オンラインサロンは「信者の集合体」なのか? SNSヘイトからの“バリア”となりうるコミュニティの可能性
ORICON NEWS / 2023年8月7日 8時40分
2020年1月以降、急激に増加したオンラインサロン。知識やテクニックを学ぶだけではなく、ファンクラブや暴露系まで幅は広がっている。業界全体の売上は右肩上がりで、2022年度の流通総額は2020年から48億円上積みし、122億円の予測に(出典:ICT総研)。このように需要が高まっている反面、SNSではサロンオーナーを「教祖」「捕まってないだけの詐欺師 」と毒づかれたり、「オンラインサロンは宗教のよう」「信者の集合体だ」などネガティブ面も多く取りざたされている。クローズドなコミュニティ構造だからこそ根付くイメージを、運営側はどのように見ているのか? 業界最大手『DMMオンラインサロン』の事業部長・豊好竜弥氏に話を聞いた。
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■スマホの普及、通信速度の上昇、コロナ禍により急成長
オンラインサロンは、月額会費制のweb上で展開されるクローズドなコミュニティのこと。オーナーと呼ばれるサロンの主宰 者がコミュニティの運営を進め、参加者と交流する。「オンラインサロンが注目され始めた当時、話題になったのはビジネス系のサロンですが、著名人のファンクラブがあったり、趣味について気軽に語る場所だったり、様々なジャンルがあります。各オーナーによってリーダーシップの取り方も違っていて、その形態はかなり多様化していると言えます」(豊好氏/以下同)
その元祖から振り返ると、堀江貴文の所属していた「Synapse」がオンラインサロンのサービスを2012年に開始したところから始まる。2017年にDMMによって子会社化され、流通総額を見ると2016年が2.5億円なのに対し、2017年は9.5億円に成長。同時期に世間ではYouTubeが広く普及し始め、動画配信サービスの隆盛と連なるかたちで活発化した背景がある。
2017年頃といえば、米国でiPhone が発売されてから10年。「スマートフォンを使う年代層が広がってきた時期です」と豊好氏。
「スマホの普及率上昇と共に通信速度が高速化し、web関連の環境が整ってきた時代でもあります。それと連動するかたちでインフルエンサーが頭角を現し始め、ビジネスに関わる発信を始めた。オンラインサロンもそのツールとなり、その後のコロナ禍でさらに市場が拡大していきました。弊社の伸び率を見ても、毎年1万人程度の会員増だったのが、2019年から2020年にかけて約4万人の増加。サロンを開設したいという問い合わせも、例年の3倍ほどありました。コミュニケーション面でも、仕事の面でも、向き合い方を変えなければならなかった期間。皆さんもコロナ禍で一度は『今後どうしていこう?』と立ち止まって考えたことがあったと思うんですけど、その指針を先んじて示した人たちが当時オンラインサロンに集まっていました」。
■SNSヘイトが際立つ今だからこそ、オンラインサロンが「バリアとなりうる」
急成長したジャンルは人の目に触れる分、アンチやネガティブに捉える人が現れるのは必然だ。何かを得ようとする人々の姿勢、オンラインサロンのフォーマット自体は健全であることに変わりないが、奇しくもそれが悪用されてしまうケースもあった。
オンラインサロンは「カルト宗教のよう」「洗脳されている」、オーナーは「教祖」、ユーザーは「信者」など揶揄されることも多くなった。エンタメ面でもドラマでオンラインサロンが登場すると、ネガティブな団体として表現。課金も「お布施」などと呼ばれるように、「怪しい」「胡散臭い」という印象が根付いてしまった感もある。豊好氏はこのイメージについて「構造上、そういう見え方になるのは仕方がない」と話す。
「宗教、信者ビジネスのように言われてしまうのは、課金しなければ何をやっているか分からないクローズドな環境だから。サロンの外から見物している人たちからすると、一種の不気味さもあるのは分かります。ですが実際にオンラインサロンに入ってみると、それだけではない環境が見えてくる。オンラインサロンのメリットが伝わってないというところは大きな課題だと感じます」
例えばコミュニケーションの質について。誰もが気軽に投稿できるSNSで率直に意見交換をしようとすると、ヘイトやアンチが集まりやすいことは昨今の流れを見ても明白だ。心無い言葉を意図せず目にして、悲しい思いをした経験は誰にでもあるはず。対して「オンラインサロンは、それらのバリアとなりうる」と豊好氏。
「有料かつ会員制であることが、ネガティブやヘイトから身を守ることにつながる点に着目してほしいです。課金してまで批判をしたい人は、まぁいないですからね。オンラインサロンが心理的安全性を担保した空間として実際に機能している。自分の情熱を注げるテーマに対して安心して議論ができる場 ということになるので、それは本当にいい環境なんじゃないかと、SNS全盛の今だからこそ実感しています」
■ネガティブ面をいかに払拭するか、プラットフォームとしての責任
『DMMオンラインサロン』ではこうしたネガティブ面を把握しているからこそ、これを重要課題として、オーナーにイベントやオフ会を行ってもらうなど、外部に活動を見てもらう活動を推奨している。同社自体もイベントを企画し、眼を見張るような活動をするオーナーを表彰したり、トークイベントに参加してもらうなど、外へ、外へと情報を発信するよう心がけている。
だが先述したように構造上、オーナーが「教祖」のように見えてしまうことは否めない。豊好氏はその構造のネガティブ面を反転してこう解説する。「例えばプロジェクトで何かを決める際、すべての人が平等ですべての人の意見を聞こうとするとなかなか前に進めません。全員が納得し、全ての意見が一致することは難しいからです。そこで会社ではどう進めているか考えてみると、 議決権と決定権、責任を取り持つリーダーがいた方がスムーズにスピード感をもって進められると簡単に想像ができます。オンラインサロンの仕組みも、同様なのです」。
そもそも「サロン」の発祥は17世紀初めに遡り、貴族の社交界であったり、文学サロンが立ち上げられたり、伝統として引き継がれてきた文化的側面がある。これがweb上に移動しただけだ。また昨今海外では、閲覧は無料だが発言するのは有料というスタイルも増えており、そういう形態のコミュニティが今後日本でも増加するのではないかと豊好氏は解説する。西村博之のYouTubeライブなどはそれに近いかもしれない。
「プラットフォームとしての責任がある」と豊好氏。信頼性を担保するため、オーナー志願者を調べる開設審査、サロン内を巡回する管理体制をしいているほか、ツール面や金銭面での事務的作業を引き受け、オーナーもユーザーもやりたいことに集中できる環境を整えている。
その上で今後はよりニッチで尖った人物をサロンオーナーとして迎え、職種ごと、企業のコミュニティマーケティングの視点でもサロン開設を検討できるよう「裾野を広げていきたい」と展望を語る。「サブスクリプションでやめたい時にすぐやめられますので、一度中を見てもらいたい。会員同士のつながりで自分の本業で活かせるひらめきがあったとかネットワーク、縁ができたとの声もあります」。見えないからこそ不気味に思える。ならば一度自分で見て、その上で語る必要もあるのではないか。ただし、良いプラットフォームを選ぶことが前提であり、詐欺などの犯罪には充分に気をつけてもらいたい。
(取材・文/衣輪晋一)
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