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炎天下でも動くパソコン「TOUGHBOOK」、カタログに載らないタフな話

マイナビニュース / 2023年8月7日 11時42分

そして「バックフリップタイプコネクター」。これは、落下や振動があったときの耐久性を向上させる工夫で、幅広のフレキケーブルをレバーで固定する際にケーブルを接続している方向(バック側)にレバーを倒して固定するコネクタだ。以前はフロント側にレバーを倒して固定するフロントフリップだったが、衝撃が加わるとレバーの固定が解除され、故障につながるケースがあったため改善された。

○耐水・耐温度に関するタフなポイント

耐水・耐温度についてもタフなポイントがあるという。1つ目はDCジャックのスライドカバーだ。

少し前のモデルでは本体とつながったゴム蓋を採用していたが、ケーブルをつなぐ際に邪魔になったり、使っていくうちに千切れたりする問題があった。

これを本体内部から引き出すスライド式蓋に変更し、長期使用でも壊れにくくしている。このスライド式蓋は設計難度が高く、組み立て工場の検査では裏側から光を当てて耐水性をチェックするという(光が漏れたら隙間があるということ)。

2点目は、カバー周囲に巡らせられたシーリング。耐水・耐熱・経年劣化にも強いシリコンで外周を縁取り、本体にかかった水が内部まで侵入するのを防いでいる。TOUGHBOOKが1996年に発売されて以来続く仕組みで、ノウハウを重ね最適なシリコンを採用している。

さて、シーリングは急カーブや高低差がある溝に一定の厚さでシリコンを塗布しなければいけない。隙間があったり厚みに差があったりすると、水濡れにつながる。

シリコンの状態は湿度や温度でも変わり、硬化まで一定の時間もかかるため、高低差があれば当然低い部分にシリコンが溜まってしまう。また、開始点-終点の重なり処理も難しいポイントだ。同社ではロボットを使い、傾斜時には速度を速めたり量を調整したりすることで、複雑な形状でも一定の厚さで塗布している。

○「ファイアウォール」をバッテリーに内蔵

長期利用に必要なバッテリーの安全設計にも注目だ。TOUGHBOOKシリーズのバッテリーは、セル間に防火材(雲母断熱材)を組み込んだ設計になっている。

万が一バッテリーが発火した際、バッテリー間の延焼を防ぐための、本物の「ファイアウォール」だ。UL94V-0燃焼性規格の7倍以上の不燃性を持っているという(※安全試験/製品検定証明機関であるULによる、難燃性を示す等級の1つ)。

また、発火時は素早く熱を逃さないといけないが、かといってバッテリー周りを風通しよくしてしまうと、TOUGHBOOKの特徴である耐水性に影響がある。

これを解決するのが、底面に設けたスリットを、防水シートで覆う仕組みだ。この防水シートは一定の熱で溶けるようになっており、バッテリーが発火すると溶けてスリットから熱いガスを排出できるようになる(ユーザーも発火が臭いでわかるようになる)。同社の特許取得技術だ。

10年ほどは余裕で使えるのではないかと思ってしまうTOUGHBOOKシリーズの買い替えサイクルは、意外にも一般的なPCと同じ4~5年ほど。内部/外部パーツの寿命や故障、またはスペック更新や機能追加などの理由から、そのくらいのスパンで買い替え依頼が来るという。

パナソニック コネクトでは、実際の使用シーンからフィードバックされた1,000以上のチェックリスト項目を作り、TOUGHBOOKの頑丈設計を進めていると紹介。今後増えるであろうチェック項目から生まれる、新しいタフな話に期待したい。
(村田奏子)



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