渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ゼファーχ

2023年08月14日 | open





大型二輪免許持ってても400
を選ぶ。
それ大アリ。
私なんぞも旧F3クラスが好き
だから限定解除免許でも2スト
250と4スト400に乗ってる。
4スト空冷4発所有は高校の時の
ヨンフォア以来だが、ゼファーχ
(カイ)に乗ってみて、出来の良さ
に驚いた。オートバイには免許
を取った1976年から乗っている。
カワサキのゼファーχは、一つの
4スト400空冷4気筒ネイキッド
の完成形のように思える。
私の個体は吸排気とサスはいじっ
てるが、60PSやや下回り程度の
出力でも、公道では充分なパワー
だ。
そして、全シフトを使い切る事
ができるのが魅力だ。
これが2スト250だと市街地では
3速までがやっと。大型でも逆に
トルクフルとハイパワーゆえ2速
3速まで、となる。
峠では2st250はレッド下まで使
って4速入るかどうかだが、大型
だと同じ峠で2速固定だ。
ゼファーのような4st400のネイ
キッドは、さほどはっちきゃきに
ならず、ゆっくりクルージングも
存分に楽しめる。
ゼファーに乗った時、かみさんに
言った。
「6速3000rpmでも走れるよ」
と。驚いたように。
すると、かみさんもぶったまげ
てた。常にレッド付近まで回し
てガスを焼き切る2stの走りが
当たり前と思っていた夫婦だっ
たからだ。かみさんも、フロント
ブレーキかけながらきちんと
ブリッピングする走行をする人
間だったし、エンジンは回すも
の、という人だった。排気口は
グズグズにデロンと湿っている
事は二人とも一切無かった。

ゼファーχに乗って驚いた。
当たり前だが、2スト二輪とは
全く別物。
例えるならば、江戸前寿司と回
転寿司以上に違う。それはもう
レモンとおにぎり位違う。
4stはとても楽。
これでは、2stマシンが消滅し
たからではなくて、こういう
楽な車だらけになったら、2st
のような繊細な操作を求められ
る車両など誰も乗れなくなる
筈だ、と思った。
ネットで有名な2st乗りも、レー
サー2st125のようなアクセレー
ションが求められるマシンに乗っ
たのを見た時、全くスロットル
操作ができていなかった。
私は根っからの2st育ちだし、超
繊細な操縦が前提のレーサーに
も乗っていたので、アクセレー
ションはごく普通に当たり前の事
としてできる。スロットル1/120
回度を任意に制御するように。

でも、本来、オートバイはそれ
なんだよね。
ピアノやバイオリンやギターを
繊細な表現で弾くように、極め
きめ細かい操作を乗り手がし
あげる乗り物。
ところが、現代は、どんどん
オートマ化される車作りの方向
性になってきている。
二輪のABSなんてのはブレーキ
を使えない人が増えすぎて前輪
ロック転倒が大量発生なので
導入だからね。あんな危険な
制動装置を。制動力をポンピン
で解除するのだから危険極ま
ない。制動を抜くのだから。
ABSは4輪用だ。
そのうち二輪車には補助輪義務
とか出てきそうな方向性が今の
新車の二輪作りと認可の方向性。
はっきり言うと、どんどん車は
悪くなってきている。人の能力
の加速度的低下と連動して。

ゼファーχあたりまでの二輪の
車に乗ってみるとよく分かる。
良い車とは何かを。
そして、最新型が何から何まで
良いというのは、それは虚構だ
という事も。

今世紀初頭の2010年頃までは
日本車は最高の作りの方向性
だった。
しかし、その後、大きく変わっ
た。車作りで人間不在と人間疎
外が当たり前のようになったか
らだ。
そして、開発者でも、車作りで
正しい道筋を示している人は排
除して「はやりもの」の指向性
を第一義に企業は為す。
下手したら、社内で正しい車
りを主張する人は左遷や閑職
追いやるか退職させる。
そんな企業しかいなくなったの
だから、良い車ができる道理
がない。

今の最新型車両群が「良い物」
と思っている人たちは、真の
意味で車の良否の判断力は有
していない。これは断言できる。
二輪界はネットも雑誌も専門誌
も腑抜けの御用ライターばかり
で、ヨイショ記事しか書かない。
そして、出る新車、出るモデル、
全てを毎度金太郎飴で褒め称え
てヨイショする売文屋たちの言
を鵜呑みにしているのが「大衆」
だ。
そして、物事の真価を分かって
いないのにそれが「ユーザーの
声」とされる。
尚更、良い車など作れっこない
悪循環となっている。

温故知新。
なぜ、80年代90年代2000年代
は良い二輪車を日本人は作れた
のか。
本気で作り手の側が自己総括し
ないと、日本の二輪車は破滅す
るだろう。


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