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前件が偽なら条件文は真 ~やぶられた約束が見当たらない~

先日、某SNSを見ていたら、こんな投稿を見かけた。

まず、「約束やぶられた(1/2)」という文字列とともに、漫画と思われる画像が投稿されている。
続いて、「(2/2)」という文字列とともに、最初の投稿の漫画の続きの漫画と思われる画像が投稿されている。

これを、私は、これらの画像は2枚からなる漫画であり、タイトルは「約束やぶられた」であると解釈した。

また、漫画の内容は、「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」と言っていた女がとっととオレと結婚した、と主張しており、2枚目では結婚後の生活の様子と思われるシーンが描写されている。

自分の最初の解釈

自分は、これを最初に見たとき、

  • 「30まで」とは「30歳になるまで」のことである

  • 描かれている以下の主張は本当である

    • (「この女」は)「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」とか言ってた

    • (「この女」は) とっとと結婚しやがった-オレと

  • 「とっとと」とは、「30歳になる前に」ということである

  • 「オレ」とは、「とっとと結婚しやがった」と主張している人のことである

  • 「お互い」とは、「『この女』と『オレ』の両方が」という意味である

  • 「独り身」とは、「結婚していない」ということである

  • 「結婚」は、2人の自然人が行政機関を巻き込む手続きをして行うものであり、2人の性別が異なっていないとできないとは限らない (舞台は日本とは限らない)

  • 背景が赤い吹き出しに書かれているのは、全て「この女」が口に出しているセリフである

  • 背景が青い四角い吹き出しに書かれているのは、全て「オレ」が思っていることである

  • 背景が青い丸い吹き出しに書かれているのは、全て「オレ」が口に出しているセリフである

  • 描かれている顔は、全て「この女」である

と解釈した。
しかし、この解釈だと、「この女」は「30まで独り身」という条件を満たすことなく「オレ」と結婚しているので、離婚や死別などをしない限り「お互い30まで独り身だったら結婚する」という条件を満たすことになる。
「お互い」を「この女」と「オレ」の両方 (AND)、と解釈したので、「この女」が結婚した時点で「お互い独り身」という条件は偽になり、「お互い30まで独り身だったら結婚する」という条件を満たすための結婚はしなくてよいことになる。
さらに、自分には、この漫画から「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」以外の「約束」といえそうな部分は発見できなかった。
よって、この漫画には、タイトルと解釈した文字列「約束やぶられた」に反して、約束がやぶられる描写はない、ということになる。

というわけで、別の解釈を考えてみよう。

別の解釈

たとえば、「自分の最初の解釈」に対し、以下の変更をすることが考えられる。

  • 「30まで」は、「30歳になるまで」のことではない

    • 「(次の) 30日まで」の可能性

    • 「レーティングなど何らかの評価が『30』以上になるまで」の可能性

  • 描かれている主張が本当ではない

    • 主張をしている人の妄想や夢などである

    • 主張をしている人が何者かに見せられている幻である

    • 主張をしている人の勘違いである

  • 「とっとと」は、「『30まで』という条件を満たす前に」ということではない

    • 「『30まで』という条件を満たした後すぐに」の可能性

  • 「オレ」は、「とっとと結婚しやがった」と主張している人のことではない
    魔法少女オレの可能性

  • 色が同じ吹き出しであっても、違う人に対応しているかもしれない

これらを用いると、たとえば以下の解釈ができる。

約束をやぶられたショックで見ている夢

描かれている「この女」が「とっとと結婚しやがった」という主張は本当ではない。
「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」という約束を「この女」がやぶり、「30まで独り身」という条件を「お互い」満たしたにもかかわらず結婚しない。
これにショックを受けた「オレ」は、期待通りに「この女」が結婚した世界線を夢で見るようになる。

ただし、この解釈では、期待通りのはずなのに「とか言ってた『のに』」という表現になっているのは不自然であると考えられる。

主張をしている人と「オレ」は別人

「オレ」とは自分のことを指す言葉ではなく、(魔法少女オレなどの) 固有名詞である。
2枚目の画像は、(「とっとと結婚しやがった」と主張している人とは別の)「オレ」と「この女」との結婚生活を主張している人が見せつけられている、もしくは想像している場面である。

ただし、「とっとと」というのが「お互い30」という条件を満たす前であることを表す場合、「この女」は「30」という条件を満たす前に結婚することになるので、離婚や死別などをしなければ「30まで独り身」という条件を満たさないことになり、「お互い30まで独り身だったら結婚する」という条件は満たすことになる。

「とっとと」というのが「お互い30まで独り身」という条件を満たした後すみやかに、ということを表す場合、「お互い30まで独り身だったら結婚する」という条件を満たすためには結婚する必要が生じている。
しかし、よく見ると「結婚しようぜ」としか言われておらず、結婚の相手は指定されていない。
したがって、相手が主張をしている人ではない「オレ」であったとしても、結婚はしているので条件を満たすことになる。
むしろ、「お互い30まで独り身」という条件を満たしたと仮定しているので、むしろ主張している人が速やかに結婚しないと「約束やぶられた」と低評価を受ける可能性がある。
また、この場合も「この女」は「とっとと結婚する」という宣言に沿った行動をしているにもかかわらず、「とか言ってた『のに』」という主張をされるのは不自然であると考えられる。

やぶられた約束は結婚することではない

「約束やぶられた」としか書かれておらず、やぶられた約束が「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」であるとは限らない。
この漫画で直接描写されている約束が「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」だけであったとしても、登場人物たちがこれ以外の約束をしていないとはいえない。
たとえば、「ごはんつぶを取ることを要求しない」という約束をやぶったのかもしれないし、「指示 (ここでは「取って~」)をされたときに余計なこと (ここでは「もう甘えんぼさん♡」) を言わない」という約束をやぶったのかもしれない。

「30」(「30歳」とは限らない) という条件を満たす難易度はわからないが、たとえばこれがかなり難しいものであり、「お互い30まで独り身」という条件を満たす可能性が低い場合、「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」というセリフから「結婚なんかする気は無い」ということが推測できる。
このような推測をしていた場合、「この女」が結婚するというのは推測に反する行動であり、この以外性から「とか言ってた『のに』」という表現が出てくる可能性は考えられる。
よって、この解釈であれば、「とか言ってた『のに』」という表現の説明もつく。

条件を宣言した人と、結婚した「この女」は別人である

「オレ」が思いを寄せている人の「お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ」というセリフを聞いた「オレ」は、明示はされていないものの、「お互い30まで独り身」という条件を満たせば思いを寄せてくれる人が自分と結婚してくれるかもしれないと思い、期待していた。
しかし、「オレ」にとってどうでもいい、もしくは嫌いな別の「この女」が、「お互い30まで独り身」という条件を満たす前に「オレ」と結婚してしまった。
そのため、「お互い30まで独り身」という条件を満たすことは離婚や死別などをしない限りできなくなってしまい、「お互い30まで独り身だったら結婚する」という条件によって思いを寄せている人が「オレ」と結婚してくれる可能性は低くなってしまった。

とはいえ、これは単に「結婚しようぜ」が発動する条件を満たす可能性が低くなっただけであり、「お互い30まで独り身だったら結婚する」という条件に違反したわけではない。
約束をやぶったのは「この女」であり、やぶった約束は「勝手に婚姻届を作成して役所に提出しない」かもしれない。

投稿者のミス

そもそも「約束やぶられた」という文字列とともにこの漫画を投稿したのはミスであり、本来は約束をやぶる描写がある別の漫画を投稿するべきだった。

この場合、外野がいくら適当な考察をしたところで、無駄かもしれない。

結論

今回自分が思いついた中では、「思いを寄せている人から『お互い30まで独り身だったら結婚しようぜ』というセリフを聞いた『オレ』は、これを利用して思いを寄せている人と結婚できる可能性を上げるため、他の結婚相手の候補と『自分とは結婚しない』という約束をした。しかし、その中の一人が約束をやぶって『オレ』と結婚してしまったため、『オレ』が思いを寄せている人と結婚できる可能性が低くなってしまった。」という解釈が、一番自然に思えた。

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