「バービー」と原爆画像、米ワーナーが投稿を謝罪
バービー人形の実写版映画「バービー」のSNSの米公式アカウントが、原爆投下を連想させる画像に好意的な反応をした問題で、配給元の、米ワーナー・ブラザースは1日、謝罪の声明を出した。SNS上で日本から批判が集まっていた。
日本経済新聞の取材に対し、米ワーナー・ブラザース・フィルム・グループから「無神経なソーシャルメディアでの投稿を遺憾に思う。心から謝罪する」との回答があった。関連する投稿もすでに削除されている。
北米では7月21日、原爆を開発した米物理学者の故ロバート・オッペンハイマー氏の伝記映画「オッペンハイマー」と「バービー」が同時公開され話題を呼んだ。両作品のタイトルを組み合わせた「バーベンハイマー」という造語が生まれ、X(旧ツイッター)上ではバービーと原爆を絡めた投稿が相次いだ。
「バービー」の米公式アカウントは、バービーと原爆のキノコ雲を絡めた画像などに対し、「忘れられない夏になりそう」とハートの絵文字を添えて返信するなどしていた。日本ではX上で批判の声が上がっていた。
米ワーナー・ブラザースの日本法人のワーナーブラザースジャパンは7月31日、「米本社の公式アカウントの配慮に欠けた反応は極めて遺憾。事態を重く受け止め、米本社にしかるべき対応を求めている」とXに投稿した。「バービー」は日本では8月11日から公開される。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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(更新)- 滝田洋一日本経済新聞社 特任編集委員ひとこと解説
①配給元の米ワーナー・ブラザースは米メディアに謝罪の声明を出した。この記事はそう伝えますが、同社HPの「PRESS RELEASES」には、謝罪のコメントは見当たりません(日本時間2日午前0時半現在)。リンクを張っておきます。 https://www.warnerbros.com/news/press-releases ②メディア向けには声明を出すが、自社のHPは謝罪文で汚さない。よもやそんな考えのようなら、ワーナー側の誠意の程にも疑問符が。映画の公式アカウントが、バービーと原爆投下を結びつけたSNSに「いいね」をつけた時点で、穏やかな気持ちでの作品鑑賞が難しくなった方も多いはず。 ③HPの直近リリースは「バービー興行成績、5億㌦突破」。おめでとう、とでも言っておきましょうか。
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(更新) - 菅野幹雄日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員分析・考察
日本でも自民党女性局のパリ視察に絡む無邪気な写真の投稿が批判を浴びていますが、SNS上での思慮を欠く軽率な行動の怖さを示す端的な例と言えるでしょう。バービーと原爆…。受けを狙って同時公開した映画のタイトルを合体した造語、そして無神経な合成画像がSNSで拡大再生産され、配給会社のアカウントまで悪ノリして世の中に広がる。大型市場でもある日本から非難の声が上がって、配給元もはっと目を覚ましたということでしょうか。 「忘れられない夏」にハートマーク。被爆者や家族の神経を逆なでする話です。原爆の悲惨さをめぐる認識が米国人の間にどこまで広がっているのかという疑問を呼びおこした出来事でもあります。
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