リヒター ラウム
Photo: Kensuke Yamamoto「Strip Sculpture Karuizawa」

軽井沢の森とゲルハルト・リヒターの世界観が融合する、唯一無二の常設スペースが誕生

連載企画「軽井沢は東京24区?」、第6回はRichter Raum

編集:
Genya Aoki
寄稿:
Kensuke Yamamoto
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東京からのアクセスの良さや洗練されたたたずまいの店舗や施設が多いことから、軽井沢は「東京24区」といわれることもある。この一言を真に受けて、東京の延長線上で楽しめるこなれたスポットを紹介していこうと立ち上げた連載企画がこの「軽井沢は東京24区?」だ。

第6回の今回は、軽井沢駅から中軽井沢方面に車で5分ほど行ったところに2023年7月29日にオープンした「リヒター ラウム(Richter Raum)」を紹介。ドイツ・ケルンの郊外にある森にあるゲルハルト・リヒターのアトリエが再現されている。

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「ドイツ最高峰の画家」とも呼ばれる現代アーティストであるリヒターを、30年以上にわたり日本へ紹介してきた六本木の現代美術ギャラリー「ワコウ ワークス オブ アート(Wako Works of Art)」が、これまでの活動の集大成の一つとして、リヒターの意見も聞きながら、彼の作品を常設展示する空間を作り上げた。

受付のあるエントランス空間(Raum1)、隣接した展示室(Raum2)、オフィススペース(Raum3)が道沿いに横列配置され、エントランスの奥にもう一つの展示室(Raum4)があるという、L字型の4つの部屋で構成されている。

作品に投影された「軽井沢の自然の中にいる鑑賞者」
Photo: Kensuke Yamamoto

作品に投影された「軽井沢の自然の中にいる鑑賞者」

ラウムに入ると目に飛び込んでくるのが、突き当たりに展示されているリヒターの代表作の一つである「Grey Mirror」だ。エナメル質の灰色で塗られたガラスに自分の姿と軽井沢の緑が映り込む。自然豊かな空間でリヒターの作品を「体験」できるという同施設ならではの魅力にいきなり遭遇することになる。

写真とテキストではこの魅力は伝えきれないので、ぜひ実際に訪れて作品との対話を楽しんでみてほしい。

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「実際に体験してほしい」という思いから、施設内は撮影が一切できない(Photo: Kensuke Yamamoto)

Raum2には「8枚のガラス」が中央に鎮座し、壁面にかけられた「STRIP 927-10」「Abstract Painting」のシリーズの景色が空間に乱反射する。目線を動かすたびに変わる光景は圧巻だ

世界でも唯一無二の展示空間
「Strip Sculpture Karuizawa」(Photo: Kensuke Yamamoto)

世界でも唯一無二の展示空間

リヒター ラウムのために作られた作品「Strip Sculpture Karuizawa」は同施設の中でも大きな見所の一つ。Raum2に展示されている「STRIP 927-10」と同じシリーズで、こちらは縦縞だ。十字に組まれた高さ5メートルの屋外彫刻としてガーデンに鎮座している。

木々が映り込む様子もここならではの世界観で、時間や季節によって見え方の変化が楽しめる。雪景色の中では一体どんな鑑賞体験になるのか、冬の時期が今から待ち遠しい。

ゲルハルト・リヒターの世界観を自然の中で堪能できる、世界でも唯一無二の空間。このために軽井沢を訪れる価値は十分にあるだろう。

事前予約なので、しっかり計画をした上で、リアルにこの空気感を感じてみてほしい。

執筆者プロフィール

山本憲資

Sumally Founder&CEO

1981年生まれ、神戸出身。 広告代理店・雑誌編集者を経て、Sumallyを設立。 スマホ収納サービス「サマリーポケット」も好評。 2020年夏から軽井沢に拠点を移し、スマートリモートライフを実践。音楽、食、舞台、アートなどへの興味が強く、週末には何かしらのインプットを求めて全国各地を飛び回る日々を過ごす。

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