今回は日本におけるウイスキーの不都合な真実と言うことで書いていきます。
酒税法は幾度となく改正が行われていて、その中でもウイスキーの扱いはいくつか変更がされています。
また、等級制度が1989年3月まで設けられていて、1949年時点においては1~3級が設定されていました。
その中でも3級ウイスキーと言われるものは、モルト、グレーン原酒が一切入っていなくても名乗れるというとんでもないものでした。
1953年に等級表記は特級、1級、2級と変わりましたが、2級ウイスキーでは引き続き、原酒を入れなくてもウイスキーを名乗れるものになっていました。
推測ではありますが、戦後において産業が破壊されてしまった状況で、復興のための保護という目的で、敢えてモルトやグレーンを入れないものも認めていたのではないかと思われます。
その後経済が発展していくと、2級ウイスキーでも1968年には原酒は7%以上、1978年には10%以上入れることが義務づけされました。
これによって全くウイスキーとは言えないものは消え去ることになりました。
ところが、現在の酒税法においても、モルトやグレーン原酒以外のアルコールを9割まで入れることが認められているのが現実です。
実際、トップバリュのウイスキーでは明確にスピリッツが90%入っていることを明確にしていて、ウイスキーの最低ラインにある状況です。
さらに熟成年数においても、スコットランド(イギリス)においては3年以上と明記されているものの、日本の酒税法には明記されておらず、それこそ蒸留し立てのニューポットにカラメルで着色して、さらに1:9の割合でアルコールを加えてやれば、ウイスキーとして売ることができるのです。
これではウォッカなどのスピリッツと大差はなく、全くの粗悪品と言っても過言ではないです。
さらに、日本のメーカーが作ったウイスキーであっても、もろみの醸造や蒸留自体も自前の蒸溜所で行わず、スコットランドなどの海外から原酒を輸入して売っているケースも存在します。
それらの原酒は「バルクウイスキー」と言われていて、ものによっては海外においてもウイスキーとは言えないような熟成の短いものも含まれているようです。
特にここ数年でウイスキーを出すようになった日本のメーカーにおいては、そうしたバルクウイスキーだけを使っていて、樽での熟成のみを日本の工場で行っているという申し訳程度のものしかないものもあふれるようになりました。
一部のメーカーではそれを「ジャパニーズウイスキー」と売るものも出てきてしまい、国内外で起こったジャパニーズウイスキーブームに冷や水をかけかねない状況が生まれてしまいました。
主な点としては、
とはいうものの、日本の酒税法においてはジャパニーズウイスキーどころか、海外ではウイスキーとは言えない代物でもウイスキーとして出せていることに変わりはないため、私たち消費者の側が、値段だけにとらわれず、中身についても厳しく見る目を養っていく必要があるでしょう。
日本のウイスキーの基準はいい加減?
日本において、ウイスキーの法的基準が書かれているのは酒税法になります。酒税法は幾度となく改正が行われていて、その中でもウイスキーの扱いはいくつか変更がされています。
最初は「雑酒」だった
酒税法において、ウイスキーは当初、その他のお酒に分類される「雑酒」という扱いでした。また、等級制度が1989年3月まで設けられていて、1949年時点においては1~3級が設定されていました。
その中でも3級ウイスキーと言われるものは、モルト、グレーン原酒が一切入っていなくても名乗れるというとんでもないものでした。
1953年に等級表記は特級、1級、2級と変わりましたが、2級ウイスキーでは引き続き、原酒を入れなくてもウイスキーを名乗れるものになっていました。
推測ではありますが、戦後において産業が破壊されてしまった状況で、復興のための保護という目的で、敢えてモルトやグレーンを入れないものも認めていたのではないかと思われます。
その後経済が発展していくと、2級ウイスキーでも1968年には原酒は7%以上、1978年には10%以上入れることが義務づけされました。
これによって全くウイスキーとは言えないものは消え去ることになりました。
等級廃止でも残ったもの
1989年4月に等級制度が廃止され、アルコール度数の違いによって酒税の配分を変える方法に切り替えられました。ところが、現在の酒税法においても、モルトやグレーン原酒以外のアルコールを9割まで入れることが認められているのが現実です。
実際、トップバリュのウイスキーでは明確にスピリッツが90%入っていることを明確にしていて、ウイスキーの最低ラインにある状況です。
さらに熟成年数においても、スコットランド(イギリス)においては3年以上と明記されているものの、日本の酒税法には明記されておらず、それこそ蒸留し立てのニューポットにカラメルで着色して、さらに1:9の割合でアルコールを加えてやれば、ウイスキーとして売ることができるのです。
これではウォッカなどのスピリッツと大差はなく、全くの粗悪品と言っても過言ではないです。
日本で蒸留されない原酒の混入
それらの原酒は「バルクウイスキー」と言われていて、ものによっては海外においてもウイスキーとは言えないような熟成の短いものも含まれているようです。
特にここ数年でウイスキーを出すようになった日本のメーカーにおいては、そうしたバルクウイスキーだけを使っていて、樽での熟成のみを日本の工場で行っているという申し訳程度のものしかないものもあふれるようになりました。
一部のメーカーではそれを「ジャパニーズウイスキー」と売るものも出てきてしまい、国内外で起こったジャパニーズウイスキーブームに冷や水をかけかねない状況が生まれてしまいました。
業界団体が決めた「ジャパニーズウイスキー」
こうした事態を受けて、洋酒のメーカーによって結成された「日本洋酒酒造組合」が、2021年にジャパニーズウイスキーを定義し、メーカー各社に遵守するよう呼びかけました。主な点としては、
- 麦芽を必ず使うこと(海外製でも可)。水は日本で採取されたものであること
- 日本国内で糖化、醸造、蒸留を行うこと
- 3年以上熟成させること
- 瓶詰め時のアルコール度数を40度以上にすること
となります。
よって、シングルグレーンウイスキーはジャパニーズウイスキーの定義から外れることになります。
この定義によって、条件に外れるウイスキーからジャパニーズの名前が外されることとなり、乱造を防ぐことになりました。
実は大手メーカーでも海外の原酒を使っていることは珍しくなく、サントリーもニッカも海外の蒸溜所を買収、所有していることから、そこからの原酒も使っていることが、この定義によって明らかになりました。
よって、シングルグレーンウイスキーはジャパニーズウイスキーの定義から外れることになります。
この定義によって、条件に外れるウイスキーからジャパニーズの名前が外されることとなり、乱造を防ぐことになりました。
実は大手メーカーでも海外の原酒を使っていることは珍しくなく、サントリーもニッカも海外の蒸溜所を買収、所有していることから、そこからの原酒も使っていることが、この定義によって明らかになりました。
とはいうものの、日本の酒税法においてはジャパニーズウイスキーどころか、海外ではウイスキーとは言えない代物でもウイスキーとして出せていることに変わりはないため、私たち消費者の側が、値段だけにとらわれず、中身についても厳しく見る目を養っていく必要があるでしょう。