山口真由「私はエリート中のエリートです」から転落。誰にも言えなかった極貧生活「賞味期限切れの牛乳を、期限前の牛乳と混ぜて飲んでいた」
現在情報番組のコメンテーターとしても活躍する山口真由さん。東大卒で財務省勤務後、弁護士に転身など、華々しい経歴が印象的な彼女だが、その“キラキラ”な経歴に隠されていた挫折や失敗談が多々あるという…意外なこれまでの人生を本人に訊いた。(前後編の前編)
山口真由のどん底履歴〈前編〉
「カップラーメンを買えないほどの極貧時代がありました」
――”言えない”といえば、弁護士事務所を退職後に、ハーバード大学へ留学して帰国したけれど、仕事はなく、カップラーメンをケチるほどの極貧生活を送ったそうですね。当時の様子だとここでもSOSは出せなかった……?
もちろんです……。親にもちゃんと育ててもらって、期待もされていたのに、落伍者になったなんて……家族を頼ることもできませんでした。
月収が8万円ほどまでに落ち込んでしまって、貯金を崩しながら、家賃もギリギリ状態で。生きれば生きるほど赤字になっていく生活は惨めでしたねえ。このまま沈んで、浮き上がることはできないと思うほど、追い詰められていました。
今なら、自分のことを「ケチだ」と言えますけど、それは生活が安定してきたから言えることなんですよ。当時、超貧乏なのに、誘われて飲みにいったら会計は割り勘で「ハイ、2万円ねー」とか言われてしまうと……(倒れるポーズ)。みんな、私がコンビニに行って、カップラーメンを買う人たちを見て「ああ、いいな〜」とうらやましがっていることなんて知らないですからね。
――山口さんが初めて知る、目標が持てない時期だったわけですね。
人は余裕がないと長期的なことが考えられないのだと知りました。当時、目先のお金のことだけ考えて「ひょっとしたら本の印税が入ってくるかもしれない」と、通帳をチェックしてみたり。
賞味期限にもバカになっていて(笑)、2週間賞味期限が過ぎた牛乳を見て「今、飲める牛乳と混ぜたら、賞味期限、1週間になるじゃん!」という、よく分からないルールで飲んでいたこともあります(爆笑)。もうそういうレベルだったんですよ。
――読者へのアドバイスとしても答えてほしいのですが、人生において山口さんが以前持っていたような“プライド”は必要でしょうか?
“プライド”と呼ぶものは、苦しい時期にしか生まれないんですよ。だから「あ〜、あの人プライドが高いなあ」と思ったら、その人をケアしてあげた方がいいかもしれません。「一緒にランチでも行かない?」とか。私も今だからこそ、苦しかった時代を開示できますけど、あのままだったらできずに終わっていたのかもしれませんから。
後編につづく
取材・文/小林久乃 撮影/惠原祐二
『挫折からのキャリア論』(日経BP)
山口真由
2023年5月25日
1,870円
180ページ
978-4296202058
キラキラに見える人生は、実際は泥沼だった。
何度でも失敗からはい上がる
折れないキャリアのつくりかた
この本では、私の失敗談を「これでもか!」というほど紹介します。
私たちがもっとお互いの弱さを開示して、手を取り合っていくことで、
職場でもっと違う振る舞い方ができるようになるのではないかと思うからです。
「仕事ができなかったんです、私」――。「東大を全優で卒業」「財務省に入省」「米ハーバード・ロースクール卒業後、NY州弁護士登録」といったキラキラな印象のある著者ですが、実は人知れぬ悩みを山ほど抱えていました。時間がかかった「自分探し」の末に見つけた「キャリアの軸」とは? 悔しい挫折や失敗を乗り越えて、前に進むエネルギーに変える「飴玉メソッド」も詳しく紹介します。
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