脊椎動物門 > 硬骨魚綱> コイ目> コイ科
学名:
Rhodeus ocellatus kurumeus Jordan and Thompson, 1914
和名:
ニッポンバラタナゴ
種の指定状況:
環境省レッドリスト:絶滅危惧IA類
滋賀県レッドデータブック2015年版:絶滅種
- 特徴:
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全長4~5㎝。小型のタナゴ類である。側線鱗はまったくないか、あってもごく少ない。 タイリクバラタナゴに似るが、腹びれ前縁に白線がない点、成長が遅く小型である点、オスの婚姻色は朱赤色が強く、腹びれが黒くなる点で区別される。
- 湖内の分布:
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かつては琵琶湖の湖岸域、内湖および湖東のため池群に広く分布していたが、琵琶湖では1960年代に外来のタイリクバラタナゴと交雑し、現在は純系はいなくなったとされる。全国的には、大阪府、奈良県、香川県、九州北部の一部地域に局在する。
- その他:
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平野部の浅い池沼や流れのゆるやかな用水路に生息する。小型の水生昆虫、浮遊動物、付着藻類を食べる。産卵期は3月下旬から9月とされる。他のタナゴ類同様、二枚貝(主にドブガイ)に産卵する。ふ化後、20日前後で貝から泳ぎ出し、動物プランクトン等を食べて成長する。
本種はタイリクバラタナゴとの交雑によって純系の維持が極めて困難になっており、純系の維持のためにはタイリクバラタナゴの池や川の放流を慎む必要がある。また、交雑個体群においてさえもオオクチバスやブルーギルの食害により壊滅的な被害を受けている。本亜種の絶滅は外来種の導入が引き起こした典型的な事例といえる。

ニッポンバラタナゴのオス(奈良県産)
(提供 近大水圏生態研)

ニッポンバラタナゴのメス(奈良県産)
(提供 近大水圏生態研)
- 参考文献:
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- 武内啓明(2019) ニッポンバラタナゴ. 細谷和海(編・著)山溪ハンディ図鑑15 増補改訂版 日本の淡水魚. 山と渓谷社. pp.88-89.
- 長田芳和(2001)ニッポンバラタナゴ. 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)山渓カラー名鑑 改訂版日本の淡水魚. 山と渓谷社. p.364.
- 琵琶湖博物館うおの会(編)(2005) みんなで楽しんだうおの会―身近な環境の魚たち―. 琵琶湖博物館研究調査報告書, 23. 233pp.
- 前畑政善(2016)ニッポンバラタナゴ. 滋賀県生きもの総合調査委員会(編) 滋賀県で大切にすべき野生生物滋賀県レッドデータブック2015年版. 滋賀県自然環境保全課. p.570.
*執筆 細谷和海・川瀬成吾
更新 2020年3月