太田さんのもとに離婚相談で訪れる女性は、全年齢層にわたるという。しかし年代が上になるほど、家父長的な価値観にとらわれ夫に「NO」がいえない人が多い傾向がある。

「必然的に、我慢してきた年月も長いんですよね。みなさん、離婚を思い立ってから実際に意を決して相談にこられるまでの期間が長くて、10年、20年という人もいます。熟年期の方の離婚相談では、その結婚生活がどんなものだったか、お話をうかがう前からある程度想像がつきます。

お互いに尊重しあっている夫婦が60、70歳になって突然不仲になって離婚に至る、というのではなく、ずっと対等でなく一方が耐えてきた年数を重ね、何かのきっかけでついに熟年期に離婚を決意するに至った、というケースが多いです」

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対等でない夫婦関係では、「忍耐」と「離婚」とがコインの裏表となっているということだろう。長らく「忍耐」が表を向いていても、いずれ限界がきて、ある日突然コインが裏返る。人はいつまでも、一方的に耐え忍ぶことはできないし、また、その必要もないということを胸に刻んでおきたい。