【イベントレポート】“エンジニア向け”オンボーディングについて各社の取り組みを学ぶ会

こんにちは!TECH Street編集部です!

今回は2021年7月29日(木)に開催した、 「“エンジニア向け”オンボーディングについて各社の取り組みを学ぶ会」のイベントレポートお届けいたします。今回は各社のエンジニア組織におけるオンボーディングについて、実際に組織内で活躍しているエンジニアに発表共有していただきました!

登壇者はこちらの3名!

・堀端 大輔さん/ミイダス株式会社
・田口 雄一さん/パーソルキャリア株式会社 クロスオーバーディレクター
・今村 雅幸さん/株式会社BuySell Technologies 取締役CTO
※ご登壇順に記載

それでは早速紹介してまいります!

 

開発組織の人事としてオンボーディングで意識していること
堀端 大輔さん/ミイダス株式会社

Webデザイナーとしてキャリアをスタートし、制作会社などでサイトデザインやコーディングなどを経験されてきた堀端さんは、2015年のミイダス立ち上げ時にフロントエンドエンジニアとして入社。2019年5月からエンジニア人事として、エンジニア採用や1on1などをメインで担当されています。

ミイダスではコロナを機にフルリモートでの働き方が主流となっているため、フルリモートでのオンボーディングについてお話しいただきました!

一緒にはたらく人や組織にいかにスムーズに馴染んでもらうか

①VPoEとの顔合わせ

組織のことや開発のことについて、スムーズにコミュニケーションを取れるようにするため入社時には必ずVPoEとの顔合わせを行います。

②月初共有会での紹介

リモート環境下においても、コミュニケーションの敷居を下げるために実施。受け入れる側も拍手👏のリアクションをするなどウェルカムな雰囲気で受け入れてもらえるように意識しています◎

③週一の人事面談

ギャップの把握・解消、早期離職の抑止を目的として、週一の人事面談も実施しています。具体的には下記のような項目をヒアリング。

・やりがいを感じられているか
・カルチャーはあっていそうか
・スキルは追いつけているか
・プロダクトはあっていそうか
・困っていることはないか

「困ったらいつでも聞いてね」と言われても、なかなか聞きづらいなんてこともありますよね...そういった不安は週一の人事面談で解消していける仕組みにしているそうです。

業務に必要な組織内ルールや知識をいかに早く身に付けてもらうか

社内ルールや業務フロー、リリースサイクルなどに慣れてもらうことを目的に、入社後1〜3ヶ月間を目処に受入チームを設けて、メンターをつける制度も実施しています。

また、新しい人ができるだけ早く疑問を解決できるように、新しい人専用のSlackチャンネルも用意して、オンボードをサポートしているのだとか。特にメンションをつけずに、気づいた人がいち早く回答するということを意識しています。

受け入れ側のエンジニア組織メンバーが意識してほしいこと

初日からリモートということも多くなっている状況のため、受け入れる側のメンバーにも、下記のようなことを意識してもらい、オンボードしやすいような環境を意識的に作っています。

・チームのミーティングやはじめましての場合などはリモートで顔を見せる
・紹介の場面など積極的に盛り上げる(過剰なくらいに盛り上げてもらう!)
・当たり前に使っている社内用語は困惑されてしまうので、意識してフォローする
・何かしらのフィードバックを積極的にする

制度を整えるだけでなく、人事としては「話す場」を作ることを大切にしているそうです。自由な風土で風通しも良い環境ではありますが、やはり新しくジョインした人からすると、「質問する」「疑問を解消する」を自由にするというのもなかなかハードルが高いですよね。そのような状況を理解し、制度や仕組みだけではなく、きちんと「場」を作ることでオンボードをサポートする環境を整えているそうです。

また、入社後早い段階でしっかりとフォローすることが、その後の戦力化や組織への馴染み方に大きく影響するとのこと。モチベーション高く入社されてきた方が、いち早くオンボードし戦力となっていくためには、「制度」「仕組み」「場」そして「スピード」が大事なのですね。

堀端さん、ありがとうございました!続きまして、パーソルキャリアの田口さんからのご共有です。

 

「数年で人数1ケタ→70名弱」の部署はオンボーディングで何をしているのか
田口 雄一さん/パーソルキャリア株式会社

プロジェクトマネージャーとして、既存事業の売り上げ向上やコスト削減を目的とした部署の主要プロジェクトを担当するかたわら、オンボーディング業務を始めとした部署メンバーのサポートに携わっている田口さん。数年で規模が大幅に拡大した組織におけるオンボーディングの工夫をご共有いただきました◎

オンボーディングとは

そもそも、人事用語における「オンボーディング」とは、企業が新たに採用した人材を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化させるまでの一連の継続的な受け入れプロセスを意味し、採用した人材が職場で成果を出せるようになったとき、その採用が初めて意味を持つという考え方に基づいています。

では、従来型の受け入れ対応とオンボーディングのさっくりとした違いを見てみましょう。

オンボーディングが重要視されている背景には、新入社員の早期離職を防ぎ、早期戦力化するために、継続的なサポートの実施が効果的であるというポイントがあります。 これまでの受け入れ対応では、即戦力としてコストをかけて採用した人材が、企業文化等になかなかなじめず、 期待されたパフォーマンスを上げるまで時間がかかる事が問題視されていましたが、そのソリューションとしてオンボーディングに注力している企業が増えているのだそうです。

オンボーディング成功のポイント

次に、新入社員と受入組織、それぞれが期待することは何でしょうか。 

新入社員側は、「新しい職場で活躍したい」「仕事で自己実現したい」などの希望に加えて「自分が業務に馴染むまでのサポートをしてほしい」という期待があるものです。一方で、受入組織側としては、新入社員に対して「会社と部署になじんでもらって成果を上げてもらいたい、長く勤めてもらいたい」という期待があります。この、双方の期待を満たすために、オンボーディングの体制を整えることが非常に重要です。

短期的にも、中長期的にも、新入社員と受入組織の双方の期待値が満たされることがオンボーディングの成功といえます。 採用担当者とオンボーディング担当者はその道筋を作ることが役割、と言えるのではないでしょうか。

オンボーディングにおける3つのキーワードは下記の通り。

・「なじむ」 一緒にはたらく人や組織にスムーズに馴染んでもらう 
・「みにつける」 業務に必要な組織内ルールや知識を身に付けてもらう 
・「たすけてもらう」 受け入れ側の組織のメンバーにも意識してもらい助けてもらう 

離職理由の上位にあるのが人間関係と言われています。 一人にしない、孤独を感じさせない環境作りが重要だと認識しているそうです。

田口さん所属部署の組織変遷のプロセスは上記図の通り。中期にさしかかってくると、古くからいた方と新しい方の断層が目に見えてくるのだとか。組織のフェーズにより採用される方も変わってくるため、オンボーディングのやり方そのものや、課題、各アクティビティの中身も変わっていくもの、と考えられます。フェーズによって柔軟に内容を組み替えていきたいと田口さんはいいます。

田口さんは、受入担当として、もし自分が新入社員だとしたら、何をしてもらえたら嬉しくて安心して業務に取り組めるか、何があったら助かったかなどを、入社時を振り返って考えつつ、上長の方とコミュニケーションを取りながら対応を進めていったそうです。

実際に実施したオンボーディングは上記図の通り。

・全社オリエン 
入社1営業日目から3日間は全社オリエンをしています。会社ルールなど幅広い内容を学ぶ場を設けます。

・部署オリエン 
プロジェクトと参加者、他部署関係者、情報置き場、など情報量多め。 俯瞰と分かりやすさ、がポイント。 

・1on1 
パーソルキャリアでは1on1が推奨されています。「お時間空いていますか?」的に、 気軽に相談が可能。雑談OKです。

・フォロワー 
何かあったら聞ける相手として、メンターのような立ち位置のメンバーを配置。新入社員の方にも、自走して欲しいので、メンターではなくフォロワーという呼び方にしているそうです。 最大2か月なので途中終了OKです。 

・OJT 
データの特徴、基盤利用ルール、コンプラ注意点、などを習得頂きます。順番はアサイン次第。

 ・技術や知識の研修 
組織と新入社員の方それぞれの課題と照らし合わせて研修を組みます。出来るだけ固定化しないように意識しているそうです。

特に、部署オリエンでは、全体像をある程度みせることが重要。新入社員の方の役割に合わせて、誰が何をしているのか、 何を見ればよいのか、というフックを作ることを意識しているのだとか。 何より大事なのは、受入組織として新入社員の方を中心とした人間関係作りとフォローアップを面倒くさがらない事です。

オンボーディング関連アクティビティの流れは上記のようなイメージ。オファー面談をする時点からオンボーディングは始まっているという意識を持っているそうです。配属後、1on1やフォロワーによるサポートで受入組織へのなじみを感じてもらえれば、新入社員の方もやりやすくなります。 また、採用担当者が継続的に月1回の1on1を実施することで、新入社員からのフィードバックを受けつつ、プロアクティブにミスマッチの解消を図ることができます。

まとめ

オンボーディングで大切なポイントは以下の4点。

・新入社員の方と受入組織、双方の成功がオンボーディングの成功 
・新入社員の方にとっての安心を考えて各アクティビティを行う 
・アクティビティは組織の課題やフェーズに合わせて新しくする 
・他の人や他の部署に怖がらずに聞きにいく

受入側が、自分が新入社員だった時の気持ちを思い出し、新入社員・受入組織の双方の期待を満たすような仕組みと制度を整えていくことで、スムーズなオンボードを実現しているそうです。

続いて、BuySell Technologiesの今村さんからお話いただきます!

 

心理的安全性を意識したオンボーディングでの取り組み
今村 雅幸さん/株式会社BuySell Technologies

2006年ヤフー株式会社に入社。2009年に株式会社VASILYを創業し、取締役CTOに就任。2017年にVASILYをスタートトゥデイ(現ZOZO)に売却し、会社統合とともに2018年4月、ZOZOテクノロジーズの執行役員に就任。CTOとして幅広くZOZOのDXを推進されてきました。2021年4月株式会社BuySell Technologiesの取締役CTOに就任され、日本CTO協会理事も務めています。

今村さんからは「心理的安全性」をテーマにオンボーディングについての取り組みをご共有いただきました!

効率的なチームづくりで必要なこととは

Googleが効果的なチームの要因はなにかを突き止めるために、社内の180のチーム(エンジニア115/営業65)を調査対象とし、実施したProject Oxygenでは、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が影響していることがわかりました。その中でも、「心理的安全性」が最も重要な要素であることを突き止めたそうです。

では、「心理的安全性」はどのように醸成すれば良いのでしょうか。大切なのは2つの「知る」。

・人を知る:一緒にはたらく人や組織にいかにスムーズになじめるか
・業務を知る:業務に必要な組織内ルールや知識をいかに早く身につけてもらうか

スムーズに心理的安全性を醸成し、組織にオンボーディングしてもらうため、BuySell Technologiesでは、様々な工夫をしています。今回のイベントでは実際に導入している5つの工夫を紹介いただきました!

①「入社したらまずここをみるページ」を作成

新入社員向けに、初日にやるべきことなどを網羅したページを作成。各種ツール、勤怠、案内、心構えなども合わせて説明するようにしています。

②Slackでの案内

Slackに新しいメンバーがJOINしたら、メンバーに紹介されるような仕組みを作っています。新入社員本人には、さきほどの「入社したらまずここを見るページ」の案内が出るようになっています。

③人に知ってもらう

受入側のメンバーに知ってもらうために下記のような工夫もしています。

・チーム内顔合わせ
・歓迎会(ランチ /  Zoom飲み)
・部内定例(業務に関わらない内容も書くことで、その人の人となりを知れるように工夫)
・コンフルの自己紹介ページを作成

④日報

ある程度フォーマットに沿って書いてもらい、メンターとは日報でコミュニケーションを取れるようにしています。例えば、下記のような内容を記載しています。

・やったこと
・できなかったこと、ハマったこと
・今日の感想 / メモ
・個人的なこと
・聞きづらいこと、困っていることなどについてアドバイス

⑤Discordの活用

基本的には、チームメンバー全員がDiscordで待機している状況をつくっているそうです。こちらは、帰属意識の醸成に加え、オフラインに近い状況をオンラインで整えるために活用しているのだとか。何か疑問が生じた時や、必要な時に気軽に話しかけられるように常にメンバーがDiscordに集合するような仕組みを整えています。

その他にも、業務を知ってもらうためにも、下記のような取り組みを実施しています。

・バイセルのビジネスフローの説明
・組織目標の共有(本部、部、チーム目標の共有)
・組織の説明

また、新卒向けにはトレーナー・メンターの配置を実施し、技術的な面での支援をするトレーナーとキャリア面での支援をするメンターの2人体制で、オンボーディングをサポートしています。

まとめ

BuySell Technologiesでは、オンボーディングにおいて下記の3つのポイントを大切にしています。

①「心理的安全性」の醸成
→相互理解を深める
→コミュニケーション接点をとにかく多くもつ

②どんなに優秀な人材でもオンボーディングが大事
→スーパーマンだから勝手に活躍する、は基本的に無く、誰にとってもオンボーディングは大切

③1ヶ月~3ヶ月を目安に1つ目の成果を出せるように意識
→周囲の人が、この人は何をする人かを認識することができる
→この成果が、その後のパフォーマンスに影響してくる

「心理的安全性」はオンボーディングにおいて最も重要なキーワードの一つなのではないでしょうか…!「心理的安全性」が確保されてはじめて、安心して質問をしたり、業務に取り組んだりできるようになりますよね。受入側は、このような視点も持って受入準備を進めるのが良さそうですね。

まとめ

イベントレポートは以上となります!登壇者の皆さま、ご参加頂いた皆さまありがとうございました◎リモートワークが当たり前となった環境において、いかにスムーズに新メンバーをオンボードさせるか、は各社が課題に感じているところではないかと思います!ぜひ、今回ご紹介いただいた制度や仕組みをお試しいただければ幸いです。
ここからは、当日のQ&Aを紹介します♪

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