政府が夏ごろまでの開始を目指す、福島第一原発の処理水の海洋放出についてです。29日も、西村経済産業大臣が県内を訪れるなど、漁業者に理解を求める動きが続いています。こうした中、海洋放出されていないにもかかわらず、すでに、県内の一部の海産物には価格の値下がりという「実害」が生じています。

宮城県七ヶ浜町の菖蒲田漁港に31日に水揚げされたのは、旬を迎えたアワビ。しかし、今シーズンの水揚げ量は、「例年の半分以下」という、不漁だといいます。

菖蒲田浜潜り組合 鈴木直也代表
「全体的には不漁ですね。この暑さなんで…あと温暖化、色々そういう影響が、海にはかなり出ているので、ちょっと厳しい状況」

不漁に追い打ちをかけるのが…

西村経済産業相
「宮城のアワビの価格下落など、影響はすでに生じているという話をお伺いしている」

処理水の海洋放出です。政府は夏ごろまでの開始を目指していて、29日は、西村経済産業大臣が、県漁協を訪れ、放出への理解を求めました。しかし、放出前にもかかわらず、すでに一部の水産物には影響が。

県漁協 寺沢春彦組合長
「香港、中国の輸出規制強化、それに伴って浜の方では、実害として下落であったり、流通の流れが止まったり、実害が発生していることに対して、現場の状況を踏まえた発言をした」

県漁協によりますと、浜によって価格は異なるとした上で、一例として、6月上旬は1キロあたり、1万3000円から3500円ほどの値が付いていたアワビが、中旬から下落。現在は、9500円ほどになっているといいます。

菖蒲田浜潜り組合 鈴木直也代表
「入札方式でアワビとかを、買ってくれる方々に渡しているが、『もう入札入りません』買わない。もうそこでかなりの影響を受けていて…自分たちは困っている」

こうした状況を受けて、西村大臣は、風評対策で用意した300億円の基金について、「放出前でも影響があるなら対応する」と強調。しかし漁業者からは…

菖蒲田浜潜り組合 鈴木直也代表
「全国民が安心して食べられるという、本当にその一声がほしい。すると自分たちも海に出て、活力湧くじゃないですか。今の状況では実際湧かないですから。不安ばっかり募る一方で」

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。