PdMを集めた組織「ディレクション部」が発足した経緯と今後
2022年11月、エンジニア組織内に新たな部として「ディレクション部」が発足しました。 田口 雄一(たぐち・ゆういち)
その立ち上げの経緯と今後について、部長の田口さんに取材してきました!
テクノロジー戦略本部 ディレクション部部長
建築設計や経営企画や営業を経験後、子どもの誕生を機にIT職へ転向。SES業務やエンジニア業務を経て、大手人材業界企業にてAIやBIなどデータ活用に携わるPMとして活躍。2022年10月バイセル入社、11月より現職。
趣味:子どもと遊ぶこと、ゲーム、写真撮影
◆入社前に組織課題解決を提案→部の立ち上げ&部長就任
ーー田口さんは22年10月ご入社、11月にはディレクション部立ち上げと共に部長就任という、入社直後からの怒涛のスケジュールですが、入社の経緯を教えてください。
かなり独特かつ再現性のない経歴でして、大学で専攻した建築設計からスタートして大手化粧品系のグループで経営企画や営業職に挑戦したり、個人事業主として独立した後、子どもが産まれたのを機にITを目指し出直したり……このあたりはまた別の機会に。
バイセルの入社直前には、人材業界の大手企業にてデータで課題解決を目指す部署に所属し、AI開発やBIツール+データ基盤構築など、各種データ活用案件のPM(プロジェクトマネージャー)として勤務していました。
優れたメンバーと切磋琢磨できる環境ではありましたが、今後どう仕事や社会と関わるかということを考えたときに、より成長でき、将来的にも活躍のイメージが持てる環境へ移りたいと考え転職活動を始めました。
その最中、スカウトを受けたのがバイセルでした。入社までに計7回、面談や面接でテクノロジー戦略本部の色々な方にお会いし、ディスカッションを重ね事業の展望やテック観点での課題を知る機会を頂きました。
ーー7回の面談・面接とはかなり多いですね!
バイセルの採用では「『あなたじゃなきゃダメなんだ』を伝えよう」というテーマがありまして。全員で口説きにかかって頂いてたんだなと後から気づきました(笑)。
最終面接では、何度も面談を重ねる中で私から見えていたバイセルのテック組織としての課題と本質的な問題と解決案とを資料にまとめてお伝えしました。今思うとそれがつまり、ディレクション部の立ち上げの提案……になっていたのですね。
ーー入社前のご自身の提案内容を、そのまま担当された経緯だったんですね。
提案前はまさか自分が本当にやるとは思っていませんでしたが、内定時に今村CTOに「取締役会で承認得るので、田口さんが部長をお願いします」というお話を頂きました。実務をご一緒した訳でもないのに懐が深いなと(笑)。
自分の次のキャリアとして、「より難易度の高い環境で組織課題に取り組みたい」と考えていた方向性とも合致しまして、入社を決意しました。
◆EM依存の組織から、拡張性の高い組織構造へ
ーー田口さんに見えていたバイセルの課題感とは、どういったものだったのでしょうか?
一言でいうと、「EM(エンジニアリングマネージャー)のタスクが多すぎること」でした。
面談でお会いした松榮さん、渡辺圭祐さんをはじめ、EMの役割を持ちつつプロダクト側でも案件のマネージなどのために現場で動かれている方が多数います。技術面を見ながら、事業部側と会話して、部下のマネジメントをしてと、本当に忙しい。
今後バイセルのテック組織が100人、200人…と拡大することを考えると、そう都合よくこのようなスーパーマンと呼ぶべき方々を採用ができるとも限りませんし、そもそも業務が属人的になること自体が全体最適の観点からは好ましくありません。
また、エンジニア組織として抱える案件や課題も今後は多様化していくことでしょう。今でこそプロダクト開発しかありませんが、開発と運用でチームが分かれたり、データ活用の文脈でAI開発はもちろん、研究開発や、新規事業開発として事業側と一緒にPoCサイクルを回す類の案件も出てくるかも知れません。
つまり、今後の組織の変化に対応していくには、組織としての柔軟性を持てるよう仕組みを作り体制を整えることが必要ではないか、と考えました。
一方で、バイセルならではの開発のやり方や良い点を活かせるよう、既存の良い仕組みを大事にしながらその中での整理や新しい仕組みを加えて行けるよう気をつけなくてはなりません。
ーーその解決策が今回のディレクション部設立だったということですね。
はい。例えば、プロダクトに関する情報の整備や費用対効果の算出などにより効果的な経営資本の投入を図ることや、組織内の呼称や役割を明確に定義し、案件ごとの担当範囲を明確にすることや、各種案件の状況はもちろんのこと得た知見や事例を共有することで案件のマネージをする方々の育成を行うことができる組織あるいは機能を持つことを提案しました。
◆ディレクション部の概要と現在
ーー改めて、ディレクション部の役割はどういったものなのかを教えてください。
部署ミッションは「社会課題、事業課題、組織課題を発見し、テックを含む多角的なアプローチで物事の推進や解決、時には非連続的成長をリードすること」としています。
現時点の役割で言えば、具体的にはPdM(プロダクトマネージャー)やPMとして、開発組織内の案件マネージや情報集約・整理を進め、今後の組織の成長をリードする部署となります。
ーーディレクション部ができることで、どういったことが可能になるのでしょうか。
エンジニア業務とは別に案件をマネージする部門を置くことで、組織全体としてのプロダクトの案件マネージや知見の共有、最新の進捗状況の確認など、プロダクトごとに縦割りになりがちだった知識や情報を組織全体へ横展開することが可能になります。
例えば、データサイエンス部(DS部)ではSSOT(※Single Source of Truth:信頼できる唯一の情報源)の実現を目指していますが、DS部として目指したいデータ品質と呼ぶべきものを実現するには各プロダクト間での横連携が必要です。そういったところで、ディレクション部の存在が効いてきます。
またプロダクト間に限らず、事業側でDX推進を行う部署や、情報セキュリティや法務などコンプライアンスに関わる部署などとの連携も、これまでよりスムーズになります。
これまでのバイセルでは、エンジニア業務の片手間でPdMをする、PdMとして業務をする、などPdM業務への関わり方が人それぞれのため、良くも悪くもPdMとしてのレベル感や方向性はまちまちでしたし、テクノロジー戦略本部として各種プロダクトなど案件の情報や状況について集約や共有する機会や仕組みが十分であるとは言えない状況でした。
部のメンバーを含め、PdMやPMの役割を担われる方々については「案件をマネージするとはどういうことなのか」をお作法として学んで頂き、業務に対する解像度を高めて頂けるようこちらも仕組みづくりを進めて行きます。
ーー突如部ができたことで、驚く方も少なくなかったのではないでしょうか?
テクノロジー戦略本部の方にとっては「既存の開発体制からガラリと変わるのか?」という不安をお持ちの方もいると思いますし、一方で「こうした組織を待っていた!」という非常にありがたいお声を頂くこともあります。
本格的に拡大するのはこれからになりますが、事業として、開発組織として、将来を見据えディレクションを手掛ける部署をいま置いた、ということはかなり画期的のように感じています。
いずれにしましても本部内の皆様との対話は不可欠ですし、私自身が何者なのかを含めテック組織の方全員と、順に1on1でお話しさせて頂いている最中です。加えて、各種会議体やその他催しなどの場をお借りして、ディレクションの観点から、バイセルや開発組織について考えていることや実際の取り組みについて、双方向的にコミュニケーションを取りながら進めて行きたいですね。
ーー11月の発足後、12月現在はどんな状況でしょうか。
12月現在、7名のメンバーが異動してきてくれて、私含めて8名の組織になっています。PdM・PMの役割を担っていた人のすべてがディレクション部に異動した訳ではないですし、経験は浅いものの異動してくれた人もいます。
実は、今回の異動は挙手制でした。10月末のテクノロジー戦略本部会で「こういう部が出来るよ、メンバーは挙手制だよ」と案内をする形で募りました。業務内容こそ変わりませんが、仕事の主語がエンジニアからディレクションに変わることになります。これまでとは違うキャリアを選択するわけですから、「自分は何をしたいのか」を自分自身にしっかり問うた上で選択することが大切です。
バイセルの開発組織としての「やりたくない仕事や異動はしない。やりたいことをしてもらう」という考え方がベースにあります。
◆ディレクション部の今後
ーー社外からのメンバー募集も進めていますが、どういった人とご一緒したいですか?
大前提として、PdMとして働く上で「ホスピタリティ」は必須と考えています。言葉にすると簡単に見えてしまいますけれども、相手軸で仕事をすることもでき、かつベクトルを合わせるべく対話により物事を進めて行くということ、と捉えています。きちんと対話して、相手に伝わるように物事を伝えられる人ですね。
これまでお話しして来ましたように、我々はまだ走り出したばかりの組織です。ホスピタリティがあって世話焼きで、メンバーのことを常にいろいろ気にしてくれる、男女問わず「テックおかん」のような存在として、メンバーをリードしてくれる方とご一緒したいですね。
ーーテックおかん(笑)。2023年はどういったことから取り組む予定でしょうか?
直近取り組むこととしては、大きく3つです。
1つ目は、案件をマネージするための体制づくりです。
案件の情報や状況を共有する仕組みを作り、前に述べましたように案件内の役割、つまりロールのガイドラインとなるものを整備するところから着手しています。2023年1月からは現場レベルでの案件情報共有が始まります。
2つ目は、事業部側と数字で会話できる環境づくりです。
ディレクション部のメンバーそれぞれが携わる案件のビジネスプロセスを明確化して、ROIやKPIの再設計を行うことで、リソースの投下に合理性を持たせることが出来ます。
3つ目は、ディレクション部の人材育成です。
事例などの情報共有や、メンバー同士でのディスカッションなど、教育機会を創出します。PdMはエンジニアとは頭の使い方が異なる部分もあります。また、ディレクションという言葉のくくりではPdMに限らずBizDevなど他のロールもありますので、メンバーの希望や適性に沿う形でのアサインや育成を考えています。いずれにしても、目先の課題も大事ですが、より深いところを見る思考を養っていきたいですね。
ちなみに、ここまで「あれが無い、これが無い」と言っているようですが、今村CTOの言葉を借りると「すべてが完璧な状態で運用できているものはない。その中でいかに良い状態に近づけていくかが大切」と考えています。
バイセルは現体制でここまで成長してこられましたのでポテンシャルとしては十分。ここからのさらなる成長に向けて、ディレクション部としても貢献して行きたいですし、一緒に事業やプロダクトを作れる方に来て頂けたら嬉しいですね。
ーーフェーズによって、様々な最善があるということですね。ありがとうございました!
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プロダクトごとの縦の組織に、ディレクション部が横串を指すことで、今後さらに拡張可能な組織になりそうです…!
現在、ディレクション部のメンバーを募集しています。
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