なぜ? 日本のキャッシュレス決済手数料が高い理由
ITmedia NEWS / 2023年8月3日 16時31分
カード会員がカード加盟店でカードを利用すると、それを集約するアクワイアラがカード券面に描かれた“ブランド”のネットワーク(JCB、Mastercard、Visaなど)を通じてイシュアに問い合わせを行い、問題なければ決済が成立する。MastercardやVisaブランドのカードであれば世界中どこでも決済が行えるというのは、この仕組みのおかげだ。
カードで決済された金額(売上)のうち、手数料を差し引いた分がアクワイアラから加盟店へと支払われ、アクワイアラはイシュアに売上金の請求を行い、イシュアはカード会員に対して請求を行う。売上から引かれた手数料はアクワイアラ、イシュア、カードブランドの3者で一定割合で配分が行われる。これを「インターチェンジフィー」(Interchange Fee)という。実際には「ゲートウェイ」などさらに仲介業者が存在したり、請求における精算手順はもう少し複雑だったりするが、概ねこの流れだと考えていい。
つまり、中間に介在する業者が多かったり、多くの取り分を要求する事業者がいれば、それだけ手数料が高くなる傾向がある。カードブランドの決済ネットワークを使った場合の取り分、つまりブランドのインターチェンジフィーはあらかじめ決められており、日本でも料率が公開されている。
例えばVisaが公開しているチャートを見れば分かるが、サービスの種類やビジネスのサイズ(売上やカード利用量など)によって細かく設定されているのが確認できる。当然の話だが、売上規模が大きい小売店ほどカード決済される金額も大きいわけで、手数料で優遇が行われる。有名どころでいえば、世界的な某ハンバーガーチェーンなどは同カテゴリにおける最も安い手数料が適用されていたりする。
手数料率は必ずしも一定ではなく、加盟店とアクワイアラ、イシュアなどとの交渉の中で増減する。「Square」や「Airペイ」など明朗会計をうたう事業者は一定のレートだが、その代わりいくら取り引きが増えても料率が下がることはない。(中小企業にとっては)比較的安価な料率だが、その後の取引水準も変わらないというのがこれら事業者のビジネスモデルだからだ。
対して、多くのカード加盟店では個別交渉の末、手数料率は「非開示」とされることが多い。これは、あるアクワイアラが特定のチェーンや商圏などに対して戦略的に安い手数料率を提示し、競合の参入を阻止するといったケースだ。そのため、大手の損益分岐点は2%前後などと言われたりするが、意図的に1%台前半を提示することで赤字ながら、以後の取り引きを優位に進めるということがある。
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