「人気の官公庁関係のお仕事◎」というバイト求人も…「マイナカード」へのぬぐい難い“不信感”
文春オンライン / 2023年8月11日 6時0分
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〈 別人口座への誤入金も…トラブル続出のマイナンバー「総点検は無理」自治体の“悲痛な叫び” 〉から続く
マイナンバーカードの相次ぐトラブルに、岸田首相は6月21日、総理官邸で総点検本部を立ち上げ、徹底的にミスをなくすと表明しました。
マイナ保険証に別人の情報が登録されていた件が令和3年10月から令和4年11月末までに7312件。地方職員共済組合で、別人の年金情報が紐づいていた件が1件、障害者手帳で別人の情報が紐づいていた件が、静岡県が公表しただけでも62件とあまりに多いので、全てのデータについて、秋までに総点検を行い、国民の信頼を回復するとしています。
世田谷区長は「無理」と断言
ただ、すでに申請されているマイナンバーカードは、7月2日時点でデジタル庁の公表では9737万3895枚(1月4日時点で総務省の公表では約8300万枚)。マイナポータルで閲覧できる医療や年金、所得などに関する計29項目の総点検をするのですが、仮に1万人の公務員が点検にあたるとしても、1人約1万枚のカードを、それも29項目も点検することになる。
これに対して、マイナンバーカードの発行枚数50万枚の世田谷区の保坂展人区長は、はっきり「無理だ」と言い切っています。
「コロナで人が足りない中でマイナンバーカードの申請が殺到し、それに対応するだけでも大変な思いをしたのに、さらにここにきて50万人分のカードを29項目も点検しろという。政府は、お金も人も出してくれないわけですから、他の業務でパンパンになっているところに、さらに仕事を増やすなんて不可能です」
ただ、保坂区長のようにはっきりと「無理だ」と言う自治体の組長は少なく、ほとんどの自治体では、所轄官庁である総務省の顔色を見ながら、「無理でもそれなりに取り組んでいる姿勢は見せないと」ということになっているようです。
そこで何が起きているのかといえば、バイト頼みの「総点検」です。
「マイナンバーカードの申込確認」のバイト募集
求人情報を見ると、マイナンバーカード関連のバイト募集が、山のように出ています。市区町村が直接バイトを募集しているだけでなく、人材派遣会社の大手から中小まで、こぞって募集しています。
「マイナンバーカードの申込確認」の相場は、時給1500円前後。「未経験者歓迎で写真も履歴書も必要ない楽な仕事、働き方は自由自在。しかも面接はウェブでもOK」。これなら、コンビニのレジよりいいと応募する人は多いことでしょう。
しかも、中には「在宅勤務が可能なお仕事もあり」???
まさか、マイナンバーカード申込確認を、個人情報の漏洩の可能性が高い自宅でできるというのでしょうか。
「簡単」を連発する人材派遣会社
懸念を抱き、募集している人材派遣会社にバイトを探しているふりをして電話してみると、「まあ、そういうのはバイトをする先の規定に従ってもらうことになるので確約はできませんが」(あたりまえでしょう!)といいながら、「とにかく、簡単で初心者でも大丈夫。時給もいいし、官公庁の仕事なので確実で簡単ですからぜひ検討してください」とのことでした。
個人情報の扱いというのは、もっと厳重な管理のもとで行う大変な仕事だと思っていたので、「簡単」を連発されても、背筋が寒くなるだけです。
2022年6月、兵庫県尼崎市の約46万人ぶんの個人情報が入ったUSBメモリーを委託業者が無断で持ち出して紛失したという事件があり、大騒ぎになりました。紛失したのは、再々委託先の社員で、多重下請け構造が問題になったばかりです。
当の自治体が知らなかった「総点検の前倒し」
政府が指示した「総点検」については、まだ準備さえできていないという自治体が多いのですが、なんと、8月末としていた中間報告が、8月上旬に前倒しになりました。しかも、前倒しが指示された6月30日に、前述の世田谷区長はまだ何の指示も受けておらず、テレビで知ったとのことでした。
マイナンバーカードでは、コンビニ証明書交付サービスで、別人の住民票の写しが交付されるといったトラブルが続出しました。
これに対して、河野大臣は5月末から6月はじめにかけてサービスを停止して一斉点検させ、6月20日に「コンビニでの住民票などの誤交付の原因となったシステムの点検が、対象となる123団体全てで無事終了しました。安心してお使いいただけます」という安全宣言をTwitterで出した矢先の同月28日に、福岡県宗像市で別人の証明書が発行されるトラブルが発生。
実は、44自治体で過去のシステム改修が適用されていないことがわかり、再びサービスの停止に追い込まれています。
今回のマイナンバーカード総点検について、河野大臣は「政府の総力を挙げて点検に取り組み、信頼を回復する」と語っていますが、多くの自治体では不可能と尻込みし、バイトに点検を丸投げしてお茶を濁すということになりそうです。
(荻原 博子/文春新書)
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