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骨伝導じゃない「軟骨伝導」 耳をふさがないイヤフォンの新顔は、“寝ホン”にもピッタリだった

ITmedia NEWS / 2023年8月11日 14時41分

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7月から一般販売された「Otocarti LITE」

 いわゆる「耳を塞がない系」のイヤホン・ヘッドホンが幅広い層に注目され始めたのは、コロナ禍が始まった2020年の夏以降ではなかったかと思う。それ以前も耳を塞がないイヤホンは存在したが、路上でのランニングなどの際に周囲の安全が確認できるといったメリットから、主にスポーツ向け商品として販売されていた。

 だがリモートワーク時に一般のイヤホン・ヘッドホンで音楽を聴いたり、長時間のリモート会議で耳が塞がっていると、宅配便が来てもわからない、子供が何かしでかしても気がつかないといったデメリットが顕在化した。またあまりにも長時間カナル型イヤホンを使用したため、外耳道が炎症をおこすといったトラブルも聞かれるようになっていった。こうしたことから、耳の穴を塞がずに聞けるという商品がにわかに脚光を浴びる結果となった。

 当時はまだ不要不急の外出の自粛が求められていた時期で、積極的に外で聞こうという需要はない。コロナ禍をきっかけにして耳を塞がない系は、「フィールドで便利」から「主に室内使用」へと反転したわけである。

 こうして市場が拡がった結果、各メーカーから様々なアプローチが取られるようになった。市場で最もインパクトを与えたのは「骨伝導」だが、振動子を使ってちゃんとした音を聴かせるのはなかなか難しい。この技術では米ベンチャーの「Shokz」が先行した。

 一方で耳のそばでスピーカーを鳴らし、音導管を使って耳穴近くまで届けるというアプローチは、従来のオーディオメーカーでも可能なため、ベンチャーはもちろん日本のオーディオメーカーも参入した。ユニークなアプローチとしては、耳にはめ込むインイヤー型だが真ん中に穴を開けた、ソニーの「LinkBuds」があった。

 従来製品は骨伝導かダイナミックドライバの2択だったが、昨年10月にオーディオテクニカが「軟骨伝導」という新方式を取り入れた「ATH-CC500BT」を発売、第3のアプローチがあることを広く知らしめることとなった。

●500年ぶりの大発見、軟骨伝導

 骨伝導と軟骨伝導は、名前は似ているがかなり違った技術である。骨伝導は頭蓋骨を振動させることで、鼓膜を使わず、音を感じる蝸牛に直接伝えている。今からおよそ500年以前に発見された、鼓膜で空気振動を聞く以外の音の聞き方である。このため、振動子を頭蓋骨に押し当てる必要がある。多くはアームバンドによって耳の前方に固定するので、頭を締め付けられる感じを嫌う人もいる。

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