と話す。

  ◆南樺太 =日露戦争後に日本領となり、1940年代には約40万人が暮らした。ソ連の侵攻で、民間人約4000人、軍人約1000人の計約5000人が犠牲になったとされる。

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