各都道府県における新型コロナウイルスの定点あたりの感染者数は、各都道府県における感染増加傾向を見るものであり、都道府県間で比較するものではありません。縦で見るものであって横で見るものではないということですね。
例えば鳥取県は定点あたりの感染者数が多いのですが、鳥取県が危険かというとそうではなく、定点医療機関における検査対応数がおそらく多いのだと思われます。
各都道府県における定点医療機関はインフルエンザの定点医療機関を元に選定されているケースが多いのですが、定点医療機関の中には新型コロナに対応していない、もしくは対応していてもかかりつけ患者のみ等、実質的に診療・検査していない医療機関も少なくありません。
定点医療機関の中身によって、各都道府県の定点患者数の水準は大きく変わります。
千葉県では5類移行に伴い、内科・小児科等は新型コロナに対応することが基本で、対応しない場合はその理由を明確に回答するよう、文書で依頼し、対応医療機関が大幅に増加しました。
千葉県の定点医療機関を見ると、5類移行前に全くor殆ど検査実績が無かったものの、5類移行後に検査実績が多く発生している医療機関も多く、改めて医療機関の皆さまに感謝します。
逆に5類移行前の千葉県の定点医療機関の状況では、千葉県は他県と比べ少なく見えたかもしれません。
新型コロナに関する様々なデータは各都道府県間において運用等に差が出るものがあり、比較に馴染まないケースがあります。
例えば感染症法に基づき都道府県が発表する人口あたりの新型コロナ死者数では1都3県で千葉県が最も多い状況だった一方で、人口動態統計による新型コロナが主な死因である死者数では千葉県が人口あたりで最も少ない結果となりました。
これは千葉県が感染症法に基づき、陽性だった死者は全て発表していたのに対し、1都3県の中には新型コロナが主な死因でないものを人為的に抜いて発表していた自治体が存在していたためでした。
では、千葉県が新型コロナを主な死因とする死者数が人口比で1都3県で最も少ないことをもって、千葉県の新型コロナ対策が最も優れているかというと、そういう話ではなく、誤差の範囲内か、もしくは単純に1都3県で最も人口密度が低いから、と言えます。
その際も申し上げましたが、首都圏、中京圏、関西圏など、人の生活圏域によって基本的な傾向は同じであり、その圏域内の差を分析するのに適した数値はなかなか無いのが現実です。
ましてや、日本は主な医療政策は国の方針に基づき行われている以上、都道府県の政策による差は統計でなかなか見えるようなものではありません。
クラスター対策が可能な程度の感染力だった初期と異なり、オミクロン株以降の感染力が高い状況では、人口密度と人の通勤・通学等の移動の状況によって感染傾向は生まれています。
この辺りは保健行政に関わる人間であれば十分に理解できる一方で、保健行政に関わっていなければ医師や専門家であってもなかなか理解が難しいと思います。
「定点医療機関の感染者数が多いから、この圏域でもこの県は避けよう」というような、あまり疫学的に意味のない行動で貴重な機会を逃す方がいればもったいないので、長文でしたが、解説しました。
いずれにしても感染が拡大しているのは事実です。千葉県においては入院・外来ともにひっ迫している状況は確認されていませんが、換気等に留意し、症状が見られる場合は外出を控える等の基本的な行動を行った上で、この夏を楽しく過ごして頂ければ幸いです。
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