DX、カーボンニュートラル、従業員満足度向上、セキュリティー強化など、企業が取り組むべきテーマは山積している。昨今のビジネス課題の解決にはITの力が欠かせないが、人手不足が深刻化する中で、経営を力強く支えるITにはどのような側面が求められるのか。シスコシステムズにてクラウド管理型ネットワーク製品「Cisco Meraki」の日本における責任者を務める西原敏夫氏に話を聞いた。 *情シス=情報システム部門
デジタル改革の取り組みが加速している。しかし、高度化が進む昨今のIT環境は複雑化が進みIT管理者の負担が大きくなるというジレンマがある。こうした問題が解決しないまま近年ではSDGsやESGといった課題にも対応しなければならない。もちろんITは不可欠であるため、適切に優先順位を付けて取り組みを進めるためにも、余計なシステムや機能への投資を削ぎ落し、シンプルにしていくことが求められる。
ではシンプル化を進めるために経営者などのリーダー層はIT選定にどのような視点を持つべきか。西原氏はこう語る。
「まずは、IT管理者に、経営方針を実現するためのITビジョンを強く意識してもらい、ベンダーの提案に惑わされず、お客さまにとって最適なIT機器・機能を選択することが重要です。管理者はリーダー層の意図を理解せず、『使わないかもしれないけど世の中ではやっている機能がすべて搭載された製品を選んでおこう』という発想を避けることができます。そのためにも、選択するIT機器が、ビジネスの成長に合わせて柔軟に拡張できるかどうかもポイントとなり、結果的に長期的視点においてコストが最小になっていきます」
ベンダーはよく他社製品と比べて機能の豊富さや、そのベンダーだけが持つ特異な機能が、すべての解決策であるかのように訴求するが、真に必要としていない機能は管理を複雑化させ、むしろデメリットとなる。機能を使い切れず管理不足になり、そこが脆弱性になるなどのセキュリティーリスクが増えることにもつながる。
管理負荷が少なくシンプル、かつ十分な機能を備える製品として、シスコが提供するのが、クラウド型ネットワーク製品「Meraki」シリーズである。Wi-Fiのアクセスポイントや、ネットワークスイッチ、セキュリティー機器(UTM)、スマートカメラやIoTセンサーなど企業のITインフラに欠かせないさまざまな製品をラインアップとして持つ。
「現在190以上の国・地域で3億5千万台以上のデバイスがつながっており、クラウドベースの製品群としては世界最大級の実績を誇ります。お客さまにとって、どのような機能が本当に必要なのかを把握し開発に反映しているため、大多数の企業が満足できる機能と堅牢(けんろう)なセキュリティーを維持しています」(西原氏)
顧客満足度も数字で裏付けられている。全世界で91%以上の企業がライセンスを継続し、購入した企業の60%以上が2年以内に追加製品を発注していることから、小さく始め本当に価値を実感できたところで、自由に拡張できるソリューションである。
Merakiはクラウド型ソリューションであるため、各拠点に設置された機器をWeb上のダッシュボードで一元管理できることが大きな特長だ。最新のAI(人口知能)やML(機械学習)技術で運用やトラブル対応に要する時間を大幅に短縮できるため、IT管理者は負荷が減り、経営層が本来期待していたDX推進などの役割を果たせるようになる。遠隔で機器の電源を制御して夜間の消費電力を抑えるなどカーボンニュートラル推進に役立つ機能も備える。
導入企業は多岐にわたるが、遠隔管理のメリットを生かし、特に多店舗展開する小売業界やグローバル企業、学校・教育機関や製造業で多くの導入実績がある。「価格を意識した他社の製品もありますが、多くの企業が故障率や管理コストを考慮してMerakiを採用しています。費用対効果で損をすることはまずないという自負があります」と西原氏は胸を張る。限られた人材でDXを推進するためには、シンプルかつ管理性の高いMerakiはきっと大きな力になるはずだ。