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福岡の2市町、情報公開請求漏えいか 武田元総務相秘書の番号から連絡

毎日新聞 / 2023年8月7日 21時4分

=ゲッティ

 福岡県田川市と大任(おおとう)町に対し、ネットメディアの男性記者が情報公開請求したことなどが外部に漏れていた疑いがあることが関係者への取材で判明した。請求直後、男性の携帯電話に、当時総務相だった武田良太衆院議員=福岡11区、自民党=の秘書として登録していた番号から電話があり、請求の取り下げを求められたという。田川市の村上卓哉市長は7日の記者会見で漏えいの経緯を調査していることを明らかにした。大任町は「調査する予定はない」としている。

 男性記者は、ニュースサイト「ハンター」の運営会社(福岡市)で代表を務める中願寺純則さん(63)。2021年6月14日、田川市のごみ収集運搬事業や、大任町の道の駅整備事業について業者の選定過程などを調べようと、田川市と大任町に関連文書の開示を請求した。

 中願寺さんによると、請求翌日、元々知り合いだった男性秘書の携帯電話として登録していた番号から電話があり、請求の内容や理由を確認されたという。その番号は秘書の名刺にも記されていた。

 中願寺さんは電話でのやり取りを録音した。毎日新聞が入手した音声データによると、電話相手は男性とみられる声で「うちの選挙区の大任町とかで情報開示請求してます? 田川市と」と質問。中願寺さんが「もう連絡いったんですか」と聞き返すと、相手は「うちの選挙区ですから」「びびりますよ。こんな情報開示請求したら」などと答えた。武田氏が地盤とする衆院福岡11区には田川市と大任町が含まれる。

 中願寺さんが「大臣が気にしとるわけじゃないんでしょ」と尋ねると、「気にしてますよ」「なかったことにしてほしいと」と請求の取り下げを求めた。

 中願寺さんが断ると、「道の駅は、その業者選定が分かる文書及び本件工事の施工体系図?」と、中願寺さんの請求とほぼ同じ内容を読み上げ、「全部ピンポイントで出さないといけないですか」「『適切に処理している』みたいな回答というわけにはいかないですか」などと繰り返した。

 中願寺さんは毎日新聞の取材に対し、電話で話した相手は面識のある男性秘書の声だったと振り返り、「請求内容が漏れていると確信した」と話した。請求は取り下げなかったが、市や町は、公共工事に関する文書の多くを「非開示」としたという。

 毎日新聞は武田氏の事務所に事実関係を尋ねる質問を送ったが、7日までに回答はない。記者が4日、21年6月に中願寺さんにかけてきた番号に電話したところ、電話に出た男性は「うちはしゃべること何もないんで」と電話を切った。

 情報公開請求をした請求者などの情報が自治体から外部に漏れていた場合、地方公務員法や個人情報保護法に抵触する恐れがある。中願寺さんによると、8月1日に田川市の村上市長と面会し、経緯を説明した上で電話の音声データを提供したという。

 村上市長は7日の会見で「請求者の情報が漏れたのが一番の問題。請求者が萎縮する可能性があり、情報公開制度の根幹を揺るがす」として、調査していることを明らかにした。

 一方、大任町は調査しない方針で、永原譲二町長は7月27日の取材に対し「情報公開は町条例に基づき適正に処理しており、うちから情報公開の請求者や内容などを外部に出すわけがない」と述べた。【清水晃平、荒木俊雄、山下智恵】

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