古代オリエントとは?【アッシリア・4王国・アケメネス朝ペルシアを解説】

先史とオリエントの歴史

オリエント」とは、エジプト・シリア・アラビア半島・イランあたりの広い地域をさします。

紀元前7世紀にアッシリアがほかの国々をたおし、初めてオリエント全体を支配しました。

ちなみに、ここまでのオリエントの歴史をざっくりおさらいすると

  • メソポタミアを、シュメール人→アッカド人→アムル人(バビロン第一王朝)が支配した。
  • エジプト古王国→中王国→新王国が支配した。
  • メソポタミアは、バビロン第一王朝が滅びた後、カッシート、ミタンニ、アッシリアなどがバラバラに支配していた。
  • シリアでは、アラム人フェニキア人が貿易で活躍し、ユダヤ人はユダヤ教をつくった。

などです。

それでは、これ以降のオリエントの歴史について説明していきます。

オリエントを初めて統一したアッシリア

アッシリアという国が、紀元前7世紀にオリエント地域全体を初めて統一しました。都はニネヴェです。

もともとメソポタミアの北部にあった国で、イスラエル王国を征服しました。さらにエジプト、シリアも支配しました。

アッシュール=バニパル王の時代には、アッシリア最大領土になりました。また、都ニネヴェ世界初の図書館が作られました。図書館あとからは、楔形文字がきざまれた粘土板がたくさん見つかりました。

図書館

しかしアッシリアは100年足らずで崩壊し、

  • イラン地方にあるメディア
  • 小アジア(アナトリア)にあるリディア
  • メソポタミアにある新バビロニア(カルデア)
  • エジプト

の4つの国に分かれました。

メディア・リディア・新バビロニア・エジプト

リディア王国で使われていた「エレクトロン貨」

小アジア(アナトリア)にあるリディアは、最古の金属貨幣をつくったことで有名です。

新バビロニアは、バビロン捕囚をおこないました。

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メディア・リディア・新バビロニア・エジプトの4つの国は、みんなアケメネス朝ペルシアに滅ぼされました。

イラン地方にあったメディアの都はエクバタナ(エクバターナ)といいます。

アニメや漫画にもなっている小説「アルスラーン戦記」の主人公アルスラーンの国の都も同じく「エクバターナ」といいます。中世ペルシア(イラン)をモデルにした国なので、都にこの名前がついているそうです。

アケメネス朝ペルシアのオリエント再統一

4つの国を滅ぼしてオリエントを再び統一したのが、イランのアケメネス朝ペルシアです。

建国したのはキュロス2世、都はイラン西南部のスサです。

ダレイオス1世

アケメネス朝ペルシアの全盛期の王をダレイオス1世といいます。

ダレイオス1世は

  • 新しい都、ペルセポリスをつくりました。
  • 知事(サトラップ)という役職をつくり、地方の行政をまかせました。
  • サトラップを監視して王に報告する「王の目」「王の耳」という役職をつくりました。
  • 駅伝制を実施して、都のスサから小アジアのサルデスをつなぐ「王の道」という主要道路をつくりました。
  • ダレイオス1世の時代にはじまったペルシア戦争で、アテネを中心としたギリシアのポリスと50年戦いましたが、勝てませんでした。

駅伝制とは、主要道路と、道路の各所に替えの馬や食料などを用意した「駅」をつくり、手紙や荷物がスムーズに運べるようにしたしくみです。

アケメネス朝ペルシアはマケドニアのアレクサンドロス大王によって前330年に滅びました。

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ゾロアスター教

アケメネス朝ではゾロアスター教が保護されました。

ゾロアスター教については

  • 火をあがめる宗教で、拝火教ともいいます。
  • 創始者はゾロアスターで、経典は『アヴェスター
  • のちのササン朝ペルシアでは国教になりました。
  • 中国に伝わり、では祆教(けんきょう)や拝火教と言われました。

ゾロアスター教では、「この世では善神アフラ=マズダと悪神アーリマンが戦い続けている。だけど最終的には最後の審判というのがあってアフラ=マズダが勝ち、アフラ=マズダを信じていた人だけが救われる」と信じられています。

ユダヤ教でも「信者だけが救われる」と説かれていますが、時代的にはゾロアスター教のほうが先です。ゾロアスター教の考えが、ユダヤ教や、ユダヤ教から分かれたキリスト教に影響を与えたとみられています。

自動車メーカーのマツダの社名は、創業者の苗字の「松田」と「アフラ=マズダ」が由来になっています。

おわりに

オリエントという広い範囲を、アッシリアが初めて統一しました。

その後メディア・リディア・新バビロニア・エジプトの4つに分裂しましたが、アケメネス朝ペルシアが再び統一しました。

アレクサンドロス大王によってアケメネス朝ペルシアが滅びた後は、アレクサンドロス大王の部下がバラバラに国をつくりました。大半はのちにローマの領土になりますが、イラン方面はパルティア、のちにササン朝ペルシアが支配しました。

次回はパルティアとササン朝ペルシアの話がメインです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

▼この記事のつづきはこちら▼

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