なぜ? 日本のキャッシュレス決済手数料が高い理由
ITmedia NEWS / 2023年8月3日 16時31分
おそらく、手数料率をむやみに開示することは、同業者間で実際には差異があることを示すことに他ならず、収拾がつかなくなることが非開示の理由の1つだと考えられる。
●なぜ日本の手数料は高いのか?
では、なぜ日本だけ手数料が高くなりがちなのだろうか。理由の1つは各業者の取り分を多くしないと事業が成り立たないことに由来する。決済手数料が高止まりする原因は以前からいろいろ指摘されているが、「銀行振込手数料の高さ」と、NTTデータの「CAFIS利用料」がその理由としてよく挙げられている。
特に後者のCAFISについては多くの事業者が中継ネットワークとして利用しており、ネックの1つとされていた。これについては各方面からの圧力もあり、2022年11月に大幅値下げを発表している。
また、公正取引委員会と経済産業省の動きもあり、インターチェンジフィーの透明性を高めるべく情報公開の指導が行われている。顕著な例でいえば、この結果としてSquareにおけるJCBとQUICPayの手数料引き下げが行われており、MastercardやVisaの水準に追いつくなど、同時期に各方面にも波及している。
このように以前ほど“左うちわ”の世界でもなくなりつつあるカード業界だが、それでも欧米水準に比べるとやや高止まりしている。筆者も理由について毎回考察しているが、おそらく特定の事象だけに起因するものではなく、複合的要因によるものではないかと考えている。
要素を挙げると「ポイント還元の原資」「『オンアス(on-us)』取引が常態化する複雑なビジネス構造」「マンスリークリア(翌月一括払い)の利用が中心で利息収入が限られる」といったものがあり、これらが絡み合って高コスト体質を生み出しているのではないかというものだ。
特にポイント還元に偏ったビジネスはカード普及や利用増に貢献したが、それがゆえに競争上止められないという悪循環に陥っている。ビジネス構造がシンプルでないこともコスト高の間接要因となり、現状のビジネスモデルを続ける限りは解消は難しいのではないかというのが筆者の意見だ。
●「いつもの決済方法がある日使えなくなる」は常に起きうる
先ほど、SquareやAirペイを例に挙げて「加盟店手数料は変化しない」としたが、実際にはそれ以外の決済サービスでは多くの加盟店はつねに手数料交渉を行っており、定期的に見直しが行われている。コスト高騰を理由にカードブランドやアクワイアラが引き上げを要求することもあれば、多くの場合は加盟店側が“新しい条件”を持ちかけて少しでも手数料を引き下げられないかと動く。
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